第71話 デート二回目「待ち合わせ」

 俺は今、駅の前にある木のモニュメントの前に向かっている。

 今日は美月みつきさんとの出かける日。二回目だから緊張なんてしていない・・・なんてことはなく、何なら一回目の時より緊張している。

 なぜかって?美月さんは俺にはっきりとした好意を持っていて、それを伝えてくれている。だから、だからこそ緊張してしまう。

 俺が待ち合わせ場所に向かうと、既に美月さんがいて俺のことを待っていた。相変わらず待ち合わせより早くいるし、めちゃくちゃ目が惹かれる。近くを通った通行人達が目線をそちらに向けている。

 俺はその人が自分の待ち人だというなんだか分からない優越感に浸りながら美月さんのもとに向かう。


「おまたせしました。俺も待たせないように早く来ようとしたんですけどね」

「あ、悠真ゆうまさん。私は30分前に来てたので」


 え、30分も待ってたの?俺が来たのが集合時間の10分前なんだけど。

 それにしても、なんだか今日の服装に既視感がある。もしかして考えていることはだったのか?


「美月さん、その服ってもしかして」

「はい、覚えててくれました?そうです。この前悠真さんに選んでもらった服の内の一つです。どうです?似合ってますか?」


 似合ってるに決まってるじゃないですか。もちろん俺が選んだからではなく、美月さんの素が美しすぎるからだ。

 水色の薄い生地の長袖に、白いレース気味のオフショルダーワンピースを上から来ている。その姿はどこかのお嬢様がお忍びでおでかけに来ているような美しさがあった。


「似合ってますよ。俺も美月さんと同じでこの前のときに買ったやつを着てみました」


 ベージュのカーゴパンツに白いTシャツ、その上に緑のカーディガンを羽織ったものだ。この前出かけたときに美月さんが選んでくれた際に、『こっちの服を着てる悠真さんと一緒にお出掛けしたいですね』と言っていたので着て来たのだ。


「そうですよね。この前私が選んだやつですね。とても似合ってますよ」


 この前選んだときも言われてるし、美月さんが選んでいるので分かっていたが改めて言われるとやっぱり嬉しい。まぁ俺が選んだわけじゃないんだけどな。


「それで今日はどこに行くんですか?美月さんが行きたい場所があると言っていたので何も知らないんですけど」

「今日はですね、水族館に行こうと思います」


 水族館ですか?小学生以来行ってない気がする。


「今日は遠くまで行くので電車に乗るんですけど大丈夫ですか?」

「大丈夫とは?」

「ほら、昔色々あったと聞いたので」

「ああ、あれですか」


 やっぱり美月さんは優しいな。もしかしたらこの前出かけたときに電車に乗ったことも気にしているかもしれない。


「もう大丈夫ですよ。もし同じ状況なったらわかんないですけどね」

「そうならないと思いますし、そうなったら私が悠真さんのことを守りますので」


 あらなに、美月さんがすっごくイケメンに見える。


「では行きましょうか」

「はい、水族館楽しみです」


 俺たちは駅のホームに向かっていった。


 今回は短めです。

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