タバコ

 医者はタバコはダメだと言った。タバコは僕の持病の回復を妨げ、悪化させるそうだ。でも、今自分が抱えている孤独のストレスから生じる影響とタバコの害は、どちらが体に悪いのか。孤独からのストレスは、毎日タバコを一箱吸うのと同じくらい体に悪いという。ならば1日一本タバコを吸ってストレスを発散させる方が体には良いのではないだろうか。

 毎日同じ事を繰り返す。最初は自分が周りと違うことに悦に浸る。でもそれは長くは続かず、その選択により孤独になる。孤独になった人間は弱い。すぐに何かに依存したがる。タバコ、酒、優しくしてくれる人間。依存先がそこしか残っていないのならそれに縋るしかない。自分の寿命を縮めていることなんて分かっている。医者は僕に言う。

「血液検査の結果、段々と正常値になってきてまよ。」

 その言葉を素直に喜べない自分がいる。病院は病を治すために行く。でも病を治す意味は、自分の人生はまだ長く続いてほしい、まだ自分にやるべき事があると思うから治そうと思うのではないだろうか。それらの理由がなければ行く意味なんてないのではないか。僕は病院に通っている意味がわからなくなる。そしてまた僕はタバコに火をつけ、美味くもない煙を吸い込む。

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超短編の小説 @komododoragon

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