第8話

「まだ立ち上がってくる元気があるようだな。壊れにくい玩具は大好きだぜぇ! さあ、第二ラウンドといこうか!グビビビビッッ!!」


剛槍がまわしい悪臭を放つ中、またしても触手がメインの身体に巻き付いた。


「くっ……また同じことをするのか……一度責め苦を耐え抜いた私に同じ手は通用しない! 次はその物体を根元からさばいてやる……!」


「グブッッ! 口だけで満足できるほど萎えちゃいねえよ。お愉しみはこれからだ。文字通り死の地獄へと案内してやるぜぇ……」


「なっ! 何を……するっ! くっ……あぁ!」


巻き付いた触手が突然収縮し、メインの身体がポールの所へ磁石のようにして引き込まれていき、互いの吐息が交じり合うほどに接近した。


「離……せ……っ! 気持ち悪い! お前に構っている暇はないんだ……!」


荒々しい息遣いがフェロモンとなってポールに降りかかる。


「こう間近で見ると本当にエロい顔立ちだ。俺の子供を産むために育ってきた顔をしてるぜ……」


胸から突き出た豊乳がポールのたくましい筋肉と擦れ合う。呼応するようにして極槍が天高く隆起してきた。


「死ぬまで犯し尽くしてやるから安心しな。死んだら最後、お前は全てのしがらみから解放される。お前が大切にしている奴も俺に任せておけ。責任をもって可愛がってやるからな! グッブゥ!」


メインの秘所に禍々しい大きさの大業物が宛がわれた。


「やめろおおおおおおおおおおおお!!」


ポールからサブの名前が出た時にメインの顔は紅潮し、自身が襲われることへの抵抗よりもサブが襲われることに憤慨ふんがいした怒声が響き渡った。

しかしその声は敵の嗜虐心を煽り立てる結果となってしまう。

絶望打ちひしがれる哀訴に悪魔の笑みを浮かべて膣口を突き刺した。


「ブッッビャアアアアアアアアアアアアッッッ!!」


貫かれる。


触手とは比べもものにならない丸太が慈悲の欠片もない勢いで破壊的に突き刺さった。


「いぎゃあああああ!? いぎゃっ!? いっ!? ぎゃっ!? ……っ……」


挿入の瞬間、明らかにサイズに見合っていない奇槍によって、いとも簡単に腰の骨が外れた。

ゴリッという聞こえてはいけない音が開幕の合図を告げ、衝撃に耐えきれなくなったあばら骨がドミノ倒しのように乾いた音を連鎖させる。

骨の砕ける振動が激痛として襲ってくるメインと淫棒での至高の快悦に浸るポール。二人の表情は対局的だった。


「グッブッ! ……おいおい。挿れただけで気ィ失ってんじゃねえよ。女ァッ!」

「……っはーっっ……ふっ……こふーっ……」


余りの衝撃と激痛で失神していたメインだったが辱物が引き抜かれる際に電流を全身に浴びせられたような激悦が全身を駆け巡る。


(ふっ……太いっ! 太すぎるっ! ……ぐっ……ぐるしい……)


言葉では悲痛の叫びをあげるメインだったが肉体は謎の背徳感で満たされていた。


仮死状態――身体の質量がなくなり意識が消え、天に上る至悦の解放。

天上から現実へと引きずり下ろす凄惨せいさんな苦痛。そしてまた死を迎える快楽。

視界がとめどなく明滅を繰り返す。臓器が押しつぶされる圧迫感と臨死体験のような解放感が交互に訪れる。

剛竿が抽送される度に眼球を裏返しながら力が抜け、また正気に戻り硬直する。全身の痙攣は魔性の快楽を表していた。


「ブッエッ! さすが宝石の所持者だ。俺様のピストンで生きているとは驚いたぜ!」


断続的な締め付けにポールの異形槍は加速度を増していき腰が止まらなくなる。下から突き上げる度に腹腔が亀頭の形に型どられた。


「がっ! がっ! がっ! あっ! あっ! ぐっ……がっ!」


為す術なく、恥辱を受け入れる身体は放心状態になりながらも秘境口が刺激されると愛蜜潮がプシャ! プシャ! と音を立てながら迸ってしまう。

度重なる痙攣けいれんと仮死状態へのいざないが陰惨な肉杭を無意識にに受け入れていた。

めくれ上がった膣壁が蛇のように絡みつき、妖艶に搾り上げ、貪婪どんらんな搾精運動を行う。


「ブッビッ! こいつは凄え! 死んで楽になっちまうどころかきつく搾り上げてきやがる……ブギャアアッ!」


至上の快楽に雄叫びをあげたポールの背中から再び無数の触手がわなわなと姿を現した。


「もっと……もっとだ! 淫惨な結末を! 否応なしの極悦を味わわせろ!」


粘膜触は四方に別れ、メインの柔肌にまとわりつく。


「うぁ……またっ……同じ手を……しかし、一度うけた恥辱は通用しない……愚か者目が……っ」

「はんっ! 誰がまたぶっ放すって言ったよ!」


四方に分かれていた触手が果肉が詰まった白桃に向かってにうぞうぞと蠢いていく。

(なっ……こいつら口だけでなく尻を……そこは不浄の穴……近寄るな……!)


蠕動ぜんどうしていく触塊が菊門へと手を伸ばす。淫腔をすぼめてせめてもの抵抗をするが口壺が触手に蹂躙されたことでその防壁はあっさりと侵入を許してしまった。


ズニュッ! ズニュニュッ! ズッッ!! ニュッッ!


「おぉ! おおおおおおおおおおおおおおお!!」


汚粘膜が触粘液と交わり腔内に粘塊を作り出す。粘塊は媚毒となって出口のない体内を彷徨さまよい、淫体に戦慄の快感をもたらした。


(尻穴の襞がかき回されてどんどん広がってる……そこに液体が染みついてきて身体が……熱い……)


触手が織りなす蠢きは剛竿で断続的に襲ってくる快感とは違った陰湿な快美があった。


「ビャッ! ビャッ! ビャッ! まんことけつあな両方ぶち抜かれて更に気持ちよくなっちまったか!?」


先の暴力的な口辱とは違い、なぞるような緻密ちみつな肛辱を展開する。


「おしりっ……なかっ! 拡げられてっ……! んきゃあっ……! あっ! あああっ!」


これまでにない腸管を責められる快悦に官能的な嬌声が漏れる。前の極太竿からはけるような悦楽を受け、後ろからは永久的な快美感を両に受け、メインの淫体は完全に蕩けきってしまっていた。


「ふぁ……あぁ……あぁ……っっぱぁ。……ああっ……あーっっっ! ……っぱぁ」


だらけきった表情は白濁液に顔を濡らしながら恍惚とした笑みを浮かべる。

かつての凛麗で端整な顔立ちは触手と性器を貪る淫乱王女としての素質を開花させる。

怒涛の淫辱受けて心も身体もぐちゃぐちゃになってしまった王女は脳が正常に機能しなくなってきていた。


「ブビッ! 先に頭が完全に飛んじまったか! グベッ! ベッベッベッ! まあ、ここまで持つとは思わなかったがな!」

「……あぁんっ! あぁ……あああああああ! ぐっっ……!あはあははははっはは!おあ!? ………んーーーーーっぱぁ……」


ポールの声に反応しているのか嬌声上げてはいるがその返答は来るオルガスムスに身を委ね、喪心もしんした言葉。何も考えられなくなった頭で反射的に口から音を吐き出していた。


「出来上がっちまったみたいだからなそろそろ止めといくかなグブブッ!」


メインの機能不全が近づいていることを予期したポールの胸の宝石がひと際大きく輝き、極槍と触塊が充血し膨張を始める。極淫棒は更に辱体を軋ませ菊門触手はさらにその先、腸内を這いずり、物凄い勢いで駆け上がっていく。


「あぁっ、あっ……あっ!? ごぶっ……!? おおっ!? おっ!?」


内臓を競り上がる鈍痛がメインを襲う。下の口から逆流してくる異物が強烈な吐き気を催し、呼吸口が圧迫されて酸欠状態になっていく。

腸を侵略し胃まで到達する頃には酸味のある胃液が気管に入り息が苦しくなるが、鼻水をすすりながら必死に息衝く。

吐くことしか考えられなくなった思考回路はおとがいを大きく反らし吐出の構えに入る。

そして排泄触手は喉元から出てくる獣の声と一緒に口から飛び出した。


「がっっ! うっっっっ……っ! ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


牝の媚びへつらう嬌声が全て過去のものだと思わせる、地割れのような低い絶叫が鳴り響いた。尻穴から口へ貫通した触手は淫触液をまき散らしながら天高く舞い上がる。


「ブッッビャアアアアアアアアアアアア! 最高の声だ! 死ね! 死の波に沈んでいけ!」


シュルルルルルルッ!


最高潮の興奮を抑えきれないポールは手足を縛りあげている触手の一部が鼻と耳の淫口へ伸張させ、鼻孔と中耳に淫蟲を強引にねじ込んだ。


「ッッッブッビャ! ッッッブッビャ! ッッブッビャ! お似合いの姿だぜぇ!」


耳、鼻、口、尻、性器全ての穴を極太槍と触手で塞がれたメインの手足は力なく垂れさがり、貫通した触手によって声にならない振動を震わすことしかできなかった。

陰惨たる光景と自身の雄肉を貪欲に締め付ける牝の肉感に至高の愉悦を感じた剛竿が射精の時を迎える。


「ブピーブピー……ッッッッ! ビャッ! ビャッ! ビャッ! ビャッ! ビャッ! ビャッ! ビャッ! ブルッッッッッッッ……ビャアアアアアアアア!」


大咆哮をあげながら吐精するその瞬間、ポールの宝石が邪悪に黒く光り、辺りを真っ暗がりに変えた。


ビュルウウウウウウウウウウウウウッッッッッッッッッ! ビュルウウウウウウウウウウウウウ! ビュッッッッッッッッッ! ビューーーーーーーーー!


穴を塞いでいた全ての生殖器から激甚量の精液が爆発していく。

射精の瞬間、メインの本能が死への危険を察知した。しかしそれ以上に、凌辱の限りを尽くされ、酸いも甘いも味わった身体は愉悦のとりことなっていた。朦朧もうろうとする意識の中で王女はオルガスムスの世界へ手を伸ばした。


(……イっッッっっっっっクっ!)


メインの身体は一瞬にして風船の様に膨らみ、全身を精液が駆け巡った。流れ込んだ精液は出口を求め、こじ開けるようにして体内を流れ回る。

しかし触激と充血棒で蓋をされた穴は開かない。出口を失った孕液は逃げるように猛烈な勢いで暴れ回る。

垂れ下がっていた手足はおぞましいほどに痙攣を繰り返し、膣淫からは制御不能となった快感が絶潮として排泄された。


「ブエッヒェッヒェッ! 気持ちよかったぜぇ……」


ポールの凄肉根は最後の一滴まで余すことなく吐精した。


――永遠とも思える射精が終わる。肉詰めにされたメインの身体からゆっくりと淫獄蟲が身体を解放していく。

支えが無くなった身体は力なく地面に落とされ、塞がれていた穴からは凄惨な量の白濁液が溢れ出した。快悦に浸る暇もなく、喪心状態となっていた心と体は電気ショックを流されたように痙攣が波打ち、膣口が空気を求めるようにして大きく収縮運動を繰り返していた。


暗闇の中、白い精液が闇に照らされ、死悦を味わった身体が薄っすらと浮かび上がる。風前の灯火だった目の光が闇に照らされゆっくりと暗転した。



光も音もない暗澹あんたんたる世界の中で小さな意識だけが取り残されていた。


(ここは、どこだ……)


真っ暗で何も見えない。音一つ聞こえない。夢でも見ているのかと思う。思考が働かない。

今にも身体中から何かが吐き出しそうな正体不明の気分の悪さが纏わりついている。

まるで……自分という存在が何かによって白く汚され、黒く穢されているようだ……


(近くに誰かいるのか……姿を見せたらどうなんだ)


………………


不安定な意識の中で相手の存在を確かめるが返ってくるのは増幅した嫌悪感だけだった。

状況を打開できるかもしれない淡い期待は記憶と共に消えていった。脳が溶けていくよう感覚……意識が真っ黒な闇に呑み込まれていく。


(あぁ……意識がまた遠くなっていく……気持ちが悪い……)


無気力に襲われ闇の中に全てをゆだねようとする前……それは無意識に出た言葉だった。


(……また? ……私はすでにこの感覚を味わっているのか……?)


消えていくはずだった意識が寸手の所で僅かに覚醒する。


(思い出せ……この嫌悪感……私を蝕む根源と向き合うんだ……)


見えない相手に再び意識を飛ばすと強烈な感覚がメインを襲った。


(ぐっ……これだ……全身が白く汚されていく壮絶な気持ち悪さ……)


僅かな綱を手繰り寄せ、考えることを放棄していた思考と記憶が蘇っていく……真っ暗な暗闇の中で黒く穢され、白く身体が染め上げられた時の絶頂。


(そうだ……わたしの身体はポールという化け物に全身の穴という穴を塞がれ、射精された……この感覚……)


絶頂の瞬間、絶頂と共に全ての光が消えた。

メインの光であるサブ……サブがこの化け物たちに攫われた。

メインはポールに敗北し、何度も犯された。サブを助けることができず、あまつさえ肉体が蝕まれることに愉悦感じてしまっていた。


そしてメインの身体は壊れた。死んでしまうくらいに…………最高に気持ちがよかった。


………………


それでも光……サブは心の中に残り続けている。闇に屈してしまうことはサブの光も潰えてしまう……それだけは許せなかった。


(サブ……サブ……!)


黒一色の世界から一つの光が小さく光り輝く。闇に囲われた光は周囲を灰色に照らし始めた。

メインの身体が薄暗くシルエットとして浮かび上がり、その後ろには醜悪な笑みを浮かべた巨大なオーガが隆起した性器を挿入しようとしていた。


(この肉だるまは何故私を笑っている……わたしの全てはサブ……お前だけものだ。サブが私の光。他には何もいらない……!)


メインの宝石が今までと違う、黒い瘴気を放ち、メインに覆いかぶされるようにして体内に取り込まれていく。

すると純白の透き通った肌が徐々に色を持ち薄褐色の色素へと変容し始めた。


いびつに軋み、折れ砕けた骨も驚異的な治癒力によって矯正されていく。

体内を蹂躙していた吐精液も蒸発するが様に乾燥していった。そして純白の髪は闇に浸蝕されるようにして灰色へと変色した。


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