#66 女同士で裸の戯れ
バスルームに入ると、お湯が注がれている最中の浴槽には半分より少し高い水位までお湯が溜まっていた。
シャワーヘッドを手に取ってコックを捻って蛇口からシャワーに切り替えて、お湯加減を確認してから背後で立ったままの六栗さんの頭からお湯を掛けた。
「ちょ!?いきなりかけないでよ!」
「ボサボサの頭してる六栗さんが悪いんですからね。さっきから気になって仕方なかったんですよ」
「え?ボサボサ?ナニ言ってんの?」
「いつもは可愛いらしいツインテールなのに、今日は
「え?やまんば?・・・マジ? ケンくんにも見られてた?」
「ええ、やまんばヘアばっちり見られてますよ」
「うそぉん・・・今日一番ショックだし・・・」
「頭、洗ってあげますので座って下さい」
「ううう、これも全部アンタのせいだ・・・」
「ハイハイ」
六栗さんは石荒さんにボサボサヘアを見られたことが余程ショックだったようで、シュンとして大人しくイスに座った。
シャワーヘッドを壁に戻してお湯を止めると、手にシャンプーを少量出して、六栗さんの背後からワシャワシャと髪に馴染ませていく。
こんな風に他人の頭を洗うのは初めての経験です。
でも、石荒さんの頭をいつもワシャワシャしてたお陰か、特に違和感や抵抗感はなくすんなり出来ました。
坊主頭と六栗さんのクセ毛とでは随分と違うんですけど、不思議なものですね。
それにしても・・・背後からでも見えてしまうほど豊満な胸。
私がワシャワシャする度に、揺れるんです。
大きいだけじゃなくて、きっと柔らかいのでしょうね。
流石、私に張り合って自慢してただけはありますね。
大きさも柔らかさも、私では敵いそうにありません。
今日初めて敗北感を味わいました。
一通り頭皮のワシャワシャを終えてからシャワーで洗い流して、次にコンディショナーを馴染ませていく。
「アンタ、何企んでんの?」
私にされるがままの六栗さんが、話かけてきました。
「六栗さんの警戒心を解きたいだけですよ」
「信用出来んし」
「私は周りとの深いお付き合いを避けて生きて来ましたからね。こういう時どうすれば良いのか分からないので、六栗さんにとっては突拍子もない行動に見えるかもしれませんね」
「だいたい何でそこまでしようとするの?アンタなんて私よりもなんでも上でなんだって出来るし、ケンくんのことだって今まで通り自分だけのもんにすればいいじゃん」
「ナニ言ってるんですか?石荒さんは誰の物でもありませんよ? 確かに私一人で独占したい気持ちはありますし実際にそうしてた自覚もあります。でもそれは石荒さんの意思を無視した私の勝手な想いと行動ですからね。 それに気付けたので、今はどうすれば石荒さんの意思を尊重しつつこの先も傍に居られるのか考えてたんです」
この先、私が石荒さんの傍に居続けようと思ったら、石荒さんの気持ちも大切にする必要があると気付かされました。その為なら六栗さんの存在は無視出来ません。石荒さんが六栗さんを大切に思うのなら、私はその気持ちを尊重するべきなんですよね。
「やっぱアンタにとって私なんて邪魔じゃん」
「どうしてですか?六栗さんも傍に来たければくればいいじゃないですか。はい、流しますよ、目をつぶって下さいね」
シャワーヘッドを手に持って六栗さんの正面に回ると、目を閉じたので頭からお湯をかけ始めた。
正面からですと、豊満な胸の自己主張が凄いです・・・
シャワーヘッドを左手に持ち替えて、右手でその重さを確かめる様に下からそっと持ち上げてみた。
「す、凄い・・・ずっしりと重くて柔らかいです・・・」
「ちょい!勝手に触んな!」
私が六栗さんの豊満な胸に触れると、六栗さんは怒りながら両腕で胸を隠してしまった。
「すみません。沸き上がる衝動が抑えられなくて、つい」
それにしても、六栗さんの豊満な胸の揉み心地と肌触りは凄かったです。
石荒さんの坊主頭なんて比じゃないですね。
いつまでも触っていたくなる柔らかさと重み。
自分の胸に手を当てて、持ち上げてみた。
私もそれなりにボリュームはありますが、あれほどの柔らかさと重みには敵いません。
「何とかもう一度触らせて頂くことは出来ないでしょうか・・・」
「はぁ!?バカじゃないの!自分の揉んでろ!」
「いえ、私のでは物足りないのです。六栗さんの胸じゃないとダメなんです」キリッ
自信を持って主張してみました。
「ウザイウザイウザイ!」
「こんな時、石荒さんなら不平を言いながらも私の気の済むまでワシャワシャさせて頂けるのですが・・・」
私が哀願しても六栗さんは無視して、逃げる様に湯船に入ってしまった。
仕方ないのでシャワーのお湯を止めて、私も湯船に入ることにした。
「少し詰めて下さい。私も入りますから」
「はぁ?なんで湯船も一緒に入らんとあかんの」
「往生際が悪いですね。裸のお付き合いですよ。ホラ、大きな胸とお尻が邪魔ですよ、寄って下さい」
「うっさい!お尻のことは言うな」
ぷりぷり怒りながらも私も入れるようにスペースを空けてくれたので、ゆっくりと足から入った。
比較的大きい湯船ですが、流石に高校生が二人も入ると狭くて、六栗さんと同じ向きで横に並ぶようにして湯に漬かった。
「ふぅ・・・落ち着きますね」
「・・・」
「こうして他人と一緒にお風呂に入るのは、中学の修学旅行以来です」
「・・・・・私もだし」
「そう言えば、学校ではご自分のことを『ヒナ』と呼んでるのに、私の前ではそう呼ばないんですね」
「・・・そんなん無意識だし」
「一人称が自分の名前って子供っぽいですものね。私の前では無意識にそういうのを出したく無いんでしょうね」
「バカにしてんの?アンタにそんなこと言われる筋合いないし」
「バカになんてしてませんよ。学校でそういう風に振舞える六栗さんが羨ましいんです」
「アンタこそ、その敬語止めればいいだけじゃん。優等生気取って嫌味にしか聞こえんし」
「言葉遣いは私のアイデンティティの様な物ですからね、そう簡単に止められるものではありませんよ」
「だったら私だって同じだし。私はこういう生き方なの」
「石荒さんに対してもですか?ずっとそうやって来たんですか?」
私が石荒さんの名前を出した途端、六栗さんは唇を尖らせ表情を曇らせた。
「・・・ホントは」
「はい」
「・・・・私とケンくんは、幼馴染なんかじゃない」
漸く六栗さんが本音を話し始めたと直感したので、話しの邪魔をしないように無言で頷いて、話しの続きを促した。
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