第4話
その夜のテーブルには僕の大好きなピーマンの肉詰めと、野菜たっぷりのスープが並んだ。
「このスープ、好き。野菜のうまみがすごいから」
「ほんとにわかってんの~、うまみとか」
「わかってる、わかってる」
「明日はカレーにしようね、このスープ」
「今回はシチューがいいな」
「了解」
「やった~」
友達が皮肉るのもわかる。僕たちはバカみたいだ。バカップルだ。
少年と少女のように、はしゃいで、それでもちゃんと金勘定ができて、二人で経済的に自立した生活を送っている。
幼い男女のように互いをむさぼる夜もまだあって、でも、春子のなかには深い悲しみもあって、それが再び大きく蠢く恐怖も握りしめている。
明日も二人で生きていけますように。
胸の中は小さな祈りでいっぱいだ。
めっきり減ったが春子はまだときどき寝ている間に枕を涙で濡らすことがある。
そんなとき、僕は彼女の手をぎゅっと握るしかできないのだった。
がんばれ、春子。
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