第6話 死刑になる理由が解らない
サマンサ・アメリア・ジョンストンという私が転生したお嬢様は
どんな人なのかを知りたい・・・
エレノアや、おじいさんの話だと、庶民の味方と言う感じなのだが、
本当にそうなのか?お嬢さまであるのに、なぜこの辺境の貧乏村の生活に
入れ込む必要があるのかが解らない。なにかこの周辺にあるのだろうか?
「ねぇエレノア?」
「なに?」
「私って以前、この村にいた事あるの?」
「なに言ってるの?いたじゃん。私とよく遊んでたんだよ」
「えっそうなの?」
「そうよ、宮殿での生活ですっかり忘れちゃったんだ・・・悲しいなぁ」
サマンサはおそらくこの村か近くの集落の出身なんだろうが、
何かの理由で宮殿へ行くことになったってことなのか?そもそもなぜ宮殿へ?
「あなたの両親が宮殿で下働きしてたのよ、あんたが生まれてすぐにさ」
宮殿で働いていたらしい両親は、その後?
「詳しいことは知らないけど、何かの事故に巻き込まれて亡くなったじゃない!
でも赤ん坊の時の話だし、私も詳しくは知らない。おばあさんなら知ってるかも」
「そうだね、あれはあなたが生まれて半年ぐらいかな、宮殿に働きに行った両親が
事故で亡くなってね、で不憫に思ったんだろうね、王太子に引き取られたのよ」
あーそういうことか、それでこの村に何かと気にかけていたって事なのね。
でも宮殿で何か恨みを買うようなことがあったのか?そうじゃないと殺されるような
理不尽なことは無かったのではないかなぁ。
おじいさん、おばあさんや周囲の人たちに聞いても、同じような回答だったから
やはりこの地では、慕われていたお嬢さまのようだ。
「噂だけど」と前置きしてエレノアが言うのは。
王太子夫妻に引き取られた彼女は、夫妻の実の子供同様に育てられたんだって。
夫妻はそれが当然と思ってたようだが、実の子供にしてみれば面白くはないよねぇ
で始まったのが、”いじめ”だと。可哀そうに・・・結構可愛い子だったらしいから
尚更だな。それで勉強も出来たって言うことだし。
いじめが年々エスカレートしていくんだと、それも王太子夫妻がいないところで
やるとか、相当ひねくれてんなぁ・・・
引き取られて2年後王太子夫人が病を得て亡くなった。
その後もイジメは続いていたそうだ。いじめだけではなくて、あることないこと
王太子に吹き込んだんだって、卑怯な奴らよね。
そんなある日。
国王陛下夫人に不倫疑惑があがったんだって。
それも敵対する国の皇太子だそうで、結局根も葉もないうわさに過ぎなかった
ところが、そのうわさの発信源を探せって事になって、王太子にも命令が来てさ、
調べてたんだけど、その子供たちから、娘(サマンサ)が噂を流しているってことを
王太子が聞いたとさ、噂だろうと思ってたしサマンサが出来る子だし、ゆくゆくは
宮殿に入れてあげようと思っていたほどの器量良しだから、その娘が噂を流している
ってはじめは信じなかった。
だけど実の子供たちから何度も何度も、言われていくうちにそうなのか?
って疑うようになって、しかも王太子の弟ってのが、これまたいけ好かないやつで、
いつか王太子の座を奪おうと考えていた時に、今回の噂のもとはサマンサで、彼女は
国王陛下に取り入るためにわざとうわさを流しているんです、とチクったのが
命取りになって、結局国王陛下に申し訳ないと、今回の不倫疑惑について話をした。
当然、国王陛下は激怒!そりゃあそうだわなぁ。
で王太子には死を賜ることになってしまったんだって、結局それで処刑された・・・
重要な家臣を失った国王は、失意に沈み。
王太子に代わって家臣となった、弟は出来損ないで全然使えない奴だった。
だからこそ、国王の子息たちはサマンサこそが国家が衰退する元凶だと思い込み、
ある時、階段を降りようとしたサマンサを後ろから突き落とした。
そして私・小崎麻衣子がその体に転生したって事らしい。
「可愛そうよね、サマンサも王太子も、まぁ一番の元凶は王太子の弟なのかもね」
なるほど、そう言うことなら、そいつを排除するのが一番だな・・・
よーし!やってやる!待ってろ王太子の弟!
第6話 完
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