第2話 少女魔術師セリン

「だぁぁぁあ〜〜〜つ、疲れたーーー・・・ったく、騎士様のスタミナなめてたぜ〜〜〜」


ミカラが心底疲れきった声を出してテーブルに突っ伏す。

すると・・・


「ちょっと!館内では静かにしなさいよっ!」


突然独り言への叱責を受ける。

ミカラはチラリと視線を走らせ、わざとらしくキョロキョロと周囲を見回す。


「・・・はて?声はすれど姿は見えず・・・そうか、妖精さんか・・・きっと小さくて目に映らないサイズ感なんじゃろなぁ」


ミカラは穏やかな笑顔を浮かべてテーブルに再度突っ伏す。


「んがっ!?だだだだっれっがぁっ!小さくて目に映らないですってぇぇぇっ!うるさいって言ってるでしょっ!静かにしなさいよっ!」


「いや君のがうるさいだろ」


ミカラが片目を開けて横を見やると、まさしく魔術師然とした少女がいた。

元々小柄な上に、サイズの合ってない大人用の魔術師のローブを着ているせいでさらにちっちゃく見える。


「私の勉強の邪魔よっ!そもそもその席は私がいつも使ってる席なんだからっ!本も読まないで居眠りするくらいならすぐにどいて―――」


「あの、よろしいですか?」


「ん?」


「なによっ!・・・あ、ヤバ」


狸寝入りをするミカラとぷんすこしてる少女魔術師の側には、ここ魔術図書館の司書が立っていた。











「も〜〜〜〜〜〜っ!最悪っ!図書館を追い出されるなんてっ!」


少女魔術師が涙目で憤慨している。


「仕方無ぇだろー。うるさくしたんだし」


「ちょっと!あんたのせいで図書館追い出されたんだからねっ!責任取りなさいよっ!」


「いや完全におまいさんのせいやろがい」


ミカラは相手するのも馬鹿らしいとばかりに歩み去ろうとする。

ミカラは、とある少女騎士から逃げるように別の町へと来ていた。

大都市への乗り合い馬車にギリギリで乗り込んだ後、スルリと馬車を降りて物陰に隠れた。

しばらく様子を見ていると、その乗り合い馬車を走って追いかけて行く少女騎士を見てゾッとしたのだ。

ミカラは徒歩で森の獣道を踏破し、魔術師ギルドが力を持つ、やや魔術色の濃い町へとやって来た。

特に目的も無く来ただけなので、とりあえず魔術図書館で昼寝を決め込んでいたら、なんか変なのに絡まれた。

今ここ。


「ねぇっ!聞いてるのっ!」


「いやついてくるなし」


走ってまくのも面倒なので、無視をしてスタスタと歩く。

少女魔術師はちょこちょことついてきていたが、歩幅が違うのでいずれは置いかれてしまうだろう。

そう考えた少女魔術師は立ち止まり、声をあげる。


「いいわっ!あったまきたっ!思い知らせてあげるっ!」


そして突然目を瞑ると、むにゃむにゃと何事かを唱え出す。


「いや洒落んならんだろ」


ここは天下の往来。

人混みは多くないが、親子連れなどの通行人、客と愛想良く話す露店商などがいる。

どう見ても魔術をぶっぱしていい場所ではない。


(どう無力化する?)


ミカラは瞬時に何パターンか考える。

この距離なら一足飛びで距離を詰めて、当て身でもすれば昏倒できる。

もしくは、直接口を塞ぐ、杖を奪う。


(いや、ダメだろ)


魔術を放つ前に少女に危害を加えてしまうと、目撃者的に悪いのはミカラになる。

被害を未然に防いだのに、衛兵にしょっぴかれるのは割に合わない。

ならば―――


「『反魔』」


ミカラがとある魔術を放つ。

すると・・・


「な、なに・・・今の・・・魔術が散らされた・・・」


少女魔術師がぽかんと口を開ける。

『反魔』。

魔術の構成を無効化する魔術殺しの魔術だ。


「えいっ!えいっ!なんでっ!火球が出ないのっ!?このーーー燃えろーーーっ!」


杖をぶんぶん振り回してなんか叫んでる。

一度失敗した魔術は、最初からやり直さないとならない。

これが移動砲台とも言われる魔術師の弱点だ。


(無詠唱にする裏技や詠唱省略するコツもあるんだが、数段落ちるからな)


料理の下拵えを怠ると、なんだか美味しくなくなるのと同じく、細々として手順を踏んで儀式として完成させた時こそ魔術は真価を発揮する。

故に、正統派の魔術師ほどきちんとした呪文詠唱を基本とする。


「てゆーか町中で攻撃魔術なんて使うなバカ」


ミカラは少女にスタスタ近づくと、コツンと頭をはたく。

そして・・・


「『沈黙』」


「―――――っ!?」


ミカラは声封じの魔術を使い、少女の魔術を封じた。










「――――――っ!――――っ!―――っからっ!早く魔術解きなさいよっ!・・・て、あら、声戻った」


「オマエ、ええ根性しとるやん」


ここはミカラが泊まっている安宿だ。

あの後、少女魔術師はしつこくもそのままついてきたのだ。

普通は諦めるか逃げ出すかするだろう。

男の泊まり客が少女を連れて宿に帰って来る。

幸いにも魔術師の格好をしていたために、冒険者仲間としてカウントされたのか、宿屋の看板娘は疑わしい目つきをしつつも何も言わなかった。


「女が男の部屋に来る意味も知らん訳でもあるまいに・・・」


男の部屋に少女が1人。

また『反魔』と『沈黙』を使えば少女を簡単に無力化し、力付くで組み伏せて何時間かは好きなようにできる。


(あまり法律には詳しくないが、こういった場合は合意を得た扱いになるんだっけ?)


かと言って、ミカラにそんな気は無い。

3日間ほどプロのお姉さん方にお世話になってアッチの方の欲求が満たされてるのもある。

それに・・・


(なんかこいつも、クッコロと同じ匂いを感じるんだよなぁ)


そう思いつつも部屋にまで入れてしまうあたり、ミカラが基本的にはお人好しの部類に入るのがわかる。

ミカラはきっと否定して、自分はクズだと嘯くのであろうが。


「まぁいいわっ!じゃあ、さっきのアレとアレ、教えなさいよっ!」


「なんでだよ?」


面倒臭い予感がひしひしと伝わってきた。

やっぱりまけば良かったか。

今からでも逃げ出すか?

町の外に出ればさすがに追ってはこまい。


「あの女に・・・勝ちたいのっ!」


少女魔術師が顔を真っ赤にして目に涙を溜めている。

今にも泣き出しそうだ。

安宿は壁も薄い。

勘弁してくれ。


「―――はぁ〜〜〜わかった、わかった。話は聞いてやる」


「・・・ありがと。あのね―――」


話はこうだった。

魔術師ギルドでは様々な手段で昇格方法がある。

目覚ましい研究成果だったり、古文書を解読したり、新しい魔術や新しい魔道具の開発などをしたり。

そして、ちょっとした模擬戦でもポイントを稼げる。

魔術師同士の一騎討ちなど、現実的にはそうそう無いものなのだが、これが実は1番人気がある。

血気盛んな若い魔術師は研究や開発やらよりは、解り易くてド派手な模擬戦にハマるらしい。

そしてそれは昇格するためだけに使われる事も無く、当たり前のように・・・


「揉めたら決闘・・・ねぇ」


「あいつの魔術の詠唱も構築も、私より早いの。私のが威力が高い魔術を使えるんだけど・・・一対一だと、勝てないの・・・」


少女魔術師は悔しそうに呟く。


「なるほどな。それで魔術図書館に通い詰めてた、と」


「うん。でも・・・いくら本を読んでも、良いアイデアが浮かばなくて・・・ 」


勝ち気で生意気なのは、自信の無さの裏返しなのかも知れない。

彼女は現実に押し潰され、もがき、足掻いているのだ。

詠唱さえ、構築さえ完成すれば少女魔術師の勝ちは揺るがない。

しかし、ヨーイドンッ!の決闘の場合、最初に一撃入れた方が勝つ。

初撃を防御で凌ぐのも悪手だ。

余程の実力差が無い限り、一度後手に回ればそのまま削られて詰む。


「アンタのあの変な魔術はどうやるの?」


「えぇ、これもう教える流れ?」


ミカラはやる気が出なかった。

それに着の身着のままこの町へと流れ着いたのだ。

そろそろなんかクエストこなして金を稼いで・・・


「前払いでこれだけ出せるけど、どう?」


少女魔術師はローブの内側から大量の金貨を取り出すと机の上にジャラジャラと無造作に置く。

それを見てミカラは即答する。


「やりましょう。俺の名はミカラ・デタサービ。よろしくな!」


「私はセリン。セリン・ニトログリよ!」


こうしてミカラによる臨時家庭教師が始まった。











「おーっほっほっほ!あらあら、尻尾巻いて逃げた負け犬さんがようやく出ていらっしゃったわね?」


物凄い解り易いヤツが出てきた。

金髪縦ロールの髪型。

金にものを言わせただろう豪奢なローブに、強力な付与がなされた杖。

そして・・・


「なるほど。セリンの負けだな」


「どこ見て言ってんのよスケベっ!信じらんないっ!」


「だってあっち、ゆっさゆっさのバインバインじゃねーか」


「最っ低ーーーっ!私だって脱いだら凄いんだもんっ!大人な女だもんっ!」


「わかったわかった。俺が悪かったからその貧相なものを仕舞いなさい」


「うぅっ!まだ成長期なんだもんっ!」


めそめそしてきたセリンを男が宥める。

ここは、魔術師ギルドが管理する模擬戦場。

演習場も兼ねているここには、修練中の魔術師たちがたくさんいる。

集めた訳でもないが、みんなが周囲に集まりギャラリーとなる。


「プッ・・・なんですの?その薄汚い男は?それが貴女の先生ですって?それとも恋人とでも言うのかしら〜?おーっほっほっほ!」


金髪縦ロールが高笑いすると、数人の若い男性魔術師たちも一様に高笑いする。

なんだあいつら?

するとセリンが売り言葉に買い言葉でとんでもない事を言い放つ。


「そ、そうよっ!ミカラは私の先生で・・・ こここ恋人なのっ!結婚だってするもん!この人、凄い魔術使えるしっ!アンタなんかに負けないしっ!」


「こらこら盛るな盛るな」


ミカラは白けた顔で適当に突っ込んでおく。


「あらあら、そんな見栄を張らなくても良くってよ?また私に負けた時の言い訳が苦しくなってしまってはお可哀想ですし」


また金髪縦ロールが笑うと、取り巻きらしい男連中も高笑いする。

なんか楽しそうだなアレ。

そう益体も無いやり取りをしていると、ギルド本館の方から年配の魔術師が現れた。

審判役なのだろう。

ミカラと金髪縦ロールの2人に、注意事項やら何やらの確認を行っている。


(・・・強ぇな、この人)


管理職然として何処か役人めいているが、相当強い。

恐らく、危険な場面になったら両者を制圧可能な戦力があるのだろう。

その年配魔術師は男をチラリと一瞥するが特に何も言わなかった。

そのまま、決闘が始まる。


「それでは両者、尋常に・・・勝負っ!」


年配魔術師が合図の光弾を放つ。

すると、少女2人が詠唱と魔術の構築を始める。


(確かに早い)


ミカラから見ても、金髪縦ロールの魔術の詠唱と構築の練度は高い。

しかし・・・


「『反魔』っ!」


ミカラがセリンに教えた詠唱省略(無詠唱は無理だった)により、いち早く完成された『反魔』の魔術が金髪縦ロールに襲いかかる。


「・・・んなっ!?」


金髪縦ロールが構築していた魔力が雲散霧消し、彼女が困惑の声をあげる。

それはそうだろう。

ギャラリーの魔術師たちもどよめく。

魔術の花形は、まさに高威力の範囲魔術だ。

魔術師同士の一騎討ちともなれば、長距離からの撃ち合いが基本となる。

それを小手先の魔術封じで出鼻をくじいてくるなど想定外だったはず。

卑怯と言うのは二流、三流だ。

それなりの実力者ならば、セリンの詠唱省略と『反魔』の魔術の恐るべき戦術的価値に気づくはず。

実際、審判役の年配魔術師は微かに目を見張っていた。

だが・・・


「ぐっ!こちらの魔術を邪魔するなんて!卑怯ですわっ!」


金髪縦ロールは二流以下のようであった。

セリンがニヤリと笑う。


「戦いに卑怯も何も無いわよ」


「このーーーっ!見てらっしゃいっ!」


金髪縦ロールが再び魔術の詠唱と構築を始める。

すげー早口。

だが・・・


「遅いっ!『沈黙』っ!」


「――――っ」


セリンの放った『沈黙』の魔術により、金髪縦ロールの声が封じられる。


「―――――っ!」


驚愕の表情で口をパクパクする金髪縦ロール。


(くっ!教わった通りに出来たけど・・・持って数秒っ!)


セリンはミカラから手ほどきは受けたが、まだ完全に使いこなせていなかった。

金髪縦ロールへの『反魔』や『沈黙』は、実は一瞬だけ声を奪うくらいに留まる。

しかし・・・魔術の構築を邪魔するなら、それだけで十分。 


(このままなら勝てるっ!勝てる・・・けど、ホントにこれで・・・いいの、かな?)


一瞬だが、セリンに迷いが生まれる。

純粋な魔術勝負に水を差した気がしないでもない。

これは卑怯なのか?

これは邪道なのか?

私はこのまま勝って満足できるのか?

その時少女の脳裏に、ミカラの言葉が甦る。


―――なぁ、お前さん火力はすげーんだから、早口勝負にまともに付き合わなくていいんだよ。小細工は仕込んだとしても、相手をぶっ倒すのはお前さん自身の力だ。そうだろ、ミカラ!―――


(そうだっ!この魔術も私の魔術、私のすべてで勝負すればいいっ!)


ミカラの言葉を胸に抱き、セリンは自信を持って唱え終わる。

勝利への詠唱を!


「『炎』よっ!」


ゴオッ!!!


「んきゃああああああああっ!」


セリンの放った火炎魔術が、金髪縦ロールを吹き飛ばした。

火力から見て炭化した死体が出来上がりそうだが、魔術師ギルドの護符のお陰でそうはならない。

こんがり焼き上がって金髪縦ロールが金髪アフロになったぐらいに留まる。

気を失ってはいるが、肉体的ダメージは皆無のようだ。

しかし、豪奢なローブが燃えて破けて、たわわな何かが露わになっている。


「うおおおおおおっ!」


ギャラリーの男連中が興奮した声をあげる。

しかし・・・ 


ポトポトッ


燃えかけの何かが地面に落ちる。

あれはそう、最近流行りだした、胸の嵩を増すヤツである。


「おおおお・・・???えぇ〜〜〜〜っ?」


ギャラリーの男連中から落胆の声があがる。

酷いヤツなどはペッと唾を吐いてから立ち上がって模擬戦場から離れていく。

確か金髪アフロの取り巻きの連中だ。


(男なら気持ちはわからんでもない。ま、俺は見抜いてたがな)


揺れ過ぎて不自然だった。

魔術師ギルドの引きこもり童貞連中には真贋はわからなかったのだろう。

ミカラには解ったが。


「勝負ありっ!」


審判役の魔術師が決着の合図を出す。

セリン・ニトログリの勝利である。











「ねぇ、ミカラのお陰で勝てたわ。ありがとう」


何故かミカラの泊まる宿の部屋へと戻ってきた。

酒場か食堂へ行こうと誘ったのだが、強引に部屋へと来させられた。

またまた宿の看板娘の視線が痛かった。

それはともかく・・・


「あいつにはいつかやり返してやりたくてさ。はースッキリしたっ!」


晴れ晴れとした笑顔でお礼を言ってくるセリン。

出会ってから怒ってる顔しか印象になかったが、笑うと年相応に可愛らしい。


「ん、まぁ成り行きだ成り行き。気にすんな。報酬も貰ってるしな。勝ったのはセリンの実力さ」


ミカラ自身はほとんど何もしてないので、少し貰い過ぎな気もしてきた。

こんないたいけな少女から巻き上げたお金だ、せめて大切に使おう。


「私の今月のお小遣い分よ。有り難く思いなさいよね」


「うげぇ、格差社会・・・」


よし、泡銭はパッと使おう。

ミカラがこの町の歓楽街に出かける事を考えていると、セリンがもじもじしながら話しかけてくる。


「あ、あのさ。ミカラがどうしてもって言うなら・・・私の魔術の家庭教師として・・・雇ってあげてもいいわよ?パパには私が口きいてあげるから」


「え?嫌だが」


「なんでよっ!」


(・・・いや、待てよ?)


ミカラはふと考える。

前回は我を通し過ぎてさらに拗れた。

ならば・・・


「わかった、わかったよ。今は正式に返事はできねぇけど、セリンの実家には今度行ってやらんことも無いかな?そんで、待遇やら報酬やらにお互い納得できたら、契約するよ」


ミカラはいい感じに返事をはぐらかし、逃げる算段を立て始めた。

言質を取られるような発言には気をつける。

 

「ホントっ!やった嬉しいっ!ミカラありがとう!」


セリンは輝くような笑顔で抱きついて来る。

その時、以外にもかなりの弾力を腹の辺りに感じた。

背丈の差で、その辺りに感じるやわらかいものと言えば・・・


「・・・おっと。思ったよりあるな?そうか、ぶかぶかの服のせいか・・・」


「え?なあに?」


「なんでもね。さぁ、今日はもう疲れたろ?家に帰って安めよ」


ミカラの中で何かがぐらついていた。

すんごい金持ちの家の魔術家庭教師。

そこまで縛られる雰囲気でもない。

悪くないんじゃないだろうか?

週に1回くらい、セリンにちょっとしたアドバイスやらをするだけで定期収入。

そもそも金貨の件だけでなく、装備や教育がしっかりしていて、才能がある人間が裕福でない訳がないのだ。


(魔術師じゃねーから本業には出来ないが、副収入としてなら悪くないかな)


適当にクエストをこなしつつ、副収入で小遣い稼ぎ。

案外悪くない暮らしかも―――


「・・・ん、あのさ、ミカラ。今夜、ここ泊まっていっていい?」


セリンが上気して顔で上目遣いで見上げてくる。


「わ、私だって、女が男の部屋に来る意味くらい・・・知ってるんだから、ね」


「イイヨ。トマッテキナヨ」


ミカラの中のアラートが激しく鳴り響く。

コレは、マズイ流れですよ。


「チョットイマカラ買イ物シテクルネ?」


「え?そ、そうね。わかってる。きゅ、きゅうに来たからね。いろいろ、必要だもんね?」


セリンが期待と不安の入り交じった眼差しでミカラを見上げてくる。


「うん、わかった。待ってる」


「ああ」


ミカラはなるべくぎこちなくならないよう努力して笑顔を浮かべると、宿を出て。

そのまま町を出た。


「責任なんか取りたくないんだよなぁ」


クズは今日もクズである。

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