第4話、体を持つ神のもとへ
「俺も、ゲームばっかりで勉強はほとんどしていなかったし、神の頃の記憶もありませんでした。すごいなぁって思っていた人も、裏があることが知られてはもういじめられる始末です。そんな世界から脱出したいと何人の人が命を絶ったことやら…
こうして神として悪事を無くし、完璧になってから人間にいなることは良い事だと思いますが、完璧であれば完璧であるほど苦労する。それが人間界というものです。
頭が良ければ『何でお前だけそんなに』といじめられる。
頭が悪ければ『お前はバカだから荷物持ちでもしてろ』といじめられる。
そんな奴しかいない人間界は、何でも手に入るこの神の中で例えると、
学歴やモテ度、金で決まる人間界なんて、ゴミみたいなもんです。
でも、そんなことよりも、人間性、性格に目を向けて、本当に信頼できる人たちだけとかかわっていく。それが大切になります」
「そんな長々と話さないで頂戴」
「はっ!すみませんでした…」
「まぁいい。まだお前も来たばかりだ」
本当の理由は可愛いからというところだろう…
そう。人間というのは本当に惨めな生き物である。
自分の思いを相手にも分かってもらいたいからといじめをする者もいれば、
ただただやっていて気持ちがいいからやっている者もいる。
そんな世界では理不尽なことの繰り返しである。
学校ではスマホは禁止と言われているのに先生達は職員室でゲームをしているし、
廊下は走らないという基本中の基本すら守れていない先生だっている。
歯磨きした後はごはんやジュースなどを食べてはいけないというルールを作ったのにもかかわらず、コーヒーやポテトチップスを食べている親。
ユーチューブは見すぎに注意と言っているくせにスキがあればユーチューブやパソコン、スマホを見ている大人たちがどれほどいることか。
大人たちは大人の理不尽で締め付けられる子供たちが可哀そうだと思ったことはあるのだろうか?
非、ほとんどの人がないだろう。
自分たちがそうだったからこいつらもそういう運命なんだ。とか、
昔はああだったから今もこうだとか。
時代は変わって行っているのに昔にこだわる理由などないはずだ。
でも。
「人間という生き物は本当に変わることのできない、惨めな生き物です。差別や理不尽、屁理屈に縛られている人間に、全く無関係だという大人たちが多すぎます。俺はこの人間界の未来を変えたい。理不尽や差別、屁理屈のない世界にしたい。そのために、今はこの神の世界でしっかりと学んでいきたいです」
「素晴らしかったでございますぞ山田殿!」
「「誰っ?」」
「ひどいなぁ。さすがに今のはひどくない?体を持つ神でございます!」
「会う手間が省けたな」
「ひどくない?」
「ええ。よかったです。俺はあるくのスキじゃないんで」
「ヒドイって…」
「だが黙屋、お前の野心は伝わった。これからはその野心を乱すことなく、勉強や仕事に励むことが大切だぞ」
「ハイッ!」
やはり、人間という生き物は、つまらないことを嫌うし、めんどくさいと言って約束事も守れない惨めな生き物だ。
でも、そこで成り立っている社会はすごいんだなぁ…
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