第7話

 特に不審な点は何もない。

「個包装だって事には気づいたけど」

「ああ、皿とかめんどくさいし、個包装なら余っても持ち帰れるからな。でも、そこじゃねえよ」


 クッキー、ビスケット、煎餅にミニドーナツ……。

 種類はたくさんある、けど。


「…………」


 気づいた。普通ならあるだろうものが、ない。

 これだけ種類豊富なのに、定番のお菓子がないのは不自然だ。

 明らかに、あえて外したんだ。


 なんでって、それを私が持っているから。


「梅見。真っ赤」


 ちょっと皮肉気に如月が笑う。

 なんてやつ!


「俺、待ってるんだけど」

「っうるさいっ!」


 あぁ、心臓がうるさい。顔も熱い。

 必死に手のひらで冷やそうとしても追いつかない。

 本当、いっつも如月に振り回される。

 人が覚悟決めてきたっていうのに、それさえも見透かされてるなんて。


「なあ? 気づいてる?」

「今度は何よ!」


「……待ってるって意味」

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