第8話

 照葉大吊橋での風光明媚な日が、恐ろしい事件の舞台となりました。狸塚貴浩は美しい景色を楽しむために訪れていましたが、そこで何者かに襲われ、殺されるという悲劇が繰り広げられました。


 太陽が差し込む吊橋の上で、狸塚は何者かによって突如として襲われ、深手を負っていました。吊橋の揺れと風景の美しさとは裏腹に、狸塚の悲鳴が響き渡りました。


 通行人たちは驚きと恐怖に包まれ、警察が駆けつけて捜査が開始されました。照葉大吊橋は封鎖され、捜査員たちは事件の真相を解明するべく厳格に捜査を進めました。狸塚貴浩の死は、綾市に衝撃を与え、彼の友人や知人たちは深い悲しみに包まれました。


 狐田桜と狸塚貴浩を殺した真犯人は『綾町の事件簿』を書いた小説家、西野啓吾にしのけいごでした。

 西野は本名だが、東野圭吾のパクリやんと浜田雅功の真似をした狸塚と、ネットで誹謗中傷してきた狐田のせいで次の作品を書けなくなった。

 狐田は推理作家を志していたが、日の目を見ることはなく肺の病に罹ってしまった。狐田は西野と付き合っていたが剣持千夏って女に彼を奪われてしまった。嫉妬に狂い、『西野はパクり大魔王』『12歳の女子とホテルに入るのを見た』とソーシャルでディス(社会的な侮辱)った。狸塚は西野の甥だ。西野家に来るたびにイジられ、原稿や印税、クリスマスプレゼントなどを要求された。

『僕も推理作家になってみたい。けど、将来メディアに僕が出たときにアンタ邪魔だから死んでよ』とまで言ってきた。


 西野は穴熊に崖の淵に追いやられた。

「僕、アナタの作品大好きでした」

 穴熊は、次元の番人の言葉を思い出した。

『この世から悪人を15人消せ』

 穴熊の愛する女性がヤンボシって妖怪に拐われてしまった。夜の山道を歩いていると出遭うもので、大きな影が人型に広がって現れるといわれる。見越入道の一種とする説もある。


 宮崎ではヤンブシともいって、坊主が首吊りをした場所に必ず現れ、夜に山へ行くとヤンブシにさらわれるという。出現に気づいてから走って逃げても追いかけてくるので、狙われた際にはさらわれることを覚悟しなければならないが、人間がヤンブシに気づかないときには、ヤンブシの方も人間を気にしないことが多いという。


 奄美群島でもヤンブシといい、髪を振り乱した妖怪として怖れられている。


 山道でこうした妖怪の言い伝えがあるため、かつては夕方に道を行く人同士が声をかけ合う風習があった。これは単なる礼儀ではなく、行き会った相手に対して、自分が化け物でないことを証明する意味であったという。


 穴熊は彼の背中をドンッと押した。

「彼女を助けるためだ何が悪い」

 ウワァー!彼は谷底に真っ逆さまにDIVE!!

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綾町殺人事件 鷹山トシキ @1982

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