第20話 実習 洞窟最高


とうとう、実習の日が来てしまった。


実習期間は3日間。


これが終わったら、僕はこの城を追い出される。


そして、塔子は教会で回復師をするか、自分の力で生きていくしかない。


綾子は、まぁ追い出される。


勿論、追い出されたら綾子は生きていくことが難しい。


国は僕たちに『自由にして良い』って言っているが体の良い厄介者払いだ。


少なくとも綾子は此処を追い出された後は、人生が詰む。


だから……


「聖夜くん……私、なんでもするから! 夜伽でもなんでもするから! 奴隷で良いから、傍に置いて! お願い……お願いだから」


そう言って上半身裸で僕に抱き着いてきた。


僕以外の異世界人は、この世界では凄くモテ、将来的には貴族の令嬢との交際すらあるから相手なんてしない。


つまり、綾子の相手をするような男は僕しかいないわけだ。


どうするか……


僕は此奴らが原因で自殺した。


殺してしまっても……そう思っていたがこのまま飼うのも面白いかも知れない。


それに『利用価値』があるかも知れないからな。


「それで塔子は?」


「私だって回復師になって教会に一生いるなんて嫌よ! だけど、あんたに強制なんて出来ないから……」


「そう? それなら帰るまで考えさせて」


実習中の三日間。


それまでに、此奴らをどうするか決めるつもりだ。


◆◆◆


「ほら、役立たず! しっかりついて来いよ!」


「ああっ」


僕は同級生たちと一緒に森を歩いている。


此処から暫くした先に洞窟がありそこで討伐をするそうだ。


一応、騎士8名が指導係として同級生30名についてきている。


同級生たちは優れたジョブやスキルがあるからか僕を見下してくる。


だが、僕は大河を殺してレベルが上がっている。


恐らく実力はあまり変わらない。


いや、下手したら僕の方が強いが、僕には直接戦えるスキルが無い。


実際に戦かってみないと解らないけど……まぁ戦う事も無いか。


「そうそう、もう会う事も無いが、最後位役に立てよ」


「はいはい」


適当に返事を返している。


僕はただついて来ているだけだ。


僕はなにかあっても『絶対助けない』


『全員死んでしまえ』


そう思うが、流石にまた使うとバレるかも知れないから、此処は静観した方が良いだろう。


そうこうしている間に、目的の洞窟についたようだ。


一番偉そうな騎士が言い出した。


「さぁ、洞窟についたぞ! 各自パーティに別れて洞窟の中の魔物を狩ってくるんだ! 此処には弱い魔物しか居ないから余裕で戦えるはずだ。特に勇者大樹と賢者聖人のパーティには期待しているからな。洞窟の中では時間が分かりにくいから、疲れたら一旦此処まで戻って来いよ。それじゃ行って来い!」


パーティ?


そんなの僕は聞いてない。


同級生の多くが洞窟に僕の方を見下すように見ながら入っていった。


此処は下手に出るしかない。


「あの騎士様! 僕は何処のパーティにも入っていないし、仲間が居ないのですが、どうしたらよいですか?」


「ハァ~お前のパーティ仲間は『休んでいる』けど居るじゃないか?」


「そうそう、塔子と綾子がお前のパーティメンバーだろう? 」


塔子と綾子は目が見えないから今回の実習には参加していない。


いや、それ以前に僕が彼女達とパーティを組んだ覚えがない。


「それはどういう事ですか!」


「組決めはこちらで行った。お前以外の異世界人は全員知っているし……今ここで言われても困るなぁ~」


ニヤニヤと笑いながら騎士たちがこちらを見て来る。


「二人が居たって、二人とも目が見えないから戦えないじゃないですか!」


「だから~? パーティはニ人組以上で成立。三人で良かったじゃないか? 他のメンバーがここに来てないなら、お前が仲間が抜けた分を頑張るしかないな」


最初から、こうする気だったんだ。


同級生も此奴らも……馬鹿にしやがって。


だったら良い。


同級生は全員元から敵だった。


塔子や綾子の視力を奪い。大河を殺した。


此処で復讐を止めても良い。


そう思っていたけど、違った。


今なお、僕にイジメを仕掛けて来るなら話は別だ。


『全員今も敵だ』


僕は馬鹿だった。


この国の人間に腹は立つが『やつあたり』をしない。


多少の事は我慢する。


そう思っていたが、そんなのどうでも良い。


今の騎士の態度でわかった。


こいつ等も『敵だ』


なに、僕は甘い事を考えていたんだ。


僕がこの洞窟で狩るのは魔物じゃない。


同級生だ。


何人もの異世界人が死ねば......此奴らも困るだろう。


「解りました……1人で頑張ります」


そう騎士たちに伝える。


「お前1人で大丈夫か? 死んじゃうんじゃないか? がははははっ」


「死んで欲しいんでしょう……クズ野郎!」


「「「「「「「「……」」」」」」」」


そう言って睨みつけると騎士たちは何も言わなかった。


「僕は弱いからあんた達や同級生には何も出来ない。だが、死ぬその時まで恨んで、恨んで恨みぬいて死んでいってやる……覚えておけよ!」


それだけ伝え、洞窟に入っていった。


騎士たちは驚いた顔をし、ただただ僕を見つめていた。



◆◆◆


良く考えてみれば、塔子や綾子は少しは反省している。


だが、他の同級生はそれすらしていない。


確かに、此奴らにやられた事は大した事ではない。


無視をしたり、殴ったり、蹴ったり、悪口を言った。その程度の事だ。


だが、執拗にやり続けていた。


そのせいで僕はクラスで何をしても許される存在になった。


しかも、僕がこうなる事に同意していた。


塔子や綾子は目が見えない。


僕一人で此処に潜れば『死ぬ可能性は充分ある』それなのに、それに同意した。


相手が今も虐めをしていて殺しにかかってきているんだ......


間違い無く敵だ。


洞窟に入り暫く歩くと祐一と典子が居た。


目の前で三体のゴブリンを狩ろうとしている。


祐一のジョブは剣技に纏わる物なのか、なかなか剣の使い方が堂に入っている。


この状態なら簡単だ。


触れられる環境じゃないから、祐一に『腐る目』を使った。


その瞬間、目に痛みが走ったのか祐一は剣を落とし目を押さえた。


もしかしたら、レベルが上がった事で『即効性や威力が増した』のかも知れない。


「うわぁぁ目が、目が……目がぁぁぁぁーー」


「ウガァァァァァ」


1体のゴブリンが祐一に噛みついていった。


そして、残りの2体が典子の方に襲いかかる。


「きゃぁぁぁーーファイヤーボール!」


1体のゴブリンに直撃し燃えて死んだがもう一体のゴブリンが典子に襲い掛かった。


その様子を見ながら……僕は……


「祐一大丈夫かーー?」


そう言いながら、祐一の方に駆けていった。


「大丈夫じゃねー! 目が目が痛いんだぁぁーー! それにゴブリンが……ゴブリンがぁぁぁーー」


既にゴブリンが祐一の足に噛みついていた。


ゴブリンと目が合った。


「そうか、大変だな……それじゃあ」


周りを見るが、他に同級生は居ない。


なら簡単だ。


ブスッ!


持っていたナイフで、典子から死角にまわり祐一の横腹を刺した。


「聖夜!? お前……ぐふっ、ハァハァ」


「お前馬鹿じゃないの? 散々無視したり、虐めていた相手が助けてくれるわけ無いよな!」


「ハァハァ…そんな……典子」


ゴブリンは自分でなく祐一を襲った俺に驚いていたようだったが、知能が高いのだろうか?


敵じゃないと解ると不気味な笑顔を浮かべ、噛みついた足から口を離し祐一のお腹に噛みついた。


このまま、ゴブリンに食われると僕の経験値にならない。


典子の方は……あれはもう終わりだ。


気にする必要は無い。


祐一の首筋にナイフをあてがって一気に引いた。


血を吹きだして祐一は絶命した。


その状態になるとゴブリンは僕を警戒しながらも祐一の腹に更に強く噛みつき腸を引き摺りだして食べ始めた。


本当にゴブリンは知能が高いのかも知れない。


僕が敵でないと知ってか、げひた顔で僕を一瞬見てニヤリと笑い、グチャグチャと音をたてながら祐一の腸を食べ続けている。


僕の体が暖かくなりレベルが上がったのが何となく解かった。


「助けてーー! お願いだからーー」


典子が悲痛な感じで大きな声をあげている。


服ははだけた状態でゴブリンが胸に食い付いていた。


このままゴブリンに犯させれるのも面白いかもしれない。


ゴブリンに犯され掛かっている典子の傍で傍観しながら話しかけた。


「あのさぁ、さっき騎士から聞いたんだけど! 僕が1人で今回の実習に参加させられるのを典子は知っていたのかな?」


「嫌ぁぁぁぁーー助けて、お願いだから……」


ゴブリンに残った服も引き千切られて真っ裸だ。


「答えろよ……ちゃんと話せば助けてやるよ」


「ハァハァ~知っていたわ……これで良いの!」


有罪だ。


さてどうするか?


このままゴブリンに犯させ続け、持ち帰らせて苗床人生にするのもよいかも知れない。


だが、この洞窟には他の同級生もいる。


万が一、途中助けられて僕の事がバレたら不味い。


「それじゃ、可愛そうだから楽にしてあげるね」


典子のお腹にナイフを突きつけた。


「えっ……なんでゴフッ」


個人的には苗床より死んだ方がマシだと思うな。


ゴブリンにも典子が死んだのが分かったのか、犯そうとするのをやめて乳房を食い千切っていた。


このままなら死体は食べ尽くされて僕がやった事はバレない。


洞窟って最高じゃないか。













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