月風のディソナンス(6)
「――
「……ご、ばああああッ!?」
自分の妹が、腹部に小窓のような風穴を開けられて。見るも無惨な姿で倒れていく様子を見て、これが正気を保っていられるものか?
「……み、ぜ……」
もうその少女から
「どうしてこうなってしまったの? どうして、莫大な魔力なんて、くだらない遺産なんかで……みんな、死ななくちゃいけないの?」
元はといえば、《
『私の所有する資産の全てを、
この騒動の種を
「聞いてください、《焦煙の魔女》。あなたが望んだ末路を私は――バラバラに打ち砕いてみせる。これ以上、誰ひとりとして死なせるもんか。遺産? そんなものに踊らされるほど、私は……
こんな末路が、仕向けた張本人の望んでいた結果であるのかどうかは分からない。だが、どちらにせよ――遺産をエサに、派閥同士を争わせようとする悪趣味な魔女の描いたシナリオ通りの末路など、辿ってなるものか。
故に、月成理瀬は誓う。
争った果てに殺し合い、最終的に一つの派閥だけ残るのが、その魔女の狙いなら――その逆をもってして対抗する。三つの派閥、それぞれの家……そのどれもが全滅せず、未来永劫にまで残り続ける――そんな結果へと書き換えることで、悪趣味な魔女の目論見は潰えるのだ。
不幸中の幸いか、月成家には自分が。クラウノウト家にはヴァーレリアがまだ生きているはずだし、ツァウバティカー家の親子は見ていないが、おそらくはまだ、二人とも生きているはず。
今からでも遅くない、なんて冗談でも言えないが。ここまでに失われた命があまりにも多すぎる。それでも。これ以上悪い方向に事態を進めないように足掻くくらいはしなければ。
「お母さんの代わり。月成家の当主として。私は……」
月成理瀬は、魔力弾の直撃を受けて叩きつけられた痛みもぐっと
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