第3話

「で? って言っても、ここにきてる時点で結果はわかるけどね」

「わかんねぇよ?自暴自棄で来てたらどうする?」

「その時は全力で家へ強制連行よ」

「こわっ。じゃあ、お披露目といきますか」


 如月の言葉でお互いスマホを操作する。

 本当、この顔を見ればわかりきった結果なのに、どうしてこんなにワクワクするのか。


「せーの!」


 机の上に並べたスマホ。

 どちらも多少表示の違いはあるけれど、『合格』の表示がされている。


「やったねっ!」


 思わずハイタッチで喜びあう。

「ねえ。ちゃんと見せて!」

「おぉ、いいぞ。存分に見たまえ」

「何よ、それ」


 如月のスマホに燦然と輝く『合格』の二文字。

 思わず頬が緩むのが、自分でもわかる。


「……受かったんだね、私たち」

「そうだな」


『結果が出たら、お互い報告し合おう』


 お互いの本命である大学の、結果が出揃ったこの日に会う。そう約束していた。

 当然、落ちていれば二次に向かって忙しくなるし、落ち込んで会える訳がない。

 来た時点でお互いの合格はわかってた。

 だけどこうして、目で見るとより実感する。


「よかった、本当に」

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