タバコ
医者はタバコはダメだと言った。タバコは僕の持病の回復を妨げ、悪化させるそうだ。でも、今自分が抱えている孤独のストレスから生じる影響とタバコの害は、どちらが体に悪いのか。孤独からのストレスは、毎日タバコを一箱吸うのと同じくらい体に悪いという。ならば1日一本タバコを吸ってストレスを発散させる方が体には良いのではないだろうか。
毎日同じ事を繰り返す。最初は自分が周りと違うことに悦に浸る。でもそれは長くは続かず、その選択により孤独になる。孤独になった人間は弱い。すぐに何かに依存したがる。タバコ、酒、優しくしてくれる人間。依存先がそこしか残っていないのならそれに縋るしかない。自分の寿命を縮めていることなんて分かっている。医者は僕に言う。
「血液検査の結果、段々と正常値になってきてまよ。」
その言葉を素直に喜べない自分がいる。病院は病を治すために行く。でも病を治す意味は、自分の人生はまだ長く続いてほしい、まだ自分にやるべき事があると思うから治そうと思うのではないだろうか。それらの理由がなければ行く意味なんてないのではないか。僕は病院に通っている意味がわからなくなる。そしてまた僕はタバコに火をつけ、美味くもない煙を吸い込む。
超短編の小説 @komododoragon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。超短編の小説の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます