第18話 囚われの芽亜

 身体ごと掬い上げるように斬り上げる。浮いた空中で腰がしなり、そうかと思えば弾いたようにくるりと回る。髪が広がる。回転斬りを三回転し、横薙ぎにした構えで着地した。重心は沈ませない。視線は前のまま背後の敵を斬り上げると、全方位への牽制と警戒のために、上段に振りかぶりながら一回転した。続けて踏み込み斬り付けて、残心の後、血振るいして納剣した。

 夕子の今行った形稽古、神門かんど三千さんぜん流表之太刀は、形というより剣舞に近い。概念でいえば中国拳法でいうところの套路寄りで、技の用法そのものより、神気の運用を練るための鍛錬法といえる。

 今いる第五訓練場は屋外ダートで、それも地面がほぼ砂場といってもいい場所である。授業の砂場トレーニングや休日の砂遊びなどに用いられるが、自主訓練の場所としてはあまり人気はなかった。砂でじゃりじゃりしてシャワー室に寄らねばならないのが面倒なのであろう。けれども夕子にとっては誂え向きの鍛錬場所であった。ひとけがなく、暗殺剣という物騒な己の流派を鍛錬するのに都合が良いのもそうであるが、それ以上にこの砂地は神気制御の訓練がやりやすかった。

 備え付けのトンボで形稽古前にならしておいた砂地を見る。散々に動き回る表之太刀を繰り返したにもかかわらず、足跡がないどころか、ならしたときのままであった。足場強化の剛歩をより繊細に行う、無音脚という技術である。砂地では通常の剛歩をすると反動が足元以外に分散されてクレーター状の痕跡ができてしまうが、強化に強弱の変化を、波紋の広がりを逆再生するようにつけて反動を打ち消せば、このように平らなままとなる。

 斬撃の練習にもちょうど良かった。誰かが作って放置したロボットの丸い頭(ザ○ヘッド)のサンドアートを胴薙ぎに切り抜ける。砂像抜きと呼ばれる鍛錬である。剣速が足りなかったり強化や刃筋が乱れたりしたら、砂の像が崩れてしまう。斬撃がすり抜けて無傷になるのが理想である。未熟な夕子がそうした後はうっすらと分割線が残ってしまったものの、芽亜がプラモにやっていたダメージ加工といった程度の傷なので、砂を手で掬ってぺたぺたと埋め直せば元通りになる。この水分無しでの補修も神気強化の応用であった。童心がむくりとなるが、鍛錬名目で砂のノイシュバンシュタイン城に挑戦するのは休憩のときだけにする。毎日ここに通うなら、少しずつでもいずれ完成するであろう。


 小休止に、自販機で買っておいた缶コーラをぐびりとやる。少し温いが、糖分と炭酸と、それから水分が染み渡る。まさしく完全飲料である。人目が無いから腰に手を当てて男らしく飲みきることもできてしまう。姫騎士の健康体質のおかげで胃もたれもない。

 飲み終えた缶を丸めてポケットに入れたとき、剣呑な気配を感じた。すわ芽亜に見られて「めっ!」されるのかと身構え、早合点と気が付いた。狙撃である。

 即座に砂を壁状に蹴り上げつつ、跳び退いてその場を離れる。飛来物は銃弾ではなく矢であった。神気も込められていないのか、砂の盾に飲まれて落ちた。近寄って確認はしない。毒物や爆発物が仕込んである可能性もあり、なにより襲撃者の確保が優先である。予測した射撃地点へと、夕子は身を低くして駆け出した。高所からなら一目で襲撃者の姿が確認できるが、跳躍はあえてしない。自分なら空中に飛んだところを狙い撃つ。訓練場はぐるりを金網フェンスに囲まれ、その外は人工林が広がっている。フェンスの向こうに襲撃者の走り去る後ろ姿が見えた。白い制服の上に、白いとんがり頭である。生徒であろう。学生が闇討ちや陰謀集会などで覆面をする際は黒衣の教員と区別するため、カピロテの着用が義務づけられている。念のため切り払い用に構えながらフェンスを飛び越えて、人工林に消えた襲撃者を追いかける。しかしそこで夕子は違和感を覚えた。

「気配が消えた?」

 人工林に入ると辿るべきそれがない。木々で隠れたうえに、速度が遅くても自分より技量が数段上なのかと考えつつも人工林を抜けるが、開けた場所に出ても襲撃者の姿はない。完全に逃げられた。


 夕子を狙った武器であろうボウガンはフェンスに立てかけてあった。「矢文専用」と書いてある貸し出し品である。夕子は襲撃された地点へ戻って、矢を砂の中から掘り出した。

 矢に仕込まれた紙を広げると、果たし状と書いてあった。

『うららかな春の日差しが心地よい今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。それはそうとお前の妹は預かった。返して欲しくばあたしと決闘しろ。今すぐだ。早く来ないとお前の妹がひどいことになるぞ。まあ芽亜っちは元から結構ひどいけど、もっとひどいことになるんだぞ。あと決闘はガチの真剣勝負です。武器を忘れないで下さい。場所の地図は裏面に記載。ひこれいりん

 字が綺麗である。やや丸文字気味の女の子らしい字で、自分もそういう字を書けるよう練習すべきかとふと思いつつも、

「そんな、メアが誘拐されただなんて」

 と、気持ちを切り替えるため現状を言葉にして、嶺鈴の指定した場所へと向かうことにした。遠距離用の銃はないが剣という最低限の装備はある。戦う準備はできている。

 向かいながら夕子は、しかしなぜわざわざ矢文なのか、と違和感を覚えた。

 芽亜は体質なのかああ見えて腕力があり、夕子の見たところ力だけなら嶺鈴よりも少し強い。パワーで勝る相手を一人で拘束するには骨が折れ、しかも芽亜という少女は案外に往生際が悪い。決闘を前に万全でいたいなら協力者を募り、複数人で取り押さえるべきであろうが、クラスメイトは皆純心な少女である。拉致などという悪業には、考えてみれば案外面白がって協力しそうである。けれどもその協力者がいるとすれば、果たし状を渡すのにわざわざ矢文を使う必要はなくなる。決闘前の不意打ちを警戒するにしても、協力者に直接手渡してもらえばいいのである。

 筋の通るよう嶺鈴が一人ですると仮定すれば、彼女は芽亜を誘拐すると、ふん縛って放置したうえで夕子のいる訓練所まで走り、矢文を打つと逃げ出して、決闘場所で待機するためまた走ってそこに戻ると、慌ただしいスケジュールで動いていることになる。もし夕子が襲撃者を追わず素直に矢文を読み、即座に決闘場所に向かったなら、下手をすれば嶺鈴より夕子のほうが先に到着してしまう。あの嶺鈴がこのように雑な計画で動くであろうかとも考え、とある可能性が思い浮かんだ。その検証は、彼女を直接目にすればできるだろう。


 嶺鈴の指定した場所は、森林浴用の人工林にぽつんとある多目的広場である。人目を避ける果たし合いの他にも、バーベキューやソロキャンプなどにも使われている。先日芽亜とお弁当を食べたのもここである。芽亜と二人で作った色取り取りのお弁当で、最近の冷凍食品はすごいものだと舌鼓を打ったのを覚えている。

 食べ物のことを考えると美味しそうな匂いがした。錯覚ではない。

「肉と、脂の焼ける臭い?」

 煙草による根性焼きではこんなにも香らない。日本の伝統的な対女性拷問法、焼けた火箸を乳房へと押し付けるそれが連想された。まさか、と思った。しかし姫騎士学園の学校医は優秀である。治癒系の能力で大抵の傷跡は跡形も無く元通りにしてくれる。どうせ治るんだからと、真剣勝負前の度胸付けにひと拷問というのは、ある意味理にかなっている。夕子は急いだ。


 夕子がたどり着いたとき、そこにはじゅうじゅうと肉の焼ける音が響いていた。

「ほーれメアっち、いい具合に焼けてるじゃんか」

 脂か、あるいは炭が弾けてぱちりという。

「あうあう。ひどい、なんてひどい。ひどいよリンさん」

 金属ワイヤーで簀巻きにされた芽亜が、木の枝からぶら下がっている。その下には火があった。彼女を焼くための火ではない。七輪である。焼き網に乗せたお肉を焼くための炭火であった。

「ぷるぷるー、あーん、でもあーげない」

「ああ!?」

 嶺鈴が雑なグルメ番組の箸上げを真似て、焼き立てのお肉をぷるんぷるんと芽亜の口元まで持ち上げてから、自分の口に放り込んだ。

 芽亜は焼肉の煙で、燻されていたのである。

「ははっ、次はカルビっす。芽亜っちも堪能しなよ。ただし匂いだけだがなあ!」

 お肉からあがった煙と匂いを当てられ、芽亜がイヤイヤと身を捩り、振り子のように簀巻きが揺れる。夕子と目が合った。

「お姉様!?」

「ん?」

 嶺鈴も箸を咥えながらこちらを向いた。

「ふえぇ、たすけてぇ……このままじゃ、メア焼肉臭くなっちゃうよぉ」

 言われるまでもない。逆手で抜剣しながら跳躍し、ぶら下げた縄を断ち切り、芽亜を抱えて着地する。いわゆるお姫様抱っこの姿勢である。

「こ、これが憧れの……!」

 と芽亜がなにやら感極まっているが、敵対者を前に両手が塞がるのは良くないので、俵のように片手で担ぎ直す。嶺鈴に向け剣を構えるが、芽亜の脚がばたばたし出し、スカートがめくれそうになった。

「敵の前よ。芽亜は動かず荷物に徹して」

 言うと、芽亜の下半身はしゅんとしたようにぐったりした。芽亜の服や髪には、焼肉の匂いが染みついている。長時間炙られたのであろう。匂いをおかずにご飯が食べられそうな身体にされてしまった。一応は女の子である彼女にこんなひどい仕打ちをする。その理由を問わねばならない。

「嶺鈴さんあなた、なんのつもりで――」

「少し待て、片付ける」

 待つ。

 嶺鈴は網の上の肉を手早く口に入れ。むぐむぐと咀嚼して食べきると、ペットボトルのウーロン茶を飲み欲した。焼いていない生肉をクーラーボックスに戻す。七輪の炭を火消し壺に火箸で入れて蓋をする。割り箸や紙皿などをごみ袋に、焼き網は使い捨てなのか燃えないごみの袋に入れる。そうしてそれらを広場の隅にまとめて、「七輪ヨシ、火消しヨシ、食材ヨシ、ごみヨシ」とちゃんと片付けができているか指差し呼称で確認した。嶺鈴が元の位置に戻って来て、「片付け終わりっす」と告げた。

 夕子は芽亜を担いだまま頷くと、再開した。

「嶺鈴さんあなた、なんのつもりでこんなことを……」

「果たし状は読んだろうに愚問だな」

 嶺鈴がポケットから手袋を出して放り投げる。夕子の前に落ちた。

「あたしと戦え、真理谷夕子」

 手袋を落とすのは甲種決闘、殺し殺されを前提とした真剣勝負の誘いである。

「試合ならまだしも、私にはあなたを斬る理由がない」

「ナチュラルな上から目線ありがとうございますわお姉様。お優しさに反吐が出る。殺り合う理由ならあるだろうが。たったいまあんたの妹をひどい目に、穢してやったんだぞ。に、肉欲ってやつでさ」

 肉欲違いであるが、焼肉臭いのが穢れというならそうかもしれない。生臭禁止の巫女武者学院なら停学に値する。

「決闘に怖じ気付いたならそうだって言いふらして不名誉にしてやる。どうせ世の中言った者勝ちだからな。これでれないならあんたは仲間を辱められて気にしないやつってことだ」

 嘲弄に沈黙で返すことを大人の対応と褒めてくれるのは、自分自身か無責任な第三者くらいである。そして姫騎士は少女であって大人ではない。大人であってはならない。舐められたら殺すのが騎士道である。

 名誉毀損は兵法ではあるが、俗世間と違い姫騎士社会では軽はずみに行えるものでもない。夕子は嶺鈴の人柄を信用している。人の好き嫌いは関係ない。弥彦嶺鈴は霧子と姉妹の契りを結ぶのに相応しい姫騎士である。彼女の覚悟を夕子は受け止めるべきであった。

 芽亜を下ろして納剣する。

「……わかったわ。不名誉にされたくないから応じましょう」

 手袋を取り出す。最初にこれを投げつけるのは霧子がいいと夕子はひそかに思っていた。初めての決闘相手は彼女がいいと、入学初日に初めて彼女と言葉を交わしたときから、なんとなくそう思い続けてきた。一目惚れの恋とまではいわないが、武人として惹かれていた。しかし今、成り行きで嶺鈴に手袋を渡そうとしている。思えば自分は何もかも、成り行き任せに生きている。修行も入学も女装もお姉様を演じることも、家督の継承ですら、流されるままにそうしてきた。意志や人格というものが色素と同じく薄いのだろう。自分を殺すかもしれない最初の相手を選べなかったのも、さもありなんである。

 手袋を放る。嶺鈴の足元に落ちる。

「拾いなさい弥彦嶺鈴。あなたに決闘を申し込むわ」

「拾え真理谷夕子。あんたにはあたしと決闘してもらう」

 拾い、拾われる。

「新品そのまま、しょっちゅう使い捨てて慣れているのね」

「そういうあんたのはハンカチみたく柔軟剤で洗ってるんだな」

「デュエルオフィサーは? メアにでもしてもらう?」

 簀巻きに転がった芽亜がやだやだと首を振る。単なる立会人と違い、姫騎士学園の決闘責任者は責任が重い。ましてや真剣勝負のそれなど、つい先ほどまで人質として拷問(?)を受けていた芽亜には酷であろう。

「そっちは問題ない。先生! お願いします!」

 腕組みをして現れたのは用心棒ではなく、

「アタクシザマス」

 先生という言葉通り、担任教師の白鷺しらさぎ莉々愛りりあ先生であった。おそらく木の陰にでも潜んでいたのであろうが、目にして声を出されるまで、彼女の気配に気付けなかった。なるほど、立場としても実力としても明確な上位者である。芽亜は信用できないからやめようよと言いたげな顔をするが、真剣勝負の責任者として彼女ほど相応しい人物はいない。生徒からの八百長依頼を素直に受けるはずもなく、もし決闘中何らかの干渉があったとしても、それは自分達に姫騎士としての精神を指導するためであろう。

「クラスメイトのお友達同士の殺し合いなどというおもし、危険行為は、担任であるこのアタクシが管理せねばならないザマス。手袋交換確認ヨシ! しつこい前置きはもういいから、さっさと殺し合うザマス」

「少しお待ちを」

 そう言って夕子は、芽亜をうつぶせに転がした。怯ませないためである。

「メア、動かないでね」

 剣身に神気を集束させ、裂帛の気合いとともに一閃した。

「ワイヤーを斬ったから立ち上がって大丈夫よ」

「え? ありがとう、ってお姉様? 服だけばっさりみたいな漫画じゃないんだよ? 今の相当危なかったよね?」

 斬りすぎたとしても、どうせ金属ワイヤーより芽亜の身体のほうが頑丈であるから問題ないとは、あえて言わなかった。

「芽亜の言う通りね、ごめんなさい。格好つけたせいで刃こぼれしてしまったわ。決闘用に、代わりの剣を貸してくれる?」

「メアの剣を? でもっ」

「借りるわね」

 有無を言わせず鞘ごと交換した。

「先生、メアを開放したので私の準備は整いました」

「弥彦嶺鈴はどうザマス」

「あたしも問題ないっす」

 白鷺先生が流し目にこちらを見てにやりとした。

「ところで真理谷夕子、矢見野芽亜の90式騎士剣は刃引きしたままですが、問題はないザマス?」

 先生の目はさすがに誤魔化せなかったらしい。小細工を小細工として通用させるべく、嶺鈴に向けて言葉を選んだ。

「躾けのなっていない駄犬ちゃんに、表道具はいらないでしょう?」

「おい今あんた、あねさんを侮辱したのか?」

 駄犬呼ばわりよりも霧子のブリーダーとしての評価のほうが気に食わなかったらしい。本人が見ていたら、むしろ嶺鈴のほうに斬りかかりかねない反応である。

「キリコも可哀相ね。こんなのに付きまとわれて」

 あえて本人と話すときのように呼び捨てする。

「さんをつけろよシロンボ女郎」

 剣の刃引きを誤魔化すついでに怒りを煽れた。

 現在この場に芽亜以外の観客はいない。デュエルオフィサーの白鷺先生を除けば、嶺鈴の協力者はいない可能性が高い。目を凝らす。嶺鈴の姿を見る。芽亜より僅かに高いくらいの低身長で、体付きは身長と同じく芽亜よりやや女性的といえる。所々外はねしている髪の上に、犬耳であろう獣耳が生えている。学長の九十九里くじゅうくり叡子えこのような妖怪系、別な呼び方では神獣系の能力の証である。そうしてそれらとは別なものも、夕子の視界は捉えていた。

「ご託はいいわ。弱い犬ほどなんとやらで、これ以上恥を増やしたくはないでしょう?」

「口先だけは達者だな。そいつでメアっちやクラスの連中をたらし込んだのかい?」

「そう言うあなたは、たらし込めていないのかしら」

「必要ないさ。あんたより強いからな」

「たしかに人当たりは強いわね。サバサバ系でも気取ってる?」

「……いよいよ本性出したなクソ売女ばいた。今までのは男受けするカムフラージュってわけか」

 男心ならこの学園にいる誰よりもわかっている。なぜなら夕子は男である。

「ワンちゃんならワンちゃんらしく、人間受けする態度をとったらいかがかしら?」

「知らないのか? 犬が吠え掛かるのは不審者だって決まってる」

「無駄吠えがしつこいなら保健所の手間を省いてあげなくてはね」

「マゾなだけが取り柄の女にできるのか?」

「できるわよ、躾けくらい。キリコに代わってしてあげるわ」

「やってみなよ、こっちこそわからせてやる」

 白鷺先生はにこにこして言い争いを見守っている。姫騎士の戦いは心の戦いであり、前哨戦として挑発で相手の心を乱すのは基本戦術である。教え子がそのことをちゃんと心得ているのが嬉しいのであろう。口汚く罵り合う姿が面白いというのでは決してない。

『決闘をお知らせします。対戦者、弥彦嶺鈴、対、真理谷夕子。デュエルオフィサー、一年担任、白鷺莉々愛』

 スピーカーからアナウンスが流れる。開始の合図代わりにするよう白鷺先生が気を利かせたのであろう。

 夕子と嶺鈴は間合いを離して向かい合い、抜剣した。構えはお互いまだ無構えであるが、夕子の剣は刃引きして切れないままで、嶺鈴の剣は人肉を切れるよう研ぎ澄まされている。

 アナウンスの淡々と進むなか、眼光を浴びせ合った。

『決闘方法、甲種、無制限決闘。決闘場所、第八多目的広場。決闘時刻――』

「――今っ!」

 全く同時に叫びながら、夕子と嶺鈴は互いに向かって踏み込んだ。

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