第5話 相変わらずのユウレイ君?

 ヒカリは勉強机に向かい一生懸命になっている。

勉強ではない、ネットで検索しまくっているのだ。

経験の無いヒカリには情報こそ生命…頑張るゾ。

ショッピングモールに行くことは決定した。

待ち合わせは駅に10時、まずは服の店に行くから

…ん〜この店かな、終わるとお昼ご飯だろう?…

わ〜、いっぱいあるなぁ、どれにしよう?…マリーは何が好きなんだろ?ん〜、いくつか候補を上げるか……

ヒカリの作業は夜遅くまで続いた…。


 翌朝、通学中のヒカリは少しフラフラしていた

昨夜遅くまで頑張り過ぎたからである。

しかし、後悔はない。いや、むしろ足りない位だ。

フラフラなのにヤル気にあふれて学校へ向かう。

ヒカリは相変わらずにユウレイ君のままでいた。

人を外見でしか判断しない人達とは付き合うつもりはない。そう、極端な話、マリーさえいればいい

そんな感じだ。


自分の教室に着くと真っ直ぐ自分の席へ向かう。

何人かのクラスメートに挨拶されるが小さく返事を

するだけで、会話はしない。

いつも通り、席に着くと英会話を聴きながら自分の

世界に入っていく…。

しかし、ヒカリの僅かな変化に気付いたクラスメートもいた。

「なんか、ユウレイ君…でかくない?」

「うんうん、なんかいつもより大きく感じた?」

自分の世界に入っているヒカリに聞こえない。

実は本人も気付くいていないが、マリーとの出会いで知らない内にヤル気にあふれ、姿勢が良くなり

いつもの猫背と比べると大きく感じるのである。

学校でもヒカリを取り巻く環境も少しずつ変化して

いくのだった。

 昼休みになり、いつものように中庭の人のいない

場所で1人でお弁当を食べようと向っていると

「わっ、わっ、どいて〜!」

と、階段の上の方から女の子が降ってきた。

気が付いたヒカリは避けることなくフワリと抱き止めた。

「大丈夫?ケガしてない?」

「だ、だいじょ、ぶでふ」

「そう、気を付けてね」

そう言って立ち去るヒカリの後ろ姿を見つめる彼女

「見つけちゃった、王子さま…」


《SIDE アカリ》

 私は松井明里(マツイアカリ)この春から高校に

通う花の女子高生…なにもかにもが楽しいわ。

だけど、だけど足りないものがあるの。

それは…彼氏、超絶イケメンの王子様のような彼氏が足りないの…。

1年生から3年生まで見て回ったがピンとくる人は

見つからなかった。

そんなある日ついに見つけちゃったんです。

その日私は4時限中に居眠りをして、購買にパンを

買いに行くのに出遅れたんです。

早く行かなきゃ売り切れちゃう。

ダッシュで階段を駆け降りてると踏み外して

下を歩いていた男の子にぶつかる〜と思った瞬間、

彼はフワリと私を受け止めたんです。

その時に長い髪の間から見えたお顔…ああ王子様…

抱き止められた身体はすごい筋肉だったし、身長も超高い…「大丈夫?」と聞いてくるその声も…

ああ〜非の打ち所がないよ。

「見つけましたよ、私の王子様…」


ヒカリの知らない所でまた…

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