第002話 マァ坊同風

第02話 サイゼの呪文

法類憐みの令を破った罰則はヤバいことくらい重々承知だが

俺はどうしても豆腐をレンガに換える魔法を

闇市で買い求める必要があった。

依頼主のマサヒロの家は豆腐屋で

売れ残った豆腐群で武装しないと

地上げ屋のあんちゃんに酷いことをされるらしい。

ご所望はサイゼの呪文。

「リヤー!」と唱えるとロックが掛かり

「リアー!」と唱えるとロックが解除される。

ロック状態はレンガのように豆腐がカチカチで

アンロックはプルプル触感の豆腐に逆戻り。


レンガ豆腐が店中に並んだって

撲殺したんじゃ豚箱に連れてかれちまう。

あくまでも抑止力程度に利用しなきゃな。


井園からの入れ知恵で、マサヒロに大気拳を

伝授することにした。依頼してくれたサービスだわな。

大気拳は魔法じゃないし、威力もさほど無い。

トンバのトーン、ナンバのナーン

相手をこかせるくらいの風圧は起こせるぜ。


マサヒロは仲間内ではマア坊と呼ばれているらしい。

マア坊が大気拳で同じ風を吹かせる。

東場の東、南場の南。皆迄言うなと言うやつか。

麻婆豆腐みたいなマア坊同風の出来上がり。


頭の中の妄想をカタチにするために

法類憐みの令の禁を破り

闇市でサイゼの魔法を買おうとしている。

井園には包み隠さず全部話すつもりだが

俺達はバディでありながら

結構独断で物事を決める節がある。

言った所で理解して貰えないこともあるだろう。

大気拳のアドバイスはありがたかった。

こかした先にカチカチ豆腐が敷いてあれば

後頭部直撃で事故死と言う幕切れも演出可能。

マア坊はひとり、地上げ屋もひとり

豆腐はたくさん。この状況で活路を見出すには?

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