ポポポポンキュ

あれは確か私が小学1年生ぐらいの頃です。

東京に住んでいる私は、お盆の長期連休を利用して静岡に住んでいる祖母の家に行きました。

私と両親、愛犬のポンの3人と1匹です。

 

両親は仕事の都合で東京に住んでますが、地元は同じです。なので、1日目は母方の祖父母の家に泊まり、2日目に父方の祖母の家に行きました。


父方の祖父は、私が物心つく前に亡くなっており、今は広い家に祖母1人で住んでいます。

 

2日目の夜の出来事です。

父と母は、高校の同窓会があるということで私とポンを祖母に預け夕方に出掛けて行きました。

 

祖母と2人で夕食を食べ、祖母が台所で洗い物をしてる時にポンが居ないことに気が付きました。

居間を出て探すと、ポンは玄関に居ました。

ただ、様子がおかしいのです。毛を逆立てて唸って一点を見つめているのです。

そこは「離れ」に続く廊下です。

 

祖母の家は玄関横に離れに続く廊下があり、廊下の先に大きめの和室が横並びに2部屋あります。そのうちの奥の部屋が仏間になっています。 

その誰も居ない、真っ暗な離れに向かってポンは唸っているのです。


当時の私は、まだ心霊的な恐怖が解っていませんでした。暗闇の廊下に一歩踏み出し、ポンの方に向き直し「おいで」と話しかけました。

しかし、それを聞いたポンは一声大きく鳴くと走り去っていきました。 


つまらない気持ちになり私も戻ろうとしたその時、背後から視線を感じました。

振り返ると仏間から男が覗いていました。

顔を横に倒したような感じで、鼻から上をニュッと出して私を見ています。

顔上半分しか見えないので全体は理解出来ませんでしたが、その顔は異様に白く、目は大きく見開いていました。

 

あまりの衝撃に私が動けずにいると、その顔の上から手が伸びて来て、私に対して「おいで、おいで」としてきました。

 

その時ようやく、私は恐ろしい事が起きていると気付き居間に走って戻りました。


居間で机を拭いていた祖母に今起きたことを話すと、確認してくると言うので、1人残されるのが怖い私もついていくことにしました。

 

離れ全体に電気を付けて中を見るも、人が居た形跡はありません。

まだ怯えてる私に祖母は優しくこう言いました。

「今はお盆だからね。きっとお祖父ちゃんが天国から○○ちゃん(私)に会いにきてくれたんだよ」と。


そう言うと祖母は懐かしそうな顔をして、視線を部屋の壁に移しました。視線の先を見ると、そこには祖父、曽祖父など御先祖様の写真が飾ってありました。

 

私も1人1人の顔をよく見ました。

しかし、そこには先程見た男の顔はありませんでした。

 

それから先、ひとりで、特に夜に離れを訪れることはなく、その男を見ることもありませんでした。

 

その後、祖母も亡くなり、あの家には誰も住んでいません。

あの男は誰なのか?

あの男はまだあの家にいるのか?

最近はそのことばかり気になっています。

 

今度、ひとりで家を訪れてみようと思います。

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ポポポポンキュ @popopoponq

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