第9話

「なんか、軽くない?」

「ひっでえな。これでも受験終わるまで待ったし、昨日は一生懸命、色々考えたんだからな。おかげで寝坊だよ」

「いや、寝坊の言い訳にされても」


 目の前の如月はあくまでいつもの如月で。

 照れてたり、動揺したりしてるようには見えない。


「これ、受け取ったらどうなるの?」

「そりゃあ、カレカノ成立でしょ」

「つまり、私の事どう思ってるの?」

「それは……」


 瞬間。沸騰したかのように、如月の顔が染まった。

 あ、あれ?

 いつもの余裕が嘘みたいに目が泳いでいる。


「如月?」

「あーっもう! 言葉にするとか照れんだろ? わかれよ」


 拗ねたようにそっぽを向く。

 なんだ。全然軽くなかった。


「もうちょっと真剣に伝えてよね。遊びかと疑うじゃない」

「なわけねーだろ。多分、お前より俺の方が先だよ」

「なんでそれがわかるのよ」

「そんだけ見てきたって事!」

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