第19話 現世日本へもどる
真正面から暴れ馬が突っ込んでくるのが見えたのが、
自分が見た最後の瞬間だった・・・あっ!今度こそ死んだ!
って思ったんだが・・・・
「あっ!気が付いた?」
んーっと、ここはどこかしら?なんか病室のようなところだが・・・
「よかった!先生!気が付きましたか!」
先生?だれのこと言ってる?
白衣姿の医師や看護師が数名。
それとどこかで見たことのある男が一人。なんか見た事あるなぁ・・・
傍にいた看護師に「今日は何日ですか?」
「7月11日です」「何年?」「2024年」
って事は?
現世に戻れた!ってことか?
「私、ずっとここに?」
「そうです、男に刺されたあと、救急車でここへ運び込まれたんです。
キズはさほどではなかったのですが、なぜか意識が1年間戻らなくて・・・」
そう言うことか、意識が戻らなかったのは異世界に転生していたからなのね。
しかし1年?そんな短い間?あの世界では3年くらい居たような気がしたけどな。
なら、あの二人はどうしたのかしら?
「私だけ?」
「そうですよ」
「ちょっと鏡ある?」
「あっ、ちょっと待ってくださいね」
「ハイ、どうぞ」
あれ?あの長いブロンドヘアではなく黒髪前髪パッツンの小崎麻衣子が居る!
やっぱり戻れたんだ!いやぁ~よかったよかった!
しばらく入院休養を経て、ようやく退院。いやぁシャバの空気はうまいわ!
議員会館の自室へ行くと。
秘書が「おかえりなさい先生」
「長い事留守にしてすみませんでした」
「いやぁ身体さえ無事なら問題ありません。また一からがんばりましょう」
でも・・・
あの二人が気になるなぁ。どうしてるんだろうか。
そんなある日。
タクシーで民自党本部へ行こうとしていたら・・・運転手が。
「先生、あそこ」と指さす先の歩道に人だかり。
「ちょっと止めて」
クルマから降りると、メイド服を着た二人の女性が倒れている。
「ちょっと!エマ!ロレーヌ!」
誰あろう、異世界の二人のメイドだった!
運転手と一緒に二人のメイドを公用車に乗せ、近くの病院へ。
「気が付いた?」
「あなたは?」
「サマンサよ」
「えっ!サマンサさまですか?お顔が違うようですが」
「じゃあこれみて」って持ってたペンダントを見せると・・・
「あっ!サマンサさま!」
「お久しゅうございます」
気が付いた二人のメイドは、まわりをキョロキョロ見回している。
「ここは?」
「二ホンという国よ」
「二ホン?どこにある国でしょうか?」
「どこって言われてもなぁ・・・あんたたちは異世界から転生したのよ」
「転生?」
転生って言われても解らないよなぁ・・・
「馬車に乗ってたでしょ?」
「はい、サマンサさまと一緒に」
「暴れ馬にぶつかったのおぼえている?」
「はい、死んだと思いました」
「死んだのよ、そして違う世界に飛ばされたってことなの」
「飛ばされた?」
「そういうこと、だから死んではいないのよ」
「死んでいない・・・」
まぁそれはいずれ解ってもらえればいいとして。
「しばらくはここで休んでね」
「ありがとうございます」
とは言え、メイドの二人を異世界に返すことも出来ないし、
しばらくはこっちでって事になるよなぁ。どうすっかな。
異世界からきたと言う事になると、不法入国?になるんか?それとも。
「法的にはそう言うことになりかねませんね。どうしますか」
「どうって言われてもねぇ・・・私が保証人になるって事ではダメかな?」
「それなら大丈夫かもしれませんね、なら知り合いの弁護士に聞いてみましょうか」
頼りになるなぁ・・・ウチの秘書は。あの皇太子がこれくらい出来る男ならなぁ。
「先日知り合いの弁護士に聞きましたら、記憶喪失ということにして身元不明者と
することで戸籍が作れるとか、そんなことが出来るようです」
「そう、それならあの二人もその手を使えば、日本で生活が出来るって事ね」
「うまく行けばそうなります」
「じゃあ、それまでの間は私の家に居てもらいましょう」
「それが良いかもしれませんね」
病院から連絡があって、エマとロレーヌが退院するからとのこと。
迎えに行って手続きをして、タクシーで帰宅ですよ。
「馬が居なくても走るんですか?この馬車は」
「まぁそういうことね」
自動車って言ったって解らんだろうし・・・
やがて・・・
自宅のあるマンションについて、部屋に入ってもらうんだが・・・
「宮殿より広いですね、サマンサさまのお城ですか?」
お城?そう見えるかなぁ。タワマンでも比較的上くらいの階なんだが。
東京の夜景がバッチリみえるんだなぁ、これが。
「これは!すごい光景ねロレーヌ」
「すごいですね、光で満あふれて居る街は初めて見ました」
明日からメイドの二人をどうしようかと悩むのであった。
第19話 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます