第9話 皇太子殿下と会う
豪華な馬車に乗って皇太子兄弟がやって来た。
「サマンサ、久しぶりですね、元気でしたか」
「誰?」
「誰って、皇太子殿下よ、ご挨拶しなさいよ」エレノアが言うんだけどさ。
ちょっと遊んであげましょうかね?お坊ちゃま方。
「どちらさまですか?」
「皇太子のアンドリューとセバスチャンだ」
「で?何をしに来たんですかね」
「あなたに謝りに来たのだ」
「来たのだ?それが謝る態度かしら?」
「・・・」
「あの王太子が処刑された遠因は私なんでしょ?その私に謝罪?いまさらですか?」
「いやぁ何と言われても仕方ない。しかし私たちは貴方に謝るしかないのだ」
「ないのだ?ふーん、でどう謝るんですかね?」
二人の皇太子はそろって、「いままでのこと、本当に申し訳なかった」
頭を下げる二人。「今後の生活は私たちが面倒をみたいのだが、どうだろうか」
そんな程度の謝罪ですか?現世であれほどの記者に囲まれて謝罪会見まで開き
その様子を全国に放映された私から見れば、謝罪でもなんでもないわ。
「もっと誠意を見せてごらんなさい」
「誠意?」
「ホントに謝る気があるのかしら?」
「・・・」顔を見合わせる二人の皇太子。
そうだ!皇太子に土下座させてみようかしら。
「異世界の二ホンと言う国には”ドゲザ”という謝罪の方法があるそうよ」
「ドゲザ?」
「そう、土の上に直にすわり、平伏してお辞儀をするのよ。誠意を見せるには
一番の方法だそうよ」面白れぇwwww
「こっ、こうかな?」皇太子たちは地面に座り、平伏したよ!腹いてぇんだけどw
おもしろすぎるけど、顔に出して笑えないところが、ある意味キツいw
エレノアやおじいさん、おばあさんはびっくりしているところも笑えるわ!
「まぁあなた方の誠意は解ったわ。で終わり?
そのために来たんじゃないことは解ってるのよ。真意はなに?」
「そのことなんだが、オリヴァー王太子のことだ」
「オリヴァー?誰それ?」
「あっ、ご存じない?国を乱す大犯罪者なのだ」
オリヴァーって言うんだ、あの使えない奴っていうのは。
「で、そのオリヴァーをどうしたいのよ?」
「・・・詳しい話はここでは・・・」
そうか!じゃあいっしょに宮殿に行って、その使えない奴を見てやろうじゃないの!
「そう、じゃあ私を宮殿に連れてって!」どこかで聞いた事のあるセリフだな。
「来てくれるか!かたじけない」
「サマンサ、いいの?それで・・・」エレノアちゃん心配してるけど、
おもしろそうな話だし、乗っからない手はないんだよなぁ。
「いいの、しばらく留守にするけど、我慢して」
「ううん・・・」
やがて宮殿から差し回しの豪華な馬車がやって来た。
「サマンサさん!」
「ローリングス検察官ですね、しばらくです。なぜこの馬車で?」
「あなたを迎えに行くように皇太子から言われました」
「そうですか、じゃあ行きましょう!」
「ちょっと待った!その恰好では…宮殿には入れません」
そんな事言ったって衣装はこれしかないしなぁ・・・
「そう思って、衣装を持ってきました!」さすが使える男・ローリングス!
ダークグリーンのロングドレス、ブルーのハイヒール、真珠のイヤリングと
ネックレス、どっからどう見ても王室の女性だよなぁ・・・鏡見てうっとりしたわw
「じゃあ行きましょうか!」
途中で立派な宿屋に泊まること3泊、ようやく王国首都に到着よ!
なかなか立派な街ね、丸の内を思い出すな。
あそこのカフェで外務省や財務省の同僚とお茶したわね。懐かしいなぁ・・・
あの子たちはどうしているかしら・・・
「ここです」おー!これまた立派な宮殿ねぇ。
ローリングスといっしょに宮殿の中を、しばらく歩き、ある部屋をノックする。
「どうぞ」聞き覚えのある声が
「皇太子殿下、サマンサさまをお連れしました」
「ようこそ!よく来てくれましたね」
「いやぁさすが、よく似合いますね。このドレスはローリングスが選んだのですよ」
だから何?そりゃあ似合って当然でしょ!ミス東大なんだし。
「今日のところは、こちらのお部屋を用意したので休んでください。
で明日、そのオリヴァー王太子と接見してもらいたいのですが、どうですか?」
「分かったわ、じゃあ明日オリヴァーとやらと会えるのね」
「そうです、メイドを二人お付けしますので、ごゆっくりしてください」
二人のメイドが頭を下げる。
一人はまだ若く10代、まだ経験が浅いようだけど、なかなかカワイイ顔してる。
もう一人は20代半ばか、出来る女って感じよね、私に似た感じかしらw
「よろしくおねがいします」
「よろしく」
その使えない奴に会えるのか!楽しみすぎるわ
第9話 完
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