第4話 予期せぬ病気
そんな事態に関して、誰が責任を取るというのか、何とも言えない虚しさのようなものを感じた吉松だった。
カフェでの失礼なやつは、二重人格なのかも知れないが、お城でタバコに火をつけるやつ。さらに、役所での、完全な職務放棄というこの連中に限っては、
「二重人格の悪の方が顔を出した」
というものではなく、
「裏表というものがない、真性の悪だ」
といってもいいだろう。
真性ということなので、完全に、
「病的な悪だ」
ということである。
「この連中に正義というものはない」
と思うと、いろいろ考えてしまう。
「生まれ持って、正義というものを持っていない、一種の突然変異のようなやつなのか?」
あるいは、
「生まれてからの育った環境などから、正義という感覚が消えてしまった」
というものなのか?
そのどちらなのかを考えてしまった。
ただ、そのどちらにしても、
「同情の余地はない」
といえるだろう。
もし、同情したり、容赦をしてしまうと、自分たちがこいつらのために、被害を受けてしまう。
タバコの火を、
「危険なものだ」
という基本的な認識が欠如しているのだから、例えば自分の住んでいるところでタバコをポイ捨てしても、まったく意識しないことになる。
「逃げ遅れて、火事場から数名の遺体が」
などというニュースの遺体が、自分にならないということを誰が言うことができるというのだろう。
いわゆる、
「殺され損」
ということで、
「死んでも死にきれない」
とはこのことだ。
さらに、役所の方だが、もし、重要文化財が燃えたことで、再建するとなれば、使われるのは、血税である。
本来なら、将来のたくわえであったり、福祉費に回るはずのものが、使われるわけなので、自分の老後などを考えると、まったく容認できるものではない。
重要文化財の再建ともなると、かなりの時間も要するだろうし、その時間を金に換算し、実際に修復費用という莫大な金額を考えると、
「ああ、建て直すための税金しようなら、しょうがない」
などと一口で言えるものではない。
どうせ、市の方では、
「不可抗力による不審火」
として、自分たちにはまったく落ち度はないということを、言いまくるに違いない。
何しろ、タバコを吸っている人間の存在を握りつぶしたということを認識している人は、数少ないからだ。
しかし、もし、吉松が、
「俺はちゃんと忠告したのに、市がまったくいうことを聞かなかったのだ」
ということを声を大にして言ったり、あるいは、マスゴミにリークして、大げさに記事を書いてもらい、大問題にしてもらおうと考えていたら、どうするつもりだろう。
もっとも、マスゴミも暇ではなく、
「それくらいのことで、記事にはできない」
ということを言えば、どうなるというのか。
確かに、記事になる可能性は低いかも知れない。
しかし、マスゴミも市の態度に据えかねるものを持っていて、
「何かあれば、それを契機に、一気にまくし立ててやろう」
とでも思っていたとすれば、これは、完全に、
「飛んで火にいる夏の虫」
の状態で、彼らも待っていることだったかも知れない。
市や県の行政というものは、マスゴミにとっては、結構、
「おいしいニュースソース」
になりかねないような気がする、
マスゴミによっては、
「警察番」
という人間だけではなく、
「役所番」
と呼ばれるような人がいて、実際に何かあったら、その人が、役所をディスる記事を書くということになるのではないだろうか?
それを考えると、
「市役所ものんびりもしていられないのではないか?」
と普通なら思うのだろうが、それでも、普通に仕事をしているとすれば、よほど肝が据わっているか、
「バカだ」
ということになるのだろう。
普通に考えれば、
「後者しかありえない」
といえるのではないだろうか?
何しろ、行政を一絡げにしてはいけないのかも知れないが、一番の不祥事であり、滑稽とも思えることとして、
「年金を消した」
という事実があるではないか。
「国民を数字で管理することで、厄介な手間を省けて、役所の労力削減を考えたのだろうが、そもそも、怠慢な役所の手間を省くよりも、まず必要なのは、意識改革ではないかと考えるのは、自分だけだろうか?」
と、吉松は考えたが、
「本当にこれでいいのだろうか?」
と思えてならないのは、それだけ情けない世の中になったということでもある。
その新しいシステムに今まで紙の世界で管理していたものを、コンピュータ入力しようとすると、
「誰のものなのか分からない」
というような資料が多数見つかった。
名前が読みにくかったり、紛らわしかったりして、調べてみると、それぞれで間違って記入されていたり、そのおかげで、結果として、
「年金総額はあるが、誰のモノなのかも分からない」
ということになった。
そうなると、年金の総額自体、信憑性はないというものだ。
個人個人の年金を加算することで、すべてが把握できるのだから、不明金額が膨れ上がれば、それを単純に加算すればいいだけなのか分からない。
「政権交代」
が起こるほどの大事件だったのを、国民はあっという間に忘れてしまったのか、確かに政権交代した野党も、
「とても、政治ができるような体制ではなかった」
ということで、やつらは、
「政権交代をお願いします」
と必死で訴えていたくせに、いざ政権奪取となると、何ら準備をしていなかったということになる。
「政権奪取などできない」
ということを、誰よりも、野党の方が思っていたのかも知れない。
「ここまで、救いようのないバカな政党だと思いもしなかった」
というのが、国民の一致した考えだったのだろう。
しかし、今の与党に戻ってからは、ソーリの周辺での汚職や収賄のどす黒いウワサ。
それを打ち消そうと躍起になっているのだから、いかにもウソでなさそうだということが証明されたかのようだった。
そんな時代が、いかにひどかったかということが、今の国民に分かっているのだろうか?
あれから、ソーリが何代も変わったが、
「だんだんと、ひどくなっていくソーリ」
に、国民は何を感じているというのだろうか?
ソーリというのは、前職が、
「世界的なパンデミック」
の最中に、オリンピックを開催したいがために、
「安心安全」
という、何の信憑性のない言葉を並べ立て、それも、自分や自分たちが、儲かるだけのために、国民がどうなってもいいとでもいうようなソーリだった。
さらに前のソーリは、結局、暗殺されたが、政権を握っている間に、いろいろな、あからさまにクロにしか見えないという疑惑塗れの男で、パンデミックの際には、ことごとく政策が裏目というか、
「いまさらやってどうするか?」
というようなことを、
「私は対策を講じたんだ」
という、まるで、自作自演のようなことをして、国民を騙し、
「史上最高の就任期間」
という記録を作ったらしいが、言い換えれば、
「史上最長に、疑惑塗れの真っ黒な時代だった」
といえるわけである。
それを思うと、
「世の中。特に権力をなまじ握った人間に、ロクな奴はおらず、どんどん最悪になっていく」
といってもいいだろう。
その証拠に、円安がひどくなったのは、それだけ、
「日本が、外国から舐められている」
という証拠である。
国民性は、外国なんかよりも、よほどいいと言われるべきなのに、トップがひどいとここまでになるものかということを、証明しているかのようであった。
そんな政治の難しい話は別にして、現在の日本人のモラルはひどいものである。
喫茶店における、自慢話をしていたやつなどは、まわりにそれほど被害を与えるものではないのだが、そのぶん、あざとさが目立ち、確信犯であるところが許せないのだった。
そんなやつらの二重人格性を考えると、
「どんどん、何か悪い菌にでも、犯されているのではないか?」
と思うのだった。
特に今は、
「世界的なパンデミック」
ということもあり、
「どんなひどいウイルスができたとしても驚かない」
と思えるのだ。
というのも、
「あのパンデミックと呼ばれたウイルスは、突然変異などによる偶発的なものではなく、どこかの国や団体が、何かの目的を持って、世界に送り出したものだ」
と考えられなくもないだろう。
というのも、
「今の世の中において、何が起こっても不思議はないといえるのは、世界で起こっている異常気象であったり、伝染病の流行もそう。戦争などの侵略も、かつての、帝国主義時代並みのような侵略戦争が起こっている」
と思えば、不思議なことではない。
ただ、この侵略戦争と呼ばれているものも、よく見れば、侵略戦争ではない。
それぞれの国がお互いの立場から戦争をしているだけで、ただ、先に攻撃した方が、侵略と言われるという、まるで、日本特有の文化としての、
「判官びいき」
を、他の国が実践しているというのは、実に皮肉なことだった。
しかし、実際に攻め込まれた方の国だって。武器を集めたり、兵を国境付近に配置して、戦争に備えていたのは事実だ。
だから別に奇襲を仕掛けたわけでもなく、防御している国に攻め込んだというだけで、普通に起こった戦争を、世界が煽るように、
「侵略戦争」
と声にしたのがまずかったのだろう。
どうせ、どこかの超大国の諜略なのだろうが、それに載せられて世界が騒ぐから、
「片方の国に、世界は加担する」
という形になったのだ。
本当場、国際法上であれば、
「中立を貫かなければいけないはずだ」
というのも、別に攻め込まれた国と同盟を結んでいるわけでもない。
「喧嘩両成敗なのに、片方に味方をするのは、ある意味、逆に弱い者いじめといってもいいかも知れない」
といえるだろう。
それを思うと、あの攻め込まれたダイトウリョウが、アメリカ議会で、
「真珠湾」
という言葉を口にしたのも分かる気がする。
あの時も、ヨーロッパで戦争をしているイギリスから、アメリカの参戦を願っているのだが、議会がうんとは言わないことで、
「日本に先制攻撃をさせる」
という作戦をとって、国民を誘導しようと考えたのだろう。
それを思うと、まんまと、日本政府は、
「ルーズベルトの作戦に引っかかった」
ということになるのだろう。
それが、大東亜戦争が始まった本当の理由である。
それを大戦後に、占領軍の教育方針や、戦前の体制を、片っ端から壊したことで、日本国民の意識改造をさせることになった。
そのため、
「日本の再軍備」
を一番恐れていたくせに、朝鮮の問題が出てきて、朝鮮戦争が勃発すると、結果、日本という国に、
「憲法九条」
を作らせておいたため、軍隊を作ることができないため、
「警察予備隊」
などものを組織させ、そこから、
「自衛隊」
へとつながることになったのだ。
だから、
「日本における自衛隊は。軍隊ではない」
ということになる。
最近では、法律も変わってきたが、相手に攻撃されても、防衛しかできなかったし、
「防衛のための、先制攻撃」
というものもできなかったのだ。
つまり、自国が攻撃されることを分かっていて、相手の前線基地も分かっているのに、こちらからの先制攻撃をしてはいけないということになっていたのだった。
それが、
「専守防衛」
というものであり、
「守るための攻撃というものを、先制してはできない」
ということだったのだ。
そんな国において、
「一体、この国を守るために、どのようにするのが一番いいのか?」
ということになり、最近では、法律の変えられてきたが、自衛隊ができる行動はそれでもかなり限られているのだ。
自衛隊という組織は、
「海外では、軍隊として見られている」
ということで、世界では不思議であろう。
「日本だけが、同じ多国籍軍だというのに、攻撃を同じとしてできないということは、一体どういうことなんだ?」
ということだ。
「後方支援」
と称して、できることは、空中空輸であったり、物資や兵の輸送といったことで、攻撃は、
「相手から攻撃された時だけ」
ということになるのだった。
そんな時代になってから、今度は、同じ伝染病でも、すぐには伝染病だということが分からない事態が起こった。
それは、伝染病だと分からなかったというよりも、それ以前に、
「病気だ」
ということも思っていなかったということであったのだ。
これに関しては、元々は、
「錯覚だ」
と言われていたことで、
「精神的な問題」
ということで、精神的な病気ということであれば、病気認定もあったのだろうが、病気としての定義にいまいち当て嵌まらない状況だったのだ。
だから、社会的な問題になりそうであったが、世間の人は、
「ニュースとして取り上げられないから、大げさなことではない」
と思っていた。
しかし、それは間違いであり、実際には、
「国家が、情報統制をしていた」
というのが、正解だったといってもいいだろう。
そんな状態において、誰がそんな情報統制を分かることができただろう。
マスゴミを黙らせて、コメンテイターも黙らせる。国家ぐるみであることは間違いないのだが、果たして、どこまで貫けるかということであった。
ただ、これが成功すれば、国民は完全に騙されることになる。特に、
「大東亜戦争の時代には、軍が情報統制をしていた」
ということを知っていて、今の日本が、まったく違う時代に突入しているということを信じて疑わない人に、
「日本で、情報統制が行われている」
などということを言っても、
「そんなバカな」
と言われるのがオチである。
しかし、本当であれば、それでも言い続けなければいけないのではないだろうか?
「いい続ければ、そのうちに国民も分かってくれる」
というのは、実は甘いことなのかも知れない。
「オオカミ少年の話を思い出すではないか」
ウソをつき続けていれば、そのうちに本当のことになったら、誰も信じないとおうことであったが、この場合は逆の効果だが、結果は同じである。
本当のことを言い続けて、
「ウソだ」
と言われ続けることで、言っている方が、次第にバカバカしくなって言わなくなる。
そのうちに、
「嘘から出たまこと」
というように、本当のことを言っているのに気づかないまま、ウソだと思い続けて、日本は、亡国へと導かれる運命にあるということである。
そんな状態が、その時の日本を襲いつつあった。
情報統制をされていることで、誰も最初は、
「何かおかしい」
などと疑うことはなかった。
もし、これが他国であれば、普通なら気づくレベルの問題であったが、それだけ日本という国は、
「平和ボケ」
しているといってもいいだろう。
というよりも、
「それだけ、占領軍の教育によって、平和ボケが、さらに減和ボケを生み、
「平和ボケの、マトリョシカ人形を作り出しているのかも知れない」
と言われているのだろう。
それが、日本という国であり、いい意味でも悪い意味でも、バカ正直に、相手を信じてしまうということになるのだろう。
そんな日本で、誰も分からない、暗躍が渦巻いている。それが、かつての、テロ組織であった、
「○○真理教」
のようなものであったり、
「○○協会」
というものが、水面下で暗躍していると思うと、恐ろしい以外の何物でもないといえるだろう。
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