第3話 初めての魔法授業

入学式が終わり、新しい学校生活が始まった。あやめは不安でいっぱいだった。何故なら、あやめが本格的に魔法の授業を受けるのは生まれて初めてだったからだ。


教室に入ると、あやめは自分の席に向かった。周囲の生徒たちは親しげに話し、友好的な雰囲気が漂っている。中には、入学式で友達になった金髪の少女セナもいた。彼女とは、昨日道に迷っている所を発見し、助けた事で仲良くなった。美しい金色の髪に、ショートヘアーで顔も整っており、人形さんのような可愛らしい外見だ。身長はあやめと同じ140cm程で、性格は人見知りで大人しい。


授業が始まると、教師が教壇に立ち、授業が始まった。あやめは緊張しながらも、真剣に授業に耳を傾ける。初めは座学で、魔法の基礎についての勉強だった。まず魔法には、火 水 風 地 光 闇の六種類あり、詳しくは解明されていないが、ほとんどの女性は火 水 風 地の四種類しか使えない。残りの光と闇の魔法を使える人は極少数しか居ないらしい。魔法を発動させるためには、マナと呼ばれるエネルギー源を体内に取り込み魔法を発動する。マナにも属性がある為、火属性魔法を発動させる為には火のマナを、水属性魔法を発動させる為には水のマナを感じ取る必要があるらしい。そして、各属性のマナを取り入れ易くするための物が呪文である。と教師は丁寧に教えてくれた。

午前中の座学が終わり、昼休みの時間になった。お昼休みのチャイムがなった途端、あやめは操り人形の糸が切れたようにそのまま机にうつ伏せになる。その様子を見たセナが心配そうに話しかけてきた。


「あっ…あやめちゃん…大丈夫?」


あやめは顔を少し上げると、疲れ切った顔でセナを見た。


「うぅ〜覚える事多すぎてパンクしそうだよ〜…」


あやめがそう言うと、セナは不思議そうな顔をして言った。


「えっ?魔法の基礎は小学生くらいから習ってるでしょ?」


あやめは、その言葉を聞いた瞬間「しまった!」と心の中で思った。何故なら女性は、6歳の時から魔法の基礎を学ぶからだ。そこに突っ込まれたあやめは、冷や汗を掻きながらセナに言った。


「えぇ⁉えっ〜とね!じっ!実は家庭の事情があって、私魔法の基礎をロクに学んでないんだよ〜」


あやめがそう言うと、セナは涙を流した。彼女は、あやめには自分が思うよりも、想像を絶する過去があったのだと思い、あやめを勢いよく抱きしめた。


「っ!あやめちゃん!ごめんなさいっ!あやめちゃんの気持ちも考えずにっ!」


急に抱き締められたあやめは、両手をパタパタとさせながら驚いた。


「えっ⁉えぇ〜⁉そんな大げさだよ!今は言えないけど大した理由じゃないから泣かないでセナちゃん!」


あやめがそう言うと、セナはあやめからゆっくり離れた。


「ほっ…ほんとに…?」

「本当だよ〜?だから安心して?」

「よっ…良かった」


セナが嬉しそうな表情をしていたが、あやめは内心申し訳なさで一杯だった。こんな純粋な心を持った彼女を自分は性別を偽り騙しているのだから。あやめは、もし性別がバレた時は、何をされてもセナには絶対に何もしないと心に誓った。

その後、2人仲良く昼食を取るため食堂へと向かった。

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