第6話

「なあ、今日ぼうっとしすぎじゃね?」

「え?……っ!」


 グラウンドにやっていた視線を戻せば、思ったより近い距離に如月の顔があって、思わずのけぞる。


「そんなにビビんなよ」

「いや、だって近い! そんなに前のめりに来ないでよ」


 机の半分くらいの位置に肘をつき、如月はこっちを伺っていた。ビックリするよ!その距離。


「いや、どうした? それ」

 如月が指差したのは私の手の甲。ちょっぴり水ぶくれになってるけど、絆創膏貼ると目立つから、そのままにしていた。

 まったく、めざとい奴。

「なんでもないよ。さっ、折角持ってきてくれたんだから、お菓子食べよっ」


 ふぅーっと呼吸を整えて、机の上に広げられたお菓子に目をやる。ビスケット、クッキー、ミニドーナツ。実に多種類。

 多分、教室という事を考えてお皿とか必要にならないお菓子を選んだのかな? 個包装のもの、という共通点に気づいた。

 そのうちの一つ。クッキーに手を伸ばして口にする。


「んっ美味しい!」


「なあ。なんか気づかね?」

「何が?」

「この多種類のお菓子見て。なんか気づかない?」


 ——お菓子を見て?

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