第6話:目の前のご馳走。

不思議ちゃん、シャルルの転入日、彼女の尻を追いかけているクラスの

男どもを追い払うのでめっちゃ忙しかった。

シャルルもこれみよがしに野郎どもを挑発するから余計だよ。


「シャルル、その気もなにくせに男をからかうんじゃないよ」


「だって面白いんだもん」


「人に浮気するなって言っといて、それはないだろうが・・・」


「私は別に浮気するつもりないけど・・・でも男子を無視しちゃったら

お友達としてのコミュが取れないでしょ?」


「コミュなんていいんだよ・・・取れなくても」


「球ちゃん・・・なに?ヤキモチ妬いてんの?」


「そんなんじゃねえよ」

「男相手にチャラチャラするなって言ってんの・・・」

「だからさ、学校なんか来ないくて家にいたらよかったんだよ」


「家になんか閉じこもってたら腐っちゃうよ」


「とにかく男どもにヘラヘラしないこと、分かった?」


「分かんない」


「なんでだよ・・・俺の言うこと聞けよ」


「パワハラ」


「女はすぐそうやってパワハラとかセクハラって言うよな」


「パワハラとはパワーハラスメントの略語で地位や人間関係などの優位性を

利用して適正な範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与える行為を言うんだって」


「いちいち説明しなくていいよ、そんなこと」

「もさ・・・おまえにたかるハエみたいな男どもを追い払うのが俺の仕事

じゃないからな・・・先が思いやられるわ」


まあ、とにかく初日は大きなトラブルもなく過ぎたからよかったんだけど・・・。


けど「四月一日わたぬき」がすぐに動かなかったのは不気味ではあるな・・・。

あいつが何もしないで指を咥えて見てるわけがないんだ。

絶対なにか企んでるに違いないって。


とりあえずシャルルを連れて家に帰ると同時にドット疲れがでた。

まだ若いのにさ・・・。

とりあえず飯は後にして先に風呂に入りたいだろ?


「え〜私も一緒に入る」


「入る?一緒に?・・まあ・・・いいけどな・・・けど目の毒なんだよな」


「なにが?」


「鈍い女・・・ってか知っててわざと言ってる?」


「なに?分かんないって・・・なにをわざと言ってるって?」

「だからさ・・・真っ裸の女と風呂に入るんだぞ」


「俺も男だし・・・興味もない女ならいいかもしれないけど、おまえみたいな

イケてる女とだよ・・・そこは死ぬ気で我慢しなきゃいけないだろ?」


「なになに?死ぬ気で我慢って・・・球ちゃん・・・もしかしてエッチい人に

なってる?」

「あはは、そうなんだ可愛い・・・さ、入ろ、おっふろ〜」


「やっぱり、わざとだろ」


「いいじゃん、いいじゃん・・・私たち恋人同士なんだから」

「見たり見られたりしたって」


「まあ、シャルルが俺の彼女ってことはたしかに恋人同士だろうけどさ」

「クラスの男どもとヘラヘラやってて本当にそう思ってるのかよ」


「思ってる、思ってる・・・」

「って言うか・・・球ちゃんまじで我慢してるの?」


「我慢って言うか・・・目の前にあるご馳走が食べられないなんて拷問に等しいよ」


「目の前のご馳走って?・・・それ私のこと?」


「そうだよ、俺が今まで食べた中で言うなら長崎のしっぽく料理に匹敵するな」


「なにそれ・・・しっぱくって?・・・料理?」


「しっぽく料理だよ」


「あのさ、それ食べさせてくれるなら考えてもいいけど・・・」


「考えるって?なにを?」


「私とのエッチとか・・・?」


「ゲッ、つうことは、しっぽく食いに長崎までおまえを連れて行くのか?」

「無理だろ・・・ふたりぶんの旅費的に見ても・・・」


「近所の満腹食堂のラーメンで手を打たないか?」


「あ〜あそこのラーメン不味いもん、じゃ〜当分エッチはおあずけかな?」


「長崎か〜・・・考えてみるか、それ以上の価値おまえにあるからな」


「決まりね・・・じゃさっさとお風呂に入って、とっとと出て晩ご飯食べよ」


「なんだかな〜有利に立たれてるよな〜」

「どこまでもマイペースだし、いいよな脳みその量が少ないやつは・・・」


いやいや相手はエロリアン、球太よりは脳みその量は多いかもしれない。


とぅ〜び〜こんて乳。


※長崎・しっぽく料理「卓袱料理」

その昔、隠元和尚などによってもたらされた普茶料理(精進料理の一種)の

配膳形式に長崎町民の間で作り出された和・華・蘭のミックスした献立が

そのまま盛りつけられ長崎独特の料理を生み出しました。

それが卓袱料理の始まりだとされています。

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