第4話:人間の姿に戻らなくていい。

基本的に不思議ちゃん、シャルルの朝は早い。

朝、3時には起きて、ついでに俺を起こす。


「おはよう球ちゃん」


「ああ・・・おはようシャルル」


「朝だよ、起きて」


「何時?今」


俺は寝ぼけまなこで枕元の目覚まし時計を見た。


「ゲッ・・・さん?さんじ・・・?・・・まだ夜中じゃねえかよ」

「なに起こしてんだよ、まだ早いだろう?・・・」


「私たち地球外生命体って、人間みたいに睡眠時間取らなくても平気なの」


「だからって自分らを基準にして俺で遊ぶなよ、ったく」

「せめてあと3時間は余分に寝かせろよ」


「だって、寂しいんだもん」


「下に降りてテレビでも見てればいいだろ?」


「だってかけたらテレビショッピングかサプリのCMしかやってないもん」

「つまんないでしょ?」


「あのな・・ちょっとはさ、空気読めよ」


「球ちゃん・・・」


「なんだよ・・・ってか、球ちゃんってなんだよ?」

「球太って呼び捨てにしといて今更・・・球ちゃんか?・・・なんか不気味」


「親しみを込めてそう呼んでるんだよ」

「でね、聞くけど私のことまだ迷惑って思ってる?ほんと今更だけど・・・」


「まあ、最初はな、そう思ったけど・・・」


「そうだよね、いきなり目の前にクレーム女が現れたんだもんね」


「まあ、言ってることは幼稚だし、支離滅裂だし・・・エロリアンだろ?って

言ったからってそのくらいのことで責任取れって・・・・おかしいだろ?」

「けど、まあ今は気にしてねえよ」


「気にしてねえけど・・・」


「気にしてないけど?・・・なに?」


「ひとつあるわ・・・一番気になってること・・・」


「なにそれ?」


「おまえがエロリアンだってこと」

「あのさ、このさいはっきり言うけど、おまえの本当の正体?姿って

どんなだ?・・・それが気になってさ、未だおまえを受け入れがたいことの

ネックにはなってるな」


「私の本当の姿?・・・・」


「今のシャルルは仮の姿なんだろ?」


「まあ、元は地球外生命体だし人間とは違うからね」


「もしさ、もしシャルルがリドリースコット監督のホラーなエイリアンとか

ジョン・マクティアナン監督のプレデターみたいなクリーチャーみたいだったら?」

「それはちょっと恋愛対象にはなんないって言うかプラトニックな関係にも

なれないだろ?」


「そうだね・・・でもどっちにしたって本当の私を見たら、きっと球ちゃん

引くと思うけど・・・」

「見るんじゃなかったって後悔しちゃうよ」

「だからこのままのほうがよくない?」


「まあ、そのままでもいいとは思うけど・・・けど・・・やっぱり気になるじゃん」

「怖いもの見たさっていうか、俺としては知らないまま悶々としてるの嫌だし」

「俺の横に別のシャルルがいると思ったらさ・・・穏やかじゃいられないよ」


「分かった・・・じゃ〜ほんとの姿見せてあげる」

「でもドン引きしないでよ」


「お〜ちょっと怖いな」


「大丈夫だよ取って食ったりしないから」


そう言うとシャルルは、もったいぶりながら、おもむろに徐々に姿を変えていった。

そして完全に変わったシャルルを見て俺はしばし固まった。

シャルルの本当の姿・・・新鮮な感動を覚えた。


むしろ今時な感じ?って思った。

コスプレがあたり前の時代だし・・・。

シャルルはまるでファンタジーゲームの中のキャラみたいだった。


「わお・・・すげえ」


人間だった時のシャルルとどこが違っていたのかって言うと、まず顔の色・・・

顔だけじゃなくて顔も体の色はオールピンク。

でもって両のほほ、目の下にかけてタトゥーみたいな模様があった。

目の色も違うし金髪だった髪も白髪に変わっていた。

しかも案外華奢って思ってた体もプリって張りが出てボリュームアップしてるし。


基本的には女って認識できる存在からとくに逸脱はしていなかった。


「シャルル、その顔の模様ってあとからつけたのか?」


「生まれ時からあったよ」


「どう?・・・幻滅した?・・・ドン引きしてない?キモくない?」

「恋愛対象にならない?」


「いやいや・・・ならないどころか・・・それ以上だって・・・」

「人間の姿してた時よりはるかにイケてる」

「むしろ、俺は今のシャルルのほうがいいかも」


「まじで言ってる?」


「まじまじ・・・もう人間の姿に戻らなくていい」

「そのままでいてくれ・・・そしたら秒殺でおまえのこと好きになるから」

「つうか俺、もう一瞬でおまえのこと好きになってるわ」


「まじで?まじで?・・・よかった〜球ちゃんが気に入ってくれて」


「もう、しょんべんチビるくらい最高すぎるって!!」

「なんでもいいから責任取りたくなってきた、俺」


「俺、はっきり言っておまえのこと彼女だって認める」


とぅ〜び〜こんて乳。

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