第16話 直接対決Ⅱ

良い案がなかなか浮かばない中。

「こうなったら国王に直談判よ!」

「ええ!」

「それは止めた方が」

「直接国王にというのは無謀です!」

まぁそう言うでしょうね。

でもさぁ、それ以外どうしろと?ん?何か案あのかい?


「いいわ、私だけで行く」

「いや、それはマズいと思います。私が同行します」

「私も」

二人の皇太子も、アルフレッド王太子もローリングスもメイドたちも。

「あなた一人で行かせるわけにはいきません。自分も国王陛下に話をします」


いいわよ、私一人悪者になればいいんでしょ!いくらでもなってやるわ!

いままでだって、王太子処刑の黒幕扱いでしょ、こんな悪役やったことないわ!

学芸会でもさ、幼稚園のお遊戯会でも、そんな役回りは無かったわよ!


「じゃあ、行ってくる!」

「お待ちください、私も」


結局二人の皇太子と王太子、検察官にメイドまで。

さすがにメイドは部屋の外で待機だが。


「入ります!」

「なんだ貴様は!何用があって入って来た!」

「何用?お前の悪事を国王にバラすためじゃん!それ以外無いんだけど!」

「兄上、もはやここまでです、そろそろ覚悟をお決めください!」

「何を言うか!アルフレッド!お前はそいつらにダマされとるんじゃ!」

「兄上、そんなことは有りませぬ、この方たちはこの国の行く末を、

 しっかりと考えてくれていますぞ」

「占い師に話を聞いたわ。あの子は自分の置かれた境遇を話しただけ、

 それ以上のものはない。それをお前は悪だくみに利用して、サマンサに罪を

 擦り付けた。そうだろ!」

「うっ・・・」言葉に詰まるオリヴァー王太子。

「サマンサが国王夫人の後釜を狙ってるとか何とか言ってさ、国王に有る事無い事

 吹き込んで、サマンサの面倒をみていた王太子を失脚させて、挙句の果てには

 処刑まで・・・なんと汚い男なの!見た目も汚いけどな!」

「うるさい!犯罪者のお前に言われたくない・・・

 俺はな、兄王太子が正直嫌いだった、いつも口やかましく、文句ばかり。

 身だしなみから食生活や、勉学や剣術、何から何まで、

 そんな兄なんて居なくなればいいと思ってた」

「兄上・・・」

「国王夫人の疑惑が出たとき、これは良いチャンスだと思った、これをなにか

 使えないかと、なじみの占い師に聞いてみた。止めなさいと云われたが・・」

やっぱり占い師はまったく問題なしだな、話をしたかっただけだったんだな。


「お前は劣等感の塊だな」

「なにを!」

「劣等感が服着て歩いている、そんな男よ!お前は」

サッと剣を抜くオリヴァー!

「お前こそ極悪人だ!殺してやる!」

剣を私に向けるオリヴァー

「おっ!やるのか!やってみろよ!出来損ないが!

 どうせお前にやれる訳無いだろ!えっ!ほら早くやれよ!

 その剣を私の胸に刺しなさい!!!!!!」


「やぁっ!」ブスッ・・・うっ・・・


ドサッ・・・「サマンサさん!」「しっかりして」

「オリヴァー!なんてことを!」

「兄上!どうして!」

剣を持ったまま、呆然とするオリヴァー王太子。




「オリヴァー王太子、この話は本当なのか?」

「・・・」

「まことかウソか?」

「・・・真実です」

「そうか、やはりな」

「っ?」

「前々から私は解っていたぞ、そなたの振る舞い、仕事に対する報告等々」

「・・・」唇をかみしめるオリヴァー王太子

「そなたは私に嘘をつき、国政を蔑ろにした、その罪は重大だ。

 覚悟は出来ておろうな」

「・・・はい・・・」

「陛下!ここは私に免じて何卒・・・」泣きながら国王を説得するアルフレッド。

「兄は寂しかったのです、だから陛下に甘えていたのだと思います」

「そなたの言うことも一理ある。しかし国王たる私に嘘をついた罪は大きい」

「分かっております」

「オリヴァー王太子を追放処分とする!」


第16話 完




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