第3話:なんとか丸く収まったわけで・・・。

球太の家に居座った不思議ちゃん、シャルル。


シャルルが球太の部屋で一緒に寝るって言うので否応無しに二人はひとつ

の布団の取り合いをしながら朝を迎えた。

間違ってもいいムードになんてなるわけがない。


で、今回のシャルルのことで穏やかじゃないのは球太の親父と母親。

シャルルに無視されたこともあるし・・・。


どういうことか委細説明しろってことで、俺と不思議ちゃんは両親に

呼ばれて細やかな家族会議が開かれた。


まずは若い女の子をなんで家に連れ込んだのかってこと。


「どういうこと説明しなさい・・・彼女がいるなんて聞いてないけど」


「連れ込んだ訳じゃなくてだな・・・押しかけてきたんだよ、こいつが」


「自分の彼女のこと「こいつ」って言うな球太、パワハラだから」


「俺はクチが悪いんだよ・・・これが普通なの、慣れろ」


「あのね、こっちの話を優先させなさいよ、あなたたち」

「あなたたちの自由も尊重するけど、ちゃんと筋を通しなさいよ」


「分かってるって・・・でも俺だって正直と戸惑ってるんだ」

「こんなのが・・・この子がいきなり俺の前の現れて・・・」

「あ〜この子、シャルル・ド・ボークールブリュット」

「フランス人なんだってよ」


「そうシャルルちゃんて言うの?よろしくね、球太の両親です」


「どうも〜シャルルちゃんですぅ」

「ご両親にちゃんと説明しないさいよ、球太」


「わ〜ってるよ」


俺はウソを事実みたいにまことしやかに語るのは苦手でド下手なんだ。

だから、目の当たりにしたことを親父と母親に語って聞かせるしかない。


案の定、親父もおふくろも信じるわけがないわけで、それこそ作りを話する

んじゃないって怒られた。


「シャルル、おまえもなんか言えよ」

「あのな、そもそもの原因はおまえにあるんだからな?」


「元の発端は球太でしょ?」


「だから〜俺は幼稚園の時のことなんか覚えてねえっつうの」


「おしっこ・・・」


「は?」


「おしっこ・・・私、昨夜の夜からトイレ行ってなくて・・・」


「勝手に行ってこいよトイレ・・・話の腰折ってからにもう」


「球太んちのトイレ、場所知らないんだもん」


「分かった、分かった、連れてってやるから・・・」


考えてみたらシャルルは俺んちの家のことはなにも知らないんだ・・・

ああ、めんどくさ・・・。


トイレから帰ってきたシャルル、今度は腹が減ったと言い出した。


「球太、シャルルちゃんのことは、あんたがちゃんと面倒見なさいよ」


「じゃ〜シャルルをここに置いてもらえるのか?」


「出て行きなさいって言えないでしょ・・・さっきの幼稚園での話がほんとう

なら、あなたにも責任があるんだから・・・」

「ご飯もあんたが作ってあげなさい・・・身の回りのお世話もね」


「まあ、でもこの子がエロリアンってとっても信じられないわ」

「このさい、あななたちとは所帯を別にしましょ」


「なんだよそれ・・・シャルルがエロリアンってのが気に食わないのか?」

「嫁をキラってる姑みたいじゃないかよ」


とは言えまあ、シャルルの件はなんとか丸く収まったか?


シャルルが腹減ったって言うもんだから俺は冷蔵庫の中にあった冷凍の

お好み焼きを電子レンジでピーしてやった。


「シャルル、お好み焼き食いながらでいいからさ」

「おまえがエロリアンなら出身とか、なに星人とかってのも言ってくれないと

俺も分かんねえから」


「うん・・・故郷の星はあるみたいだけど、そもそも私はこの地球で

生まれたし・・・」

「私の両親は私を産んだ後その星に勝手に帰っちゃってるし、故郷の星は

遠い宇宙のどこかだってことしか知らない」

「私が育ったのは施設だし・・・」


「分かんねえな〜それじゃ」


「私も詳しく知らない・・・いいじゃない別に?」


「おまえさ、エロリアンとかって言っといて本当は普通に人間じゃねえのか?」


「じゃ〜私の本当の姿見てみる?」


「あ〜そうか、その事実があったか・・・それは遠慮しとくわ」


異星人とかエロリアンって言うと俺の中じゃグレイ型のやつとかリドリー・

スコットの映画のエイリアンのイメージがが強いからな。

もしシャルルの正体がそんなだったら、冷めるしすぐ俺んちから追い出すからな。


「私が生まれたのはフランスなのはたしかみたいだし、でも育ったのはこの日本」


「じゃ〜戸籍は自本ってことか?」


「だと思うけど〜」


あとで役所で調べてみたらシャルルはきっちり日本国籍だった。

税金払ってるってことだよな?


「ってことで昨日から、よろしくね、球太」


「疲れたわ・・・俺おまえに、めっちゃ振り回されてるよなエロリアン」

「それも俺の責任か?」


「エロリアンっていうな・・・名前あんだから・・・」

「ああ〜落ち着いたらお腹すいた」


「さっきお好み焼食ったばっかだろうがよ・・・ボケかましてんじゃ

ねんぞエロリアン!!」


「黙れパンツ男!!・・・目から殺人ビーム食らわせるぞ」


つづく。

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