Challenger!~夢への道のり~

@shirasu_kawahara

Challenger!~夢への道のり~ (1話完結)

俺の名前は木村大河。影山学園に通う中学1年生。親の勧めでこの学校に入学したものの…まだ何も得られていない。俺は昔から引っ込み思案で、やりたいと思ったことを正直にやりたいって言えなかった。今も、人に自分の気持ちを伝えるのが苦手だ。両親は、そんな俺のことを心配して、色んなことにチャレンジして欲しいから と言って、私立で学費が高いのにも関わらず、この学校を勧めてくれた。そんな両親の期待に応えたい。そう思っているものの…今のところ何にもチャレンジ出来ていない。学級委員とか、行事の実行委員とか、友達作りとか、やってみたいことは沢山あるけど…俺は後1歩が踏み出せなかった。俺が手を挙げようとしたり、話しかけたりしようとしたときには、既に他の人に取られてしまっていた。俺はそんな自分が嫌で、学校も楽しくなくなってしまった。

そんな俺に、突然チャンスは訪れた。ー

ー 「今日の学活は、合唱祭が近付いてきたので、合唱祭の実行委員会と、クラスのスローガンを決めていきたいと思います。それじゃあ、先ずは実行委員を決めたいんだけど…やりたいよーって人はいますか?」

「はいはい!!俺やりたいです!!」

「お!斎藤さんありがとう!!

それじゃあ、後1人、誰かいませんか?」

教室が静かになった。俺は音楽が好きだから、中学生になったら合唱祭の実行委員をやりたいと思っていた。今俺が手を挙げたら、俺は実行委員になれるかも知れない。でも…こんな俺に、そんな大役が務まるのだろうか。皆は、どんな反応をするんだろう…嫌がられたりしないかな…

「先生!! 確か木村さんが合唱祭の実行委員やりたいって言ってましたよ。」

「よこ!ちょっと、何言ってんの!」

「え?だって、この前やってみたいって言ってたじゃん。え、もしかしてもうやりたくなくなっちゃったの?」

「いや、そうゆう訳じゃないけど…」

「だったらやりなよ!! 大河なら出来るよ!!」

「そうかな?」

「絶対出来るよ!! 大河しっかりしてるし、音楽好きだし!!」

コイツの名前は横原悠汰。小学生の時からの俺の唯一の友達。よこは行動力があって、思ったことを正直に言える。俺もよこみたいに自分の気持ちをちゃんと伝えられたらな~とは思うけど…クラス全員が聞いている中でそうゆうことを言われるのはちょっと恥ずかしい。でも、せっかくのチャンスだし、このチャンスを逃したら、俺がここに入学した意味がなくなっちゃう…

「木村さん、どうかな?実行委員やりたい?」

「あ、えっと…やりたい、です。」

「ありがとう!! それじゃあ、実行委員は斎藤さんと木村さんの2人で良いですか?」

『はーい』

「それじゃあ、うちのクラスの実行委員は斎藤さんと木村さんにお願いしたいと思います!! 2人とも宜しくね!!」

『はい!!』

初めて、自分でやりたいって言えた。嬉しかった。やりたいことをやりたいって言うのは少し怖いけど…それ以上に嬉しくて、楽しいことなのかも知れない。ー

ー 「よこありがとう!! 俺、よこがいなかったら実行委員出来なかったよ。」

「大袈裟だなぁ笑 やりたいことがあるだけで、充分すごいと思うよ?俺にはやりたいことなんてないしさ笑 大河はもっと自分に自信持ちなよ。やりたいことあるのにやらないとか損だよ?もっと人生楽しみなよ。」

「うんっありがとう!!」

友達の存在の有難みを、俺は今日初めて感じたかも知れない。俺って、思ってた以上に恵まれてたんだな。俺のこと支えてくれてる人達に、ちゃんと感謝しなきゃだな。よしっ、帰ったらお母さんとお父さんにありがとうって言お!! ー

ー 「大河くん、だっけ?俺斎藤新太!! これからよろしくね!! 合唱祭絶対成功させようね!!」

「うん!! こちらこそよろしく!!」

斎藤新太。よこ曰く、斎藤くんは凄いやつらしい。いや、斎藤くんは凄い。失敗を恐れずになんでもチャレンジしてるし、やりたいことを好きなだけやっている。しかも、毎日別の習い事をしているらしい。その分トラブルメーカーで、友達はあまり多くないらしいけど…何にでもチャレンジ出来る力は俺にはない。だから、斎藤くんは俺とは掛け離れたところにいる人だと勝手に思っていた。でも…そんな斎藤くんと仲良くなるチャンスが来た。俺は、もうチャンスを逃したくない。俺は、チャレンジしたい。この学校に入ったからには、何か大きなものを得たい。引っ込み思案な俺とは…もう卒業したい。ー

ー 「大河!!」

「湊!!」

こいつは松原湊。小学校は違かったけど、親同士が仲良しで、俺の幼なじみ。新太と小学校が同じで、今でも仲良くしてるらしい。

「新太から聞いたよ!! 合唱祭の実行委員、新太と大河なんでしょ?」

「うん!そうだよ。」

「新太さ~、すぐ目移りしちゃうからサボり癖酷くてさ。まぁ、好奇心旺盛なところは新太の長所だと思うけど…周りの事すぐ振り回しちゃうところが新太の良くないところなんだよね~…だから、もしかしたら大河に迷惑掛けることもあるかも知れないけど、新太別に悪い奴じゃないからさ!まぁ仲良くしてあげてよ!笑」

「分かった!!」

迷惑、か…齋藤くんの迷惑だったら、俺許せるかも笑 齋藤くんからは、周りに強い影響を与える力を感じる。齋藤くんとなら…何か大きいものを得られる気がする。俺の中学校生活は、俺が彩る。ー

ー 「ねぇ大河くん。皆合唱嫌いなのかな?」

「急にどうしたんだよ笑 俺は合唱好きだよ?」

「俺も合唱好きだけど…皆全然やる気なくない?俺らの言うこともあんまり聞いてくれないし、ちゃんと歌ってくれないし。」

「あ~、確かにそうだね。湊のクラスもちゃんとやってないらしいし…このままだとまずいよね。」

「だよね~…なにかいい案ないかな?もっとこう…学校全体を盛り上げたいし、皆に合唱祭を楽しんで欲しい!!」

「俺もそう思う。ん~、何かないかな…」

「俺、合唱のよさを皆に伝えたい!!そうだ!!合唱祭のよさが伝わるようなポスターを作って、学校中に貼ろうよ!!そしたら皆ちゃんと練習してくれるし、皆が楽しめる合唱祭になると思う!!」

「それ良いじゃん!!!! やってみようよ!!」

「うん!!じゃあ、俺放課後田邊先生に許可取ってくるね!」

「ありがとう!!」 ー

ー 「失礼します!!」

「は~い。斎藤さん、どうしたの?」

「田邊先生に1つお願いしたいことがあるんですけど…」

「なに?」

「僕、もっと合唱祭を盛り上げたいなって思ってて。それで、合唱祭の魅力を伝えられるようなポスターを作って学校中に貼りたいな~って思うんですけど、どうですか?」

「なるほどね~…ごめんだけど、私は出来ないかな。」

「えっなんでですか!?」

「私忙しくて手伝う時間ないから。」

「僕たちだけで出来ます!!」

「本当に?貴方いつも仕事サボってるじゃない。」

「自分がやりたいって思ったことはちゃんとやれます!!」

「じゃあ、合唱祭の実行委員はやりたくないってこと?」

「いやっそうゆうわけではないんですけど…」

「貴方みたいな仕事をサボる人には何もさせてあげられません。もう吹部始まっちゃうから今日は帰って。」

「…分かりました。失礼しました。」

俺は昔から、自分のことをコントロールするのが苦手だ。色んなことに対してやりたい!!って思っちゃうし、その気持ちを抑えられないから、他のことをないがしろにしてしまう。そのせいで、俺はいっつも皆に迷惑かけちゃうし、やらなきゃいけないことがちゃんと出来ない。そのせいで俺のやりたいことが出来なくなるなるなんて…やっぱり、俺このままじゃだめなのかな…もうイヤだよ…なんで俺こんなんになっちゃったんだろう…

「新太くん!」

「大河くん…」

「許可取りどうだった?」

「だめだった…大河くん、ごめん。俺がやることちゃんとやらなかったせいで、許可もらえなくて…本当にごめん。」

「大丈夫。新太くんは何も悪くない。新太くんにはどんなことでもチャレンジ出来る力がある。それって本当に凄いことだと思う。だから、新太くんが自分を責める必要はない。ポスターがダメなら、また別の方法考えれば良いじゃん。そんなに落ち込まなくてもいいよ。」

「大河くん…ありがとう。俺、やりたいことやれるのが当たり前だと思ってた。でも…そうじゃないんだね。やりたいことやれるって、すごいことなんだね!」

「それに気付けたなら大丈夫。新太はこの先、もっともっと強くなれるよ。人間に限界なんてない。気持ちさえあれば、人間はどこまでも行けるんだよ。だから、新太は何でも出来る。可能性は無限大だよ。」

「うん!!ありがとう!!

ポスター以外に、なにかいい案ないかな?」

「ん~、なんだろう…」

「やっぱり思いつかないよ…」

「大丈夫、焦んないで。

もう1回ちゃんと考えよう?」

「うんっ」

新太の暗い顔は初めて見た。新太のために、何か出来ないかな…別の案は俺も思い付かないし…俺が言ったら、田邊先生許可出してくれるかな?でも、俺にそんなこと出来るかな?いや…出来るか出来ないかじゃない。やるかやらないかだ。俺がここで何もしなかったら、また新太に暗い顔をさせることになる。それだけは絶対に嫌だ。引っ込み思案だった俺とはもう卒業だ。俺がやるんだ。俺にしか出来ないんだ。俺は…チャレンジャーだ。俺は、チャレンジするんだ。ー

ー 「田邊先生!! 今ってお時間大丈夫ですか?」

「いいけど、どうしたの?」

「あの、先日斎藤が田邊先生に許可取りしてたと思うんですけど…」

「あぁ、ポスター?」

「はい、そうです!それなんですけど…」

「皆やる気がないなら無理にやらせようとしなくても良いじゃない。」

「皆がやる気を出せる様な環境を作れば良いんです。それが音楽教師の仕事なんじゃないんですか?」

「吹部の指導の方が大事なんです。私にはそんな時間無いので。諦めてくれますか?」

「俺と新太だけでどうにかします。お願いします。やらせてください。」

「たった2人で全校生徒の心を動かすなんてどうせ無理でしょ笑 分かったわ。好きにしてちょうだい。私は一切協力しませんからね。」

「勝手に決め付けないでください。生徒の可能性を伸ばすのが教師なんじゃないですか?生徒の可能性を潰すような先生はこっちから願い下げです。俺と新太でこの学校を変えてみせます。」

「何よ偉そうに笑 やれるもんならやってみなさい。まぁ、どうせ無理だろうけどね笑」

勢いで色々言っちゃったけど、流石に言いすぎたかな…でも、こんなにスカッとしたのは初めてかも知れない。限界なんてない。俺はやり遂げてみせる。俺と新太の力で合唱祭を成功させてみせる…!!!! ー

ー 「えぇ!?!?ポスター作れるの!?」

「うん!まぁ、協力してくれる人はいないんだけどね笑」

「やった!!早速やろ!!」 ー

ー 「大河くん!!」

「新太!! どうしたの?」

「俺って迷惑?」

「え?全然そんなことないけど…急にどうしたの?」

「この前さ、ポスター作りのために教室に残ってたら聞いちゃったの。あいつトラブルメーカーだし、きっと木村にすごい迷惑かけてるよ笑 って。俺、自分の気持ちコントロールするの苦手だからさ。もしかしたら、気づかないうちに大河くんに迷惑かけちゃってたのかな~って思って…」

「迷惑なんか掛かってないよ。俺は、新太の何にでも恐れずにチャレンジするところに惹かれたから、一緒に合唱祭の実行委員やってるんだよ。だから、そんなこと考えなくて良いよ。確かに、他の人から見たら新太はトラブルメーカーだけど、俺から見たらカッコいいヒーローだし笑 悪いことについて考えなきゃいけない時もあるけど、いつまでも悪いことばっかり考えてたら自分が苦しむだけだから。悪いことこ先にある良いことについて考えた方が人生は楽しいよ。ほら、やりたいことやれるだけ出来る方が楽しいでしょ?」

「うん!大河くんありがとう!!大河くんほんとに優しいよね!!」

「俺は俺が思ったことをそのまま言っただけだよ。」

「流石大河くん!!ありがとう!!これからもよろしくね!!」

「こちらこそ!!」 ー

ー ー 『ん~…ここもっとこうした方がいいかなぁ?あ!ここの文字もっと大きくしたい!!』

『背景の色、もっと明るくしたいかも!』

『おっけ~ ここちょっと微妙だな…ここもうちょっとこうしてみるのはどう?』

『その方がいいかも!!流石大河くん!!』

『ベースは新太が作ってくれたから、新太の方こそ流石だよ!笑』

『やった!!出来た!!』

『このポスター見て、皆が合唱祭楽しんでくれたら良いね。』

『うん!!』 ー

ー こうして新太と作り上げたポスターは想像以上に好評で、皆真剣に合唱祭の練習に取り組むようになった。そして、合唱祭当日。

俺たちの合唱が始まった時は怖い顔をしてたのに、合唱が終わる頃には号泣していた田邊先生が面白くて、俺たちの合唱が終わった後、新太とずっと笑ってた笑 2年生と3年生の合唱も凄く良かったし、皆楽しそうだった。合唱祭は大成功だった。

「大河くんやったね!!合唱祭大成功!!」

『いぇ〜い!!!!!!!』

「大河くんありがとう!!俺、大河くんのお陰で仕事ちゃんと出来た!!本当にありがとう!!」

「こちらこそ、俺にチャレンジさせてくれてありがとう。新太と実行委員やるの、すっごい楽しかった!!」

「俺もめっちゃ楽しかった!!また一緒に何かやろ!!」

「もちろん!!」 ー

ー 「大河く~ん…」

「どうしたの?」

「ママとパパに怒られちゃった…」

「えっどうして?」

「この前のテストで今までで1番低い点数出しちゃってさ…このままだと、俺習い事減らされるかも知れないの。でも、俺それはイヤだからなんとかしたいんだけど…ママとパパに次のテストで順位が2桁台にならないとダメって言われちゃって…大河くん勉強得意だから、俺に勉強教えてくれない?」

「なるほどね。良いよ!冬休みに俺ん家で一緒に勉強しよ!!」

「ありがとう!!助かる!!」 ー

ー 「それじゃあ…まず前回のテストの解答見せて。」

「うん。はい、これ。」

「ありがとう!」 ー

ー 「なるほどね~…後100点くらいは伸ばせそうだね。」

「え!?!?ひゃくてん?」

「うん。文章読解の基礎が出来てるから、国語はすぐ伸びると思うし、国語が伸びるなら他の教科も割と簡単に伸びるから。それに…新太多分地頭良いから、吸収も早いと思うし、次のテストまでに100点くらい伸ばせると思うよ。」

「ほんと?大河くんがそう言ってくれるなら俺出来る気がする!!」

「新太なら絶対出来るよ!!

じゃあ…まずは国語からやろっか。」

「うん!!」 ー

ー 「…だから、ここの答えはこれになるの。

どう?以外と簡単でしょ笑」

「すごい!!分かる!!勉強面白い!!大河くんすごい!!ありがとう!!」

「この先、やりたくない事をやらなきゃいけない時もあると思うけど、やってみたら以外と楽しいかも知れないし、やってみないと分かんない事だって沢山あるしさ。まずはやってみる事が大事だよね。何にでもチャレンジ出来る新太なら、それは得意でしょ?」

「うん!!そうだね!!俺、これからは勉強もちゃんとやる!!」

「分かんないところがあったらいつでも聞いてね!俺、新太の力になりたいからさ。」

「ありがとう!!俺も大河くんの力になりたい!!」

「ありがとう!! よしっ!次の問題行くよ。」

「うん!!」

こうして俺達は夜まで一緒に勉強をした。人に教えると、自分の復習にもなるし、より知識が定着するから、相手のためにもなるし、自分のためにもなる。人に教えるって、結構良いことなんだな。よしっ!これからも色んな事にチャレンジして、色んな事が教えられるような人になろう。ー

ー 「大河。今ちょっと良い?」

「うん!なに?」

「大河、最近変わったよね。」

「え?」

「凄く良い目してる。人生楽しんでますって顔してるよ笑」

「何それ笑」

「とにかく、大河が自分に自信が持てるようになって良かった。この調子で、これからも沢山チャレンジしていってね。」

「うん!! ありがとう!! 俺、中学校影山学園にして本当に良かったって思ってる。影山学園にしてなかったら、俺はチャレンジ出来てなかった。だから、本当にありがとう。俺のために、色々してくれて。」

「大河が将来立派な大人になってくれればそれで良いよ。これからも無理のない程度に頑張りなね。」

「うん!! ありがとう!!」

俺…変わってたんだ。確かに、合唱祭の実行委員やる前はシャイな自分が嫌だったけど、今は自分の事嫌いじゃないかも。自分の変化って、意外と気付けないもんなんだな~…ん?誰だこれ。IMPACTs?最近よくテレビに出てる人達か。折角だし、見てみようかな。 ー

ー へ~、片方は耳が聞こえなくて、もう片方は目が見えないんだ。それでもアイドルやってるって凄いな…しかも、歌もダンスもめっちゃ上手いし、すっごい楽しそう。やっぱり、障害者だって同じ人間だもんな。障害者も、輝けるはずだもんな。俊介くんと椿くんのチームワークも凄いし、お互い信頼しあってるのが伝わってくる。何より…見てるこっちまで楽しい気持ちになる。凄い。カッコいい。俺もああゆう風になりたい。でも…アイドルってどうなるか全然分かんないし、もしかしたら、また両親に色々させる羽目になるかも知れない。それは嫌だな…歌う事は好きだし、ダンスもこれからやれば間に合うとは思うけど…芸能界ってそんなに甘い世界じゃないからな…両親にちゃんと恩返ししなきゃだし、今は目の前の事に集中しよう。ー

ー 「大河くん大河くん!!!!」

「おぉ、どうした?」

「見て見て!!!!62位!!合計点95点上がった!!初めて全教科平均点超えた!!

大河くんが色々教えてくれたお陰だよ!!

本当にありがとう!!!!」

「まじで!?やったじゃん!!やっぱりやれば出来るじゃん!!」

「へへっ笑 勉強って楽しいね!!まだ分かんない事多いから、また今度色々教えて!」

「もちろん!!」 ー

ー 「はぁ~~疲れたぁ~~…ねぇねぇ!大河くんはどうしてそんなに勉強頑張ってるの?大河くんって勉強好きなの?」

「ん~…俺、親の勧めでこの学校に入ったんだよね。そこまで金持ちじゃないのに高い学費払ってもらっちゃってるし、これ以上親に迷惑掛けられないからさ。今のうちから勉強して、良い大学行って、良い会社に就職出来るようにしたいんだ!」

「へぇ~、なんか大河くんらしいね!笑」

「え~笑 そうかな?」

「うん!大河くん今日もありがとね!!

また今度一緒に勉強しようね!!」

「うん!!」 ー

ー 「大河くん大河くん!!見てみて!!45位まで上がった!!」

「おぉ!凄いじゃん!!」

「でも、数学と理科があんまり伸びなかったの。だからまた色々教えて欲しい!」

「良いよ!」

「ありがとう!!」 ー

ー 「大河くん!おはよう!」

「新太!! おはよ!」

「新しいクラス見た?」

「まだ見てない。」

「じゃあ一緒に見よ!」

「うん!」

「1組から見よ!1組は~…」

「あ、俺1組だ。」

「え…俺1組じゃない…えぇぇやだぁぁーーー俺大河くんと同じクラスがいいーーーー」

「しょうがないよ。同じクラスじゃなくても一緒に勉強は出来るでしょ?」

「そうだけどさ…」

「新太!!!! 俺たち同じクラスだよ!!」

「かげ!!え、マジで!?よかったぁ~友達いて。かげよろしくね!!」

「おう!! 早く行こうぜ!!」

「え、ちょっと待って。新太って影山くんと仲良かったの?」

「うん!家近いんだ!」

「そうなんだ。確か影山くんって…」

「ここの校長の息子です!笑 改めて、俺影山俊哉!気軽にかげって呼んで!よろしくね!」

「こちらこそ!! 俺は鈴木大河。俺も気軽に大河って呼んで!」

「おう!よろしくな、大河!」

「よろしくね、かげ!」

「よぉ~しっ!新太、大河、行こうぜ!!」

「行こ行こ!!あ、俺ら何組?」

「2組!大河は?」

「俺は1組。」

「お!隣じゃん!」

「やった!!1組と7組とかだったら俺やばかったよ…」

「新太最近大河の話ばっかしてるもんな笑」

「えっそうだったの!?」

「おん。大河くんに勉強教えてもらってるんだー!大河くんすっごい頭いいんだよ!大河くんのお陰で俺めっちゃ順位上がったの!すごくない!?ってめっちゃ言ってくる笑」

「俺そんな喋り方じゃないよ笑」

「いや、ちょっと似てる笑」

「大河くんまで!!もぉ~…」

「ごめんごめん笑 ありがとね、新太。新太の成績が上がったのは、新太が努力したからだから。そこにはちゃんと自信持ちなね。」

「うん!ありがとう!!」

「お前ら良いコンビなんだな。なんか微笑ましいわ笑」

「なにそれ笑」

「えぇ?分かんねー笑」

かげは凄く明るくて話しやすい。太陽みたいだ。俺は…大きい河、大河。かげ見たいに人を照らすことは出来ないかも知れないけど…沢山の人に恵みを与えられる人になりたいな。恵みを与える…いや、その話はもう終わった。俺は良いところに就職して、両親に恩返しするんだ。良いところで働けば…色んな人に恵みを与えられるようになるよね。ー

ー 「え~今日は、委員会と係を決めます。まずは学級委員を決めたいんだけど…やりたい人はいますか?」

「はい。」

もう迷わない。もう引かない。合唱祭の実行委員をやってみて、リーダーの大変さを感じたけど、それと同時に、クラスが1つになった時の達成感も感じた。その時から、俺は来年学級委員をやりたいと思うようになった。俺にその大役が務まるかどうかは分からないし、不安もあるけど、やってみないと何も分からない。何も得られない。だから…俺はもう迷わない。ー

ー 「大河くん!!」

「新太!」

「大河くん学級委員やるってほんと!?」

「本当だよ。」

「まじ!?頑張って!!大河くんなら絶対出来る!!」

「ありがとう。俺が今回立候補出来たの、新太のお陰だと思う。新太がいなかったら、俺多分立候補出来てなかった。だから、ありがとう。これからもよろしくね!!」

「うん!!こちらこそ!!」 ー

ー 「ん~…新太の課題はケアレスミスだな。

これ見て。」

「うわっ、なにこれ。」

「各問題の正答率。毎回各教科の先生に頼んで貰ってるんだけど…今から説明するね。まず、新太が間違えた問題に線を引くと…こうなる。」

「おぉ。」

「で、その問題の正答率に線を引くと…何か気づくことない?」

「ほぼ全部正答率60%超えてる…」

「そう。ここら辺の正答率10%くらいの問題はまだ取れなくても良いけど…ここら辺の問題は取れないと勿体ないよね。で、他の教科も同じようにすると…ざっと60点だな。」

「60点!?俺そんなにしょーもないミスしてるの!?」

「うん。残念だけど、そうだね。」

「うわぁーーマジか…だから俺天然って言われるのかー…」

「それとこれは別。ケアレスミスはちゃんと対策出来るよ。」

「えマジで!?」

「うん。0には出来ないけどね。」

「え、教えて教えて!!」

「まず、落ち着いてテストに臨むこと。そして、問題文をよく読むこと。そして…問題を沢山解くこと。新太は勉強以外で忙しくてあんまり時間取れないかもだけど、1日2、3問やるだけでも結構変わるよ。」

「なるほど…流石大河くん!!勉強になります!!笑」

「60点か~…60点上がったら、大河くんに大分近付けるね!!」

「そうだね。新太才能あるからすぐに追い付けると思うよ。」

「やった!!大河くんと同じくらいになれるまで俺頑張るね!!」

「うん。お互い頑張ろう!!」

「うん!!

あっそうだ!!ねぇねぇ!大河くんってこの人達知ってる?」

「IMPACTs?知ってるよ!」

「マジ!?凄いよねIMPACTs!!俊介くんのダンスキレッキレでめっちゃカッコいいし、椿くんの歌声もめっちゃ綺麗だし最高なんだよね!!チームワークもいいし、見てる側も元気になるんだよね~…」

「分かる。2人ともすっごい輝いてるよね。」

「え!大河くんもIMPACTs好きなの!?」

「まぁ、一応。」

「えぇーやったぁ!!嬉しい!!

俺、IMPACTs見たいになりたい!!アイドルになりたい!!てゆーか、俺アイドルになる!!親に話してOKもらえたから、この前IMPACTsの事務所に履歴書送ったんだ!!

これで受かったら、俺アイドルになる!!

IMPACTsみたいになる!!」

「マジで?流石だね、新太。新太の行動力には勝てないよ笑」

「大河くんは?俺、大河くんとアイドルやりたいなって思ってて…あ、別に大河くんが嫌なら全然大丈夫なんだけどね。」

「俺は…俺は、いや、俺もアイドルになりたい。IMPACTsみたいになりたい。でも…両親にこれ以上迷惑は掛けられないし…」

「迷惑じゃないと思うよ。」

「え?」

「子供の夢を応援しない親なんていないと思う。俺はまだ子供だからちゃんとは分かんないけど、大河くんのご両親は大河くんの夢に向かって頑張ろうとする気持ちを受け取ってくれると思う。確かに、アイドルの世界ってそんなに甘くないし、売れっ子になれる人達はほんの1部かも知れない。それでも、誰かに幸せを与え続けるアイドルって、俺はめっちゃカッコいいと思う。それに、人って努力してるときが1番カッコいいんだよ。だから、まだ諦めちゃダメ。1回ご両親に話してみたら?」

「新太…ありがとう。俺、まだ諦めたくない。今日帰ったら親に話してみる。」

「大河くんなら大丈夫!!応援してる!!」

「ありがとう!!」 ー

ー 「ただいま~」

「おかえり!お疲れ様。」

「もうご飯出来てるぞ。」

「ありがとう!! すぐ食べるね!」 ー

ー 「お母さん、お父さん。ちょっと良いかな?結構大事な話なんだけど…」

「良いよ。どうしたの?」

「ちょっと緊張するな~…笑」

「そんなにかしこまらなくても良いよ笑

えっと、あのさ。俺……アイドルになりたい。IMPACTsっていうアイドルユニットがあってね、その人達が凄く格好良いんだ。2人とも障がい者なんだけど、チームワークが凄く良くて、歌もダンスも上手くて、本当にキラキラしてるんだ。IMPACTsを見てると、元気になれるんだ。自然と笑顔になれるんだ。だから、俺もそんなIMPACTsみたいになりたい。沢山の人に幸せを、恵を与えたい。大きい河みたいに。」

「大河…夢を持つのは良いことだし、大河っていう名前について深く考えてくれたのは嬉しい。だけど…芸能界は甘い世界じゃないぞ。」

「分かってる。それでも、やってみたいんだ。チャレンジしたいんだ。俺、新太と一緒に合唱祭の実行委員したり、沢山色んな事話したりして分かったんだ。やってみなきゃ分からないって。俺はもう、初めの1歩を踏み出せないようなあの日の俺じゃない。勿論、お母さんとお父さんは俺のために色々してくれたから本当に感謝してるし、迷惑は掛けたくない。だから…大学卒業するまでに結果が出なかったら辞める。だから、それまでの8年間は、俺にチャレンジさせて欲しい。」

「良いじゃん!やってみな。」

「…レッスン代も出せるように、父さんももっと仕事頑張っちゃおうかな!笑」

「ありがとう!!!!」 ー

ー 「新太!!」

「大河くん!!」

「俺も事務所に履歴書送ったよ!!」

「え、まじで!?やったぁ!!」

「まぁ、大学卒業するまでに結果残せなかったら辞めるけどね…」

「大丈夫!!大河くんなら出来る!!」

「ありがとう。」

「一緒にIMPACTs目指そ!!」

「うん!!」 ー

ー 「大河くん!オーディションの結果どうだつた?」

「まだ見てない。緊張しちゃってさ…」

「俺もまだ見てないから一緒に見よ!」

「うん!!」 ー

ー 「新太サイト開けた?」

「ちょっと待って…よしっ開けた!」

「じゃあ、せーので見るよ?」

『せーのっ』

「新太どうだった?」

「合格!!大河くんは?」

「俺も合格!!」

「やったぁ!!大河くんと一緒にアイドルになれる!!やった!!」

「良かった…」

「大河くん泣かないでよ笑

これからも一緒に頑張ろ!!」

「うん!」 ー

ー やっぱり、芸能界はそんなに甘くなかった。でも、俺も新太も諦める事は無かった。IMPACTsみたいになりたい。その一心で、今までどんなに苦しくても、誰に何と言われても、俺は、俺達は努力し続けた。そして…遂にデビューを勝ち取った。そして…今、隣には新太がいる。俺は、新太と一緒にデビューする。諦めなければ、必ず何か得られる。

俺達はまだ始まったばかりだ。俺はこれからも、沢山の人に幸せを与え続ける。

大きな河のように。ー

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