第13.5話 くろいもや
人間関係とは積み木のようなものだ。色々なものの積み重ねで出来ている。それも絶妙なバランスを保ったままだ。そんな状態だからこそひとつズレてしまうだけで全てが崩れてしまう。積み重ねたものが崩れることを経験をした後、人は再び積み重ねる者と諦める者に分かれる。俺は後者であった。
もう一度積み重ねて崩れてしまった場合のことを考えると怖くなって何も出来なくなった。始めから無いものは崩れることは無い。だから俺は人との付き合いを限定することにした。少ないものを慎重に重ねることに。
新しい交友関係が出来るということはいいことでもあるのだが、崩れる可能性が高くなるというデメリットもある。俺は臆病者だからこそその危険性が怖い。周りの人達は過去の人達とは違うことは分かっている。自分が少しずつ変わっていく、いや戻っていくことが分かっている。
でも、ふとした拍子に思い出してしまう。何が人を変えるか分からない。たとえ今は仲が良くてもそれがいつまで続くかわからない。過去の俺はみんなと一緒にいるのが永遠に続くと思っていた。
臆病な人間は自分の身を守るために自分を低く見せようとする。俺自身もそうだ。低く見せようとしているわけでは無いが、他人との間に壁を作り拒絶している。自分の本心を誰にも見せずに偽っている。自分のことを守るために。
俺は自分のことが嫌いだ。何も出来ない自分のことが嫌いだ。周りを拒絶する自分のことが嫌うだ。そしてそんな自分のことを正当化させようとする自分が一番嫌いだ。
人を信じて裏切られてしまうことが怖い。だから周りの人と関わらないし、拒絶する。
ひとり、暗闇の中に閉じこもる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます