#37 疲れた少年のぼやき
漸く解放されて家に帰って来れた。
疲れた・・・
連休明け初日で、久しぶりの授業だったから?
いや違う。
学校でも桐山の相手してたからだ。
今日の桐山は特に我儘が酷かった。
久しぶりの学校で授業もフルだったのに、昼休憩だけじゃなく放課後も下校時間のアナウンスが流れるまでお喋りに付き合わせやがって。
それで漸く帰れると思って校門で「じゃあな」って別れて自分ちの方へ歩き出したら、「連休中はいつも家まで送ってくれたのに、もう送ってくれないんですか。ああそうですか。私が帰り道に暴漢に襲われても石荒さんにはどうでもいいことなんでしょうね」とかまたメンドクサイこと言い出したから、結局今日も家まで送ってくハメに。
俺の前でだけ素の自分を出すようになったからって、今日の桐山、ちょっと異常だったと思う。ココまで好き放題我儘放題されると、流石にどうかと思う。
別に邪険にするつもり無いし、友達としてなら良いんだよ。
ウチに遊びに来るのもたまにラーメン屋に付き合わされるのもさ。
連休中、ホントは六栗と遊びたかったけど、六栗は勉強に集中してるみたいだし、なんだかんだ言って桐山と遊んでるのも面白かったし、六栗のことで相談に乗って貰ったのも助かったし。
でも、学校内で内緒で呼びだされてコッソリ密会っていうのもなんだかなぁって思うし、しかもずっと俺の頭触ってるんだぜ?
妙に生き生きとしてたし、あの女、変な性癖に目覚めちゃったのか?
俺が目覚めさせちゃったのか?
俺の坊主頭、そんなにも罪深いのか?
喋ってる間とかずっと俺の頭ワシャワシャしててさ、当然頭揉まれてる間は超至近距離であの美貌が目の前にあるし、教室では絶対に見せない様な妙に緩んだ顔して頬赤らめてるし、女子の良い匂いもするし、何気に胸も揺れてるし、ムラムラするの抑えようと必死に心を無にして雑念滅却しようとするんだけど、桐山がアホなことばっか言って俺が返事しないと「私の話聞いてますか?聞く気ないんですね。そんなに冷たい人だとは思いませんでした」とか言い出すから全然集中出来なくてさ。
そもそも成り行きで友達になっただけのクラスメイトで、恋愛対象として見るつもり無いのに、あの美貌で距離詰めてこられると流石に危険すぎるんだよ。
普通の男子なら押し倒しててもおかしくないよ?
俺だから耐えることが出来てるって、マジで思う。
なのに、二言目には「性犯罪者!」とか言いやがって。
でも、少しだけ本音をぶっちゃけると、六栗のスカート脱がせちゃって怒らせて絶交されかけたせいで、六栗のこと性的な対象として見ることに凄い罪悪感を感じるようになっちゃって、代わりに桐山くらいはそういう目で見てもいいのかな?って思っちゃってる。
別に桐山に手を出そうとかそういうことじゃないよ?
一人でそういうこと妄想する時、桐山パターンでも良いよねって話。
俺だって健康的な高1男子だからね。
っていうか、桐山って俺のこと性犯罪者!とか言いながら、
俺をハメて本物の性犯罪者に仕立て上げようとしてるのか?
コレってハニートラップなのか?
童貞だからチョロいって思われてるのか?
二人きりになるの、実は超危険じゃない?
早めに逃げないとヤバイ案件?
でもなぁ、桐山って滅茶苦茶粘着質でしつこいんだよな。
部活のこととかもそうだけど、ちょっと俺が逃げようとしただけですげぇムキになって逃がさない様にするもんな。
しかも頭脳派タイプだから狡猾で、人の弱みとかチクチク突いてくるんだよ。
敵に回したらダメなタイプなんだよな。
もしかしたら、桐山が恐れてる母親もあんなタイプなのかも。
なんだかんだ言って、親子で似てるんじゃないのか。
親同士が不仲だとも言ってたし、桐山も将来カレシや旦那が出来たら相手は苦労しそうだよな。
第6章、完。
次回、第7章 卯月曇、スタート。
___________
お蔭様で、祝!10万文字突破
まだまだ続きますので、引き続き、よろしくお願いします。
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