超短編の小説

@komododoragon

もつ、ある

「小学校の時、中学受験した細井と村井って奴いたよな?あいつら今何してんだろうな」


「あー、細井ならこの前会ったよ。今は東京の外資系コンサルで働いてるらしいよ。大変らしいけど、それなりに給料も良いらしくって女からもモテるとよ」


「すげえな、そりゃ羨ましいわ。」


「その時に村井の話も聞いたよ。あいつは高校の授業についていけずにそこらへんの大学に入ったらしいけど、すぐ辞めたらしい」


「え!村井頭良かったからどこかの大企業でバリバリ働いていると思ったのに。大学辞めて将来大丈なのかな、あいつ。」


「わからないけど大学辞めたら企業からの印象はよくはないだろうね。まず、大企業は無理なんじゃない?」


「だろうねー。こんなに話しといてなんだけど、俺あいつらの顔も声も何も覚えてないわ」


「実は俺も全く覚えてない」


彼らは顔も声も分からぬ人間の話をつまみに盛り上がった。一言もその人の性格や人柄の話をせずに。


 

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