第6話 イストレラの泉③
——"イストレラの泉"は夜空だった。
夜空を写しているのではなく、夜空なのだ。それはそれは見事なミルキーウェイ。
"イストレラの泉"の泉の水は——正確には夜空は、黒ではない。星の光が交わって、緑に近い藍色をしている。だけれど、不思議なことに泉から溢れた水は透明で、さっき歩いている時に見たいくつかの小川の水源になっていた。
"イストレラの泉"の天の川の星はキラキラと、白色だけではなく赤青緑と変容しながら明滅して、小さな宝石が流れる幻想的な川のようだ。
僕は泉のほとりで一人座り込む女の子の小人を見つけた。涙を流して、啜り泣いていた。僕は声を掛けた。
「やぁ、迷子さん。僕は"星屑の賢者"と呼ばれている者です。君は空から落ちちゃったんだね?」
女の子は顔を上げてコクリと頷いた。女の子の頬には星型の模様があった。だけれど、その星の一部は欠けてしまっている。
そう、この子が空から間違って落ちてしまった星屑。そして、彼女らを星空に帰してやるのが僕の仕事だ。僕は優しく話を続けた。
「おうちを探してここまでよく歩いたね。でも、この泉は君のふるさとではないよね?」
女の子がコクリと頷く。
「大丈夫、安心して良いよ。僕は君をふるさとに帰す魔法を使えるんだ。少し君のふるさとの話を聞かせてくれるかな?」
女の子はじっと僕を見つめてから頷いた。
僕は女の子から話を聞き、ふるさとがどの辺りか確認した後で、魔法を使い、女の子を空に帰した——。
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