第5話 イストレラの泉②
歩いていると、草が無くなり、陸となっていた。
森からは平坦に見えたが、実は中心部に向かって少しだけ地面がせりあがったところがあるようだ。
パシャパシャと水を切りながら歩を進め、陸へ登って辺りを見回す。地面は岩石質で所々が苔むしていて、中央部に向かうにつれて高くなっているようだ。
そのため、まるで山の水源近くの小川のように、岩肌を少量の水がちょろちょろと流れ、光を反射してキラキラと輝いていた。
ゴツゴツとした地面をゆっくり歩く。苔むしたところは、滑りやすくて慎重に進まないといけない。
ふと気付くと目端で、水滴が浮いているのが見えた。その水滴を見ると、それはゆっくりゆっくりと空へ登っていっているみたいだ。
ここは水が空に帰る場所。水が帰っていくということは、もう"イストレラの泉"が近い。歩みを進める。
少しすると、ラムネの瓶のように澄み切った青の柱のようなものが出てきた。これは鍾乳洞の石筍のようなもので、水がせりあがっていくときに出来た水の宝石。
筍型の柱の先からぷるんっと水滴が離れて、空に向かっていく。そんな柱が何個もあり、景色はまるでにわか雨を逆再生しているみたいだ。
そして遂に"イストレラの泉"に僕は辿り着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます