第10話 直接対決
「おはようございます。サマンサさま」
若い方のメイドが起こしに来た。
「おはよう」
もう一人のメイドが、「こちらで洗顔をタオルはこちらに」「ありがと」
「お食事のご用意が出来ていますので、こちらへ」
ドレスに着替えて食堂へ行くと、すでに朝食が用意されている。
朝からこんなに食べさせてくれんのかよ。王室となればこうなるんだなぁ。
コンビニのおにぎりとお茶で済ませていた現世とは違うな。
「サマンサさま、きょうはこの後皇太子殿下がお出でになります。
ご一緒に宮殿でオリヴァー王太子との面会がございます」
いよいよ来たね!クズで無能の王太子を見てやろうじゃないの!!
「サマンサ、おはよう」
アンドリューとセバスチャンがやってきた。
「ではこれから王太子に面会してもらうのだが、大丈夫か」
大丈夫?これでも外務省勤務時にはアメリカ国務省高官と直接、通訳なしで
交渉してきたのよ!クズで無能でできそこないの王太子なんぞ一蹴よw
「王太子!入ります」
うっ?なんというクズ・・・ブサメン過ぎて大笑いよ!なんなのこの男はw
私ね、こう見えても175cmなの、二人の皇太子とさほど変わらない身長なんだけど
このクズ男は160もないくらいか、腹は出っ張り、脚は短く、脂ぎった頭髪、
どこからこんなブサメンが生まれ落ちたのか不思議だわw
「王太子殿下、サマンサさまをお連れしました」
「ご苦労、サマンサか?遠路大儀である」
はぁ?大儀であるだと?何様のつもりよ!
お前のせいで、サマンサは濡れ衣着せられたのよ!解ってんのか?このクズが!!
うーーーーこのクズ男見ているうちに、ムカムカしてきたわ!
「あっ!サマンサさんなにを!」
ツカツカっとクズ男が座る壇上へ上がったわよ。
クズ男の前に仁王立ちよ!なんか怯えてるんですけど。ウケるwww
パシッ!パシッ!往復ビンタ食らわしたわ!あーすっきりした!
もうね、皇太子も周囲の家来やメイドやらもびっくり仰天よw
「ぶったね!パパやママにもぶたれたことないのに!」
どっかで聞いた事あるセリフねw
「はい!ぶっ叩きました!お前の顔がクズそのものなんでね!」
「ひどい!ひどいわぁ!」なんだこの男は。
「この腐れ外道が!」
「さぁ、帰りましょ!すっきりしたしさ」
二人の皇太子を”ひきつれ”その場を後にしたんだけどさ。
「カッコよかったですよ!サマンサさん」アンドリュー皇太子が言うと
「胸のつかえが降りた気分です」セバスチャン皇太子も言うけれど、
なんだか、そう言われるのはなんか違う気がするなぁ。
後ろを振り返って
「あんたたちもさ、もっとしっかりしないと。
だからあんなやつに良い様にしてやられるのよ!あとね、お二人さん?」
「はい!」
「お二人は、国王の息子なんでしょ?次はどちらかが国王になるのよね?」
「それがあんな男一人コントロールできないなら国王になる資格無いよ!」
「おっしゃるとおり、これからはサマンサさんを師と仰ぎたい」
うーん、このなんつーかなぁ・・・これだから温室育ちのボンボンは困るのよ。
イケメンなのに、お坊ちゃますぎて逆に使い物にならないって言うかさ・・・
「あのね!そんなことじゃあ国を治めるなんて、十中八九無理。
考え方を変えないと、ホントにダメになるよ、あんたたちも国も」
「わかりました💛」
うーん、これでいいのかしら?なんか違う気がするなぁ。
「まず今日のところは帰りましょ!」
「はいっ!」
「ローリングスさん?どうしました」
なんだかローリングスの目がハートになってんのよ、キモいんですけど。
「結婚してください!」
なに言ってんのこいつは・・・「そんな気ないんですけど!」
「もうあなたしか目に入りません!」お前はそんな奴だったのか!
とりあえず部屋に戻ったのだが、二人のメイドも今回の話を聞いていたのか、
「すごいですね!尊敬します」
「私もサマンサさまの様な強い女性になりたいです」
そんなこと言ってないで、自分の仕事に専念しろっていうの!
とは言え、二人の皇太子も、検察官もすべてみんなイケメンばかりの中で
生活するのも悪くないし、なによりメイドたちが身の回りの世話までしてくれて
現世に帰らなくてもよくなくない?
そんなある日。
「国王陛下がお呼びです」
ん?国王が私を呼んでいる?なにごとかしら・・・
第10話 完
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