脱出
いろは
脱出
なんだか寒いな。布団に手を伸ばしたが動かしても触ることはなく、蹴り落としたかと体を起こした男はここが自分の部屋ではない事に気がついた。
冷たい床で体を震えた。
手足を伸ばせるくらいの部屋。
机の上に紙が1枚と椅子、天井には電球1つ少し揺れている。
紙には
マスクをつけた人があなたを殺しにきます。がんばってこの地下から脱出してください。
男は意味がわからずしばらく書かれてる文字を読み返した。
情報を得るために、ドアを少し開けて確認すると明るい通路が見えたが、どこまでかはわからない。
武器となりそうな物はと探すが椅子と机しかない。
椅子を持ち部屋を出た。
通路には電球がついていて明るい。部屋があるのかドアがある。
心臓の音が外に聞こえそうなくらい緊張をしながらドアを開けると壁だった。
しばらく壁を見つめて、近くのドアを開けてみた。
小さな部屋で机と椅子しかない。
通路にそって歩いているとマスクを被った人がいた。
なにか言ってるようだがモゴモゴしていてわからない。両手を広げ走ってきた。
あの紙に書いてある事を思い出し、手に持っていた椅子で殴った。動かなくなるまで。
男は荒い息を整え、動かない事を確認し先に進んだ。
通路の先に階段を見つけ、上に上がる。
上の階も同じ作りのようでドアが所々に見える。開けてみると壁や部屋があるの。
そしてマスクを被った人がいる。
男はマスクの人を椅子を使って殴り倒した。
何階上がったのかわからない。マスクの人を殴り倒し、ドアの開けた回数も覚えてない。
ドアを開けると眩しい光と盾を持った人がたくさん待ち構えていた。男は動揺するが警察だとすぐわかる。
男は助けてくださいと言ったが、警官たちの声でかき消され押しつぶされる、男の耳には手錠をかける音が大きく聞こえた。
男は事情聴取で、覚えがない事が多くあり混乱した。
殺人罪で親、友達、元犯罪者を殺した。証拠に映像もあると男は見せられた。
男が椅子で殴っていたのは、親、友達、知らない男だった。その場所に覚えがあった。男が先程までいた場所だ。
男にはマスクの人であったが、映像にはその人達の顔が映っている。
男は嘘だ、合成したんだろと繰り返した。
留置場で何日間過ごし、呼ばれたときに伝えられたのは、死体が全部見つかりひどく損傷していて本人確認に苦労したことだった。
男は裁判所で言った。紙がありそこに書いてあることを伝えた。
紙はなかったこと、なぜ紙の書いてあることを信じたのかだった。
不確な情報を信じて思い込みで、人を殺して許さることではないと言われ男は黙った。
言い渡されたのは死刑だった。
脱出 いろは @sikisai12
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます