AWAREMI
作家:岩永桂
第001話 豆腐の威力、なめんなよ?
AWAREMI
ロイターとカッツォ
第01話 生類憐みの令
井園、いいんだよ。
昔の取り決めが現代まで効力を引き継いでなきゃ。
野火、いいのかよ。
俺達は武器を持てなくなっちまうんだぜ?
井園、いいんだよ。
豆腐さえあれば撲殺出来る時代さ。いかようにでもなる。
野火、いいのかよ。
傷類憐みの令と
法類憐みの令がある限り、俺達は守り人の仕事を全う出来ない。
押し問答を繰り返す内に浮き彫りになった二つの法令。
傷類憐みの令……鋭利な物を各家庭で保管しないこと。
法類憐みの令……魔法の類を公の場で披露しないこと。
簡単な取り決め、野菜や果物はピーラーで剥けばいいし
糸楊枝を応用した鉄線器具で、切るに相当するアレンジも。
ハサミやナイフを利用して来た
封筒類は専用の定規で綺麗に開封できる。
剥く、切る、開ける……そう言った動作は代用が利いたし
自傷行為が激減したことは、心身の健康に大きく寄与した。
魔法使いと呼ばれた人種は肩身が狭く
かつては害獣狩りに出掛けたり
マジックショーで生計を立てる者も居たが
全て公的使用の禁止を言いつけられて
自宅内で使用するにも、気持ちが腐って活用には至らない。
守り人=ボディーガードを生業としている
野火と井園は頭が悩ましい状態でも
野火には何らかの活路が見えている様子だ。
生類憐みの令が現在効力を失効しているように
傷類憐みの令も
法類憐みの令も一過性の余波だけ残し、消えて行く?
更に野火は思考を巡らせる。
仮にこちらが法令に従うなら、全ての警護は正当防衛に成り得る。
向こうが鞘を抜き、刃物をぎらつかせた時が
我々「野火、井園」の勝利と思おう。
正直、魔法の心得は余り無い。
それでも鈍器のような物を振り回し
正当防衛のデモンストレーションは日々欠かさない。
守るんだ、依頼者を。守るんだ、自分の生活を。
法外な労働請求は絶対にしない。
それでも俺は、好きなゲームに課金くらいは自由にするぜ。
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