第17話 国王に説教する
はぁ?追放?随分と寛大なご処置でございますこと!
「ちょっと!なに?追放?そんなんでこいつの性根が代わる訳ないでしょ!
そもそも国王もなによ!何が私は解っていたぞ?なら指摘してあげなさいよ!
そんな甘っちょろいことだから、こういうことになるのよ!」
「おっ?」
「えっ?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
「幽霊?」
「いゃぁぁぁぁ!!!」
そりゃあ、胸を刺され血だらけの女が喚いているんだしね、そういう反応よな。
メイドのロレーヌなんか白目剥いて口から泡吹いて失神しとるわw
「私はね、いままで2度も死刑宣告受けてんのよ!もう怖いものなんか無いのよ!」
「サマンサ殿、これはいったい?」
「あっ、これ?こういう事になるかもなぁと思って、ドレスの下は鎧よ」
「そうか、だからお胸が・・・いや何でもございません」
「お前はそういうこと言ってる場合か?」「いやなにも・・・」
「その血は?」
「あっ?これ?トマトジュースを袋に入れただけよ」
「うーん、これはやられましたなw」
「セバスチャンねぇ、笑ってる場合じゃないのよ!解ってる?」
「いやぁこれは大変失礼を」
まぁ今はそんなこと言ってる場合じゃない!
「サマンサ」
「ん?なに国王」
「サマンサ殿、もうちょっと言葉遣いを・・・」
「そんなこと言ってるから、こんな男に良い様にされちゃうのよ。
もっとさぁ、こう、なんつーのかね、皇太子らしく振舞えないのかね・・・」
「国王もさ、わしも知ってたぞ!みたいなのは止めな。
こいつのためには全くならんよ。それとさ、あんた部下を見る目がないね。
もうさ、国王なんでしょ?そういう目線を持たないと国何て、簡単に滅ぶのよ」
「そうか?わしは国王の座について30年近くになるが、そういう目で家来たちを
見ていたと思うのだが」
「まぁね、私も30年ちかくこの国で生活していれば解ったでしょうけどね。
だけどさ、長く国王の座に留まるというのは停滞って事と同じよ、長く続けるのは
良い所もあるけどね、あんた自分の後釜がどういう人物なのか解ってる?」
「皇太子のどちらかにとは思うが」
「まぁそうでしょうけどね、あるいはまた別の人物だって良いと思うけどね」
二人の皇太子を見ていると、どうも国家運営という能力は今一つな気がするなぁ。
頭は良いんだろうけどさ、それとこれとはまた、話が違ってくるしさ、簡単にはね。
「キミはどう思うのだ」
「そりゃあさぁ、あんたの息子のどちらかで良いと思うけど、私が選ぶのは違うよ。
まぁ伊達に30年近くも国王やってるんでしょ?自分で考えなよ」
「うーん、それはそうなのだが、難しいものだな」
「難しいけどさ、それはあんたの考え方ひとつよ。いい方向にも悪い方向にも進む
ってことをあんたの頭でよく考えることね」
ドレスはトマトジュースまみれだし、風呂にでも入りたいもんだなぁ・・・
「じゃあ、あたしは帰るわ」
部屋に戻ると、汚れたドレスを脱いでシャワーを浴びていると。
皇太子をはじめとアルフレッドもローリングスもメイドたちが戻って来た。
「サマンサ殿は実に素晴らしい頭脳の持ち主だ」
だれだ、そんなバカげたこと言ってる奴は・・・
「そうだな、俺もそう思う、キミはどう?」
「同意見です殿下!」アルフレッド王太子までそんなこと言ってるのか!
まだまだ甘ちゃんだな、こいつらは・・・
「私、サマンサさまと一緒に仕事がしたい」これはエマの声だな。
「私も!」
シャワールームから出てバスローブを羽織って居間へ。
「どしたの?みんな揃ってさ」
「いや、先ほどのサマンサ殿、お見事でした。このアルフレッド感服いたしました」
「私もそう思います、国王もすこしは考えてくれるでしょう」
「それはどうも。だけどさ、あんたらホントにしっかりしないとダメよ
国王って今年おいくつ?」
「えーっと幾つだったか?解るかセバスチャン?」
「80代半ばかと思うのですが」
親の年齢も解らんのか?まぁ二ホンにはそんな奴は大勢いるしな!心配すんなw
「じゃあさ、そろそろもし国王が死んだ後の事も考えないと、ダメだと思うな」
「確かにそうですねぇ、我々もすこし考えないといかんな」
「そうですね兄上、ちょっとオリヴァー王太子に任せっきりにしてましたし」
そうなんだ、それじゃあオリヴァーに良い様にヤラレルだけね。
「その間、あんたら何してたの?」
「何してた?」
「そう、オリヴァーに任せっきりにして何してたって聞いてんの」
「何してたんでしょうね?我々は」
「うーん、まぁ平たく言えば遊んでいたな」
「はぁ?遊んでいただと?それでよく皇太子が務まるなぁ」
「いやぁ・・・国王がしっかりしてたし我々が出る幕は無かったかと・・・」
これはますます、先が思いやられるなぁ。大丈夫かこの国は。
第17話 完
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