第61話 定期テスト二日目
俺はいつもより早く目が覚めた。起きてる気配はしないので健一はまだ寝ているようだ。
俺は今日の朝ごはんに焼き鮭と卵焼き、豆腐の味噌汁と健一が好きなきんぴらごぼうにしようと思う。
俺はキッチンに立ち朝ごはんの用意を始めた。焼き鮭は昨日勝ってきたものを焼くだけなのでそこまで手間はかからない。
味噌汁に入れる豆腐は一口サイズに切り、乾燥わかめと一緒に味噌汁の中に入れる。
卵焼きは今日は二人だし卵を二個使う。俺は甘めが好きなので砂糖と白だしを入れ混ぜ合わせる。砂糖が入っているので焦げないように気を付けながら巻いていく。
「んぁ、おはよう」
「おはよ」
朝ごはんを作っている間に建一が起きて部屋から出てきた。
「もうすぐ朝ごはん出来上がるから冷蔵庫からきんぴらごぼう出して待ってて」
「分かった。何から何までありがとな」
「気にすんなって、困ったときはお互い様だろ」
「助かる」
そのまま健一にきんぴらごぼうとついでに食器の用意をしてもらう。
卵焼きが出来上がるタイミングでちょうど鮭も焼き上がり、味噌汁と白米をよそって食卓に並べる。
「さあ食べるか」
「朝からこんなに豪華なの久しぶりだな」
「「いただきます」」
俺も毎日料理はするがここまでしっかりしたものを作ってるわけではない。今日は人が来ているのと、体調崩していた人がいるので栄養面を考えて一汁三菜を意識して作った。
「そういえば体調は?」
「すっかり良くなりました」
「そりゃ良かった。これでテストの結果にも期待できるな」
「げっ、そこは病み上がりということで見逃してくださいよ」
「お前の体調管理が問題だっただけだからな」
「返す言葉もございません」
これを機に徹夜をしなくなるといいけどな。でもなんだか次の定期テストでも徹夜しそうだし近くなったら注意するか。
まあ今回は自己管理が出来てない健一が悪いので俺が教えた分は点数を取ってもらわないとな。
「「ごちそうさま」」
朝ごはんを食べ終わった後、食器を片付けた。
制服や準備もあるので健一は一回家に戻った。俺はその間に学校の用意をして健一の準備が終わるのを待つ。
「そういえば昨日のテストはどうだったんだ」
「正直何も覚えてない」
「だろうな。あんなに熱があったらそうなるだろ」
俺たちは今日も一緒に登校していた。昨日のテストの結果を聞いてみると案の定記憶があやふやだった。
「そういう
「うん、出来たよ。手応えは結構あるね」
「そうか。
「なんで知って、、」
「俺の隣で話してたんだからそりゃ聞こえるだろ」
俺は昨日のテストは完璧に出来た自信があった。その俺の返答に予想していなかった言葉が帰ってきた。どうやら俺と美月さんの勝負の話は聞こえていたらしい。
「何頼むんだ?」
「・・・特に・・・」
「嘘だね。お前の目泳ぎ過ぎな」
「まあ聞かないでくれ」
「わかったよ。相談があったらいつでもしてくれ。多分答えられるからな」
「それは助かる」
なんで俺はそんなにわかりやすいんだよ。でも、健一が相談に乗ってくれるのは本当に助かる。
「じゃあ、今日は昨日の分を取り戻すように点数を取らないとな」
「悠真さんや、どうにかならんすかね」
「ならないね」
俺たちは学校に着くまで馬鹿話をしながら歩いていた。俺もバレないように注意しながら。
学校に着くと俺たちのもとに
「おはよう」
「おはよ」
「おはようさん」
「健一くん、体調は大丈夫なの?」
「ああ、もうバッチリだ。心配かけてすまんね」
小森さんは俺が健一に運んだことを知っているので心配していた。学級委員長なので責任感も強いのも原因の一つなんだろう。
「じゃあ今日のテストは大丈夫だね」
「う、
「ほら、建一、ちゃんと点取れるよな」
「そんな目で見ないでください悠真さん」
「うん、勉強になるとどんな上下関係なのかすぐにわかったよ。悠真くんも大変だったね」
「こいつ物覚えは悪くないんだけどな」
小森さんにもテストのことを言われて健一はバツ悪そうに視線を泳がした。すかさず俺からも言われて、なんだか健一がいつもより小さく見えた。
そんな俺達のことを見て小森さんは呆れながらも面白そうに微笑んでいた。
「まあ頑張ろうか」
「お前が言うなボケ」
「うん、頑張ろうね」
俺たちはそれぞれの席に着いて最後の復習を始めた。
ちなみに
二日目のテストも終わり建一たちと一緒に帰った。
「けんくん、体調は?」
「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「本当だよ。そんなけんくんは私のお願いを聞いてもらいます」
「分かったよ。俺が出来ることならな」
「おい、俺をおいてイチャイチャすんなよ」
「え、悠真も彼女作れば?」
「お前なぁ」
そんな簡単に彼女が出来れば困んないよ。俺の中でやっぱり女性に対する意識があるからな。
それでも少しずつ変わっている。ある一人の女性がきっかけで俺も変わっている。その彼女に対する気持ちが何なのか未だに名前が上手くつけられていないが。
「そんなこと言って夏には出来てそうだけどな」
「でも・・・」
彼女、美月さんが彼女に、夏、海、
「誰と何してるとこを考えたのかな悠真くんは」
「な、なんでもいいだろ」
「ま、そうゆうことにしておいてやるか」
俺のことをニヤニヤしながら見てくる二人のことを無視して帰路についた。美由がどこまで着いてくるのかと思っていたら健一の家に行くらしい。
俺たちは全員でエントランスをぬけてそれぞれの家の前で別れた。
俺は今回は上手く隠せたようだ。
俺は家に入ると何もやる気が起きず、自分の部屋に入り、すぐにベッドに入り眠りについた。俺は夕方まで起きることはなかった。
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