第5話 保護された村で

ドーラッド村に滞在しているときにも、どうやってあいつらに復讐してやろうかと

いろいろと考えていた、ある日。


「あなたがサマンサですか?」あらぁ・・・またまたイケメンが登場ですよ。

「そうですが」

「私は王国検察官ローリングスです。実は今回王太子が処刑された事件について

 調べておりまして、どうもサマンサさんには濡れ衣が着せられている様なのです」

「ただし、もう判決は出ておりますが当の本人が行方不明になっていますので

 刑の執行は行われませんでしたが、真実を調べる必要がありまして、

 あなたの行方を捜していたのです」

「なるほど分かりました、で私はどうしたら良いですか?」


「あなたはしばらく、こちらで滞在してもらいたい。

 下手に動くと宮殿から捕獲隊 来る可能性が有りますから。

 滞在の許可はこちらのご夫婦に依頼しています」

「うん大丈夫じゃよ、安心してな」

「その間に私と部下でいろいろ調べて、解ったことをその都度お知らせします」

「分かりました、よい連絡をお待ちしています」


そうか、やっぱり私ことサマンサ・アメリア・ジョンストンはハメられたんだ。

でも誰が、そんなことを。そもそもサマンサの前半生を知らないからなぁ・・・

そこを知りたいんだけど・・・どうしたらいいかなぁ。


「あの知ってたら教えて欲しいんですが」とエレノアっていう娘に聞いたのね。

「どんなこと?」

「王太子が処刑されたことなんだけど」

「あーあの話ね、私ら何か陰謀的なものがあるって思ってるんだ」

「なぜ?」

「宮殿の人たちは我々庶民の事なんぞ虫けらとしか思ってないしな」

おじいさんが言うには、どうも地方の人たちを蔑ろにしているらしいから

あまり宮殿の主の言うことは「話半分」にしか聞いていないんだと。

現世とあまり変わらないなぁ、こういうところは。

ただ、何か陰謀の様な話は噂として流れていたようだから、

サマンサ嬢は無実の罪なのかもしれない。よく調べないと解らないけれど。


「あの娘さんが真犯人だって言うらしいけど、違うと思うんだよなぁ」

「えっ?なんでそう思うの」

「だってさ、あの人結構、私らに良くしてくれたんだよね。うちの村は貧乏だから

 なかなか年貢とかも収められなかったのよ、なのにあの人、年貢を納めるのを

 少し待ってもらうように話してくれたりとかさ」

「そうそう隣村が洪水に有ったときも、宮殿から食料を持ってきてくれたりとか

 4日間もかけて馬車で持ってきてくれたのじゃよ」

そんな人が何故、死刑に処せられるような罪を犯したのだろう?

もう少し調べる必要があるなぁ。


第5話 完

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