#110 性癖への理解を示す優等生



「まぁ、続けるしかないんじゃない?中学入った時からずっとアプローチ続けてたんだし、これからも続けるしかないじゃん。こういう人を好きになっちゃったんだから、もうしょうがないじゃん。私、諦めの悪さだけなら誰にも負けんし」


「・・・強いですね。やっぱり六栗さんは凄いです。私には無い物沢山持ってて、同じ女性としてとても恰好良いと思います」


「あれ?珍しくツバキに褒められちゃった? おっぱい以外でもツバキに勝てるとこあるじゃん、私」


「あ!おっぱいと言えば、私、六栗さんのビキニ姿見てません・・・見たい」チラッ


「はぁ?そんなの見てどうすんの?またセクハラ?」


「実はですね、私も初めてビキニを購入してみたんですけど、最初は凄く恥ずかしかったんですが、実際に着てみて慣れてくると楽しくなりまして、それで他の人はどんなビキニを着てるのか気になってるんです」


「うーん・・・超絶スタイルのツバキの前でビキニ見せるのはイヤなんだけど」


「ビキニも下着も一緒だって仰ってたじゃないですか。すでに下着姿は散々見せてたんですから、ビキニ姿も見せて下さいよ」


「だったら、ツバキもビキニになるなら良いよ。一緒にビキニ見せあうってことでならね」


「勿論おっけーです!私のビキニもクローゼットにしまってありますので直ぐに着替えましょう!」


「なんでそんなに活き活きとしてんの?ホントは美少女の皮かぶったセクハラ親父なの?」




 結局、急かされる様に私も、まだ乾いてないままのビキニに着替えた。


 ツバキの水着姿は、前に一緒にお風呂入ったから分かってはいたけど、脚長くてお尻の位置が高くてキュッって引き締まってて、同じ高校生とは思えないほどスタイルが良すぎだし、肌も白くてきめ細かくて綺麗だし、同じ女性だからこそ羨望を抱いてしまい、無意識に溜息をついて見惚れてしまった。



 でも、女子二人でビキニになって自撮りしたりしてはしゃぐのは、ケンくんと行った海水浴とはまた違って、こういうのも楽しかった。



「っていうか、なんでツバキのビキニがケンくんの部屋のクローゼットにしまってあんの?いくら鈍感だって言っても、ケンくんだって男子だし、変なことに使われるとか心配じゃないの?」


「ああ、それでしたら、既に把握出来てますので平気ですね」


「把握?何を把握してんの?」


「石荒さんが、私の着ていた服とかを洗濯する前にこっそり匂い嗅いだりしてることです。なのでビキニは匂いを嗅がれる前に手洗いしてます」


「はぁ?ナニしてんのケンくん!?」


「匂いを嗅ぐのって誰でもやってることだと思いますよ? それに六栗さんだって下着姿やフルヌード見せるくらいなんですから、石荒さんに匂いを嗅がれる程度でしたら平気じゃないんですか?」


「そりゃまぁそうかもしれんけど、時と場合によるじゃん?」


「でも、六栗さんだって石荒さんのジャージを着たがったりして、実は石荒さんの匂いを嗅いで喜んだりしてるんじゃないですか?」


「べべべべべつにそんなことしてないし!」


 何故バレたんだろ・・・


「そうですよね。普通匂い嗅ぎますよね。私だって石荒さんの汗の匂い大好物ですから。だから、そういうのはお互い様だと思えば平気になりませんか?ギブアンドテイクですよ」


「だから私は匂い嗅いだりしてないって」


 でも、私もケンくんの部屋に初めて来た時とか、ケンくんのジャージ着たまま帰った時なんかは、ケンくんの匂いを思う存分堪能してたし、言われてみれば、同じことされても文句は言えないかもしれない。


「あ!もうこんな時間!外も真っ暗ですし、帰らないといけません」


「あーそうだね。そろそろ帰らないと」


「石荒さん、起こしましょうか」


「いや、寝かせといてあげよ。今日は色々させちゃって疲れてるだろうし」


「ではココでこのまま着替えちゃいましょうか」


 そう言ってツバキはベッドで寝ているケンくんに背中を向けると、ビキニを脱いですっぽんぽんになったので、私もビキニを脱いですっぽんぽんになった。


 腰を降ろしてバッグの中に仕舞ってあった下着を取り出して身に着けていると視線を感じて、振り向くとツバキはすっぽんぽんのままベッドの縁に腰掛けて、脚を組んで腕組みしたポーズのままジッと私を見つめていた。



「ん?なに?着替えないの?」


「六栗さん、夏休みのご予定は?」


「え?夏休み? うーん、今んとこは特には決めてないけど、家で勉強漬けだろうね」


 手早く服を着ながら答える。


「でしたら、毎日ココで一緒に勉強しませんか?勿論、勉強だけではなく、お母様のお手伝いしたり、お喋りしたり食事したりして、きっと楽しいですよ」


「ココで? っていうか、ツバキは夏休みも毎日ココに来るつもりなん?」


「はい。お母様からは毎日来てもいいと許可は頂いてますし、お裁縫を教えて頂く約束もしてますので」


「勉強と裁縫ねぇ。私もやってみようかなぁ」


「ホントですか!?やりましょう!一緒にお勉強とお裁縫やりましょう!美化委員と美術部もありますので、今年の夏休みは忙しくなりそうですよ!」ふふふ


「美化委員と美術部もあんの!?詰め込みすぎじゃない?」


「忙しい方が充実してるじゃないですか。MAXファイヤーですよ」


「ふーん。で、ケンくんは同意してんの?」


「石荒さんの同意、必要ですか? 多分、事前に同意得なくても大丈夫ですよ。グズっても結局最後には言うこと聞いてくれますし、今までもココに来るのに一度だって断られたり追い返された事ありませんので」


「え?いつも何も言わずに押しかけてんの?距離の詰め方ヤバくない???」


「そうでしょうか? でも、受け身体質の石荒さんは振り回されるのを喜ぶたちですので、スキンシップとかの距離感さえ気を付ければ大丈夫ですよ。最近は石荒さんの扱いも分かってきました」


「ふーん、受け身体質ねぇ。 ところで、いつまですっぽんぽんで居るつもりなん?ヒナはもう着替え終わったよ」


「あ!そうでした!道理で寒いと思いましたよ」



 今までケンくんに迷惑かかると思って、特に高校入ってからはガマンしたり遠慮したりすること多かったけど、ツバキの図々しさを見てると、そういう遠慮とかアホらしくなってくるわ。








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