月風のディソナンス(4)
その後も
最後に残ったのは、かろうじて生きているものの、ほとんど抜け殻となってしまった、売りだった威勢の良さは、すっかり消えてしまった少女の姿だった。
「さい、ご、に……」
「遺言? それなら、しっかりおまえの姉に伝えといてあげるよ。せめてもの慈悲にね」
「あな、たは……わたくしに、言い、ました――」
たった一音を出すだけでも辛い状態ながら。エンデメルンは、白濁とした目、ピクリとも動かない表情で、言葉をゆっくりと紡ぎだす。
「ワン、パターンだ……って。兵器の、大砲と……何が違うんだ、と」
「そういや言ったっけ。……でも、それが今更どうしたって?」
「こう、手足も失って。まさに、今のワタクシは大砲みたいだ……
最後の力を振り絞ったのか。途切れとぎれだった言葉が、一気に繋がって。とても力強く、エンデメルンは言い放つ。
「――
――ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!
大地をも揺らす轟音と共に、四肢を失ったエンデメルン自身が『砲弾』となり、勢いよく放たれた。
咄嗟の出来事に、魅瀬も避けようとするが……間に合わない。エンデメルンという名の砲弾によって貫かれ――。
「……ごっ、ばあああああああああああッ!?」
見れば、腹部に大きな風穴が開いていた。
砲弾となった少女は当然として。思わぬ不意打ちを受けたその少女も――同時にその場で、バタリと倒れて。
「く、くそッ、《
一体、どうしてこうなったのだろう? 魅瀬の脳内で、そんな疑問だけが巡り回るが、答えは出ない。
《
この力が危険だと、もう一人の自分に封印を任せた時点で、既に歯車は狂い始めていたのだろうか。
もっと、この力を自分自身で制御できるくらいに強ければ――こんな結末も、変えられたのだろうか。
「んぐっ、り、リゼ……、姉……」
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