23話
何かを察して難しい顔をしているサラに、ロレッタは
自分の子供が関わる話なのだから、サラはずっと気になっていたのだと思う。けれど、どれだけ言葉を選んで説明しても、最後には彼女が息子や自分を責める気持ちを抱いてしまうだろうことは想像に難くない。だからきっと、リューズナードも説明を渋っていたのだ。
サラの気持ちも、リューズナードの気持ちも、理解できる。その上でロレッタは、真相を隠したままにしておくのは違うように感じた。何も知らされず、いたずらに不安を募らせるよりも、きちんと知って考えるという選択肢を与えられたほうが、サラもいくらか気持ちの整理がしやすくなるのではないか、と。
話をしている間、サラの顔からは完全に血の気が引いており、終わる頃には目に涙が浮かんでいた。微かに鼻をすする音も聞こえる。
「……そんな、ことが……っ」
渦巻く感情を言葉にできないでいる彼女へ向けて、ロレッタは額を床につける勢いで深々と頭を下げた。
「申し訳ありませんでした」
サラが目を見開く。
「……どうして、あなたが……貴女様が謝罪なさるのですか、王女殿下」
「おやめ下さい。私はすでに、王族の姓を剥奪された身。敬う言葉など不要です。……私はこれまで、『第二王女』という肩書きに甘えて、政治のことも、王宮の外で生きる人々のことも、何も知ろうとしてこなかった。有り余る時間で知識を蓄え、姉に進言を聞き入れてもらえる程度の立場を確立できていれば、今回のようなことも未然に防げていたかもしれないのに、何ひとつ行動を起こさなかったのです。
その結果、あなたのことも、ネイキス君のことも、リューズナードさんのことも、深く傷付けてしまいました。恨んでいただいて構いません。許されたいとも思っていません。ただ……申し訳ありませんでした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます