第3話:行くぞ!ヘタレキャンプ。

で、連休を利用してイトコも含めて普段交流があった友人に声をかけて

計四人でバイクに乗って新寓村の「猪森いなもりダム」の近所に

キャンプに行こうってことになった。


まずは今回のキャンプ用にためにふたり用のテントを買いに・・・。

生地もペラペラの安物テント・・・7000円なり。

それからスーパーに食材の買い出しにもね。

メンバーの中に自炊なんかできるいないから、レトルトカレーわんさか

買って、ついでに缶詰にカップラーメン買ってキャンプ地へ出発。


隣の隣の隣の街の山奥まで・・・往復約100キロくらいの距離を走ることになる。

途中、高橋君の親父のビジネスバイクのチェーンが外れて修理のためタイムロス。


高橋君の親父は自分のバイクのメンテをしないから、こう言うことになる。

案外そういう人多いんだよね。


あとは順調よく国道を東へ。

大型トラックに煽られながら、ビビりながらひたすら走る。

山に入ると坂とくねった道ばかりで、アオちゃんにはキツい。

思ったとおり僕とアオちゃんはみんなから置いて行かれた。


ひ〜こら坂を登っていくと、その先でみんなが待っていてくれた。


「ここあたりさ・・・テント張るのいいんじゃない?」


そう言ってイトコが道路の下を指差した。


うん、なかなかよさそうな場所。

開けた場所があってそこにテントをふたつ張れそうだった。

向こうに河が流れていて、その向こうに滝が流れていて、なかなか風光明媚な

場所だった。

見た目、ベストな場所って思った。


で、バイクは山際にヘコんだ路肩に止めてキャンプ道具一式下げて河原へ。

なにわともあれ早速テントを張った。

その頃には時間も昼前で買って、飯にするかってことで来たレトルトカレーを

温める。

ご飯ももちろんレトルト。

缶詰も添えて、おまけに福神漬けも添えて。


美味かった・・・こういう場所で食べるレトルトカレーも充分美味い。

この風景が調味料になってるんだよね。

結局さ、何食っても美味いんだ。


飯食ったあとは焚き火をしながら燃える炎を眺めながらまったり。


山下君は釣り道具を持ってきていたので河に釣り糸をたれていた。

まあ、釣れるわけないんだけど・・・なんせ餌は缶詰の貝だから・・・。

時間つぶしにはちょうどいいか。


夕方までなんにもすることがないから、どうでもいい話で盛り上がる。

でまたレトルトカレーの出番にカップラーメン。


たとえばパエリアとかアヒージョとか洒落た料理でも作れたらリッチな

キャンプになったんだろうけどね。


まあそれはよかったんだけど、さて寝るかってことになって寝袋に入ったのは

いいんだけど、昼間気にならなかった滝の音。

静まり帰った夜この音がやたら、うるさくて眠れない。

しくじったかな・・・もっと静かな場所を選ぶべきだったことを後悔した。


眠れないまま朝を迎え、またレトルトカレー。

さすがに飽きてくるわけで・・・レトルトに飽きた山下君は


「俺、うどん食いたいから山を降りて来るわ」


って言ってひとり、うどんを食いに下の街に降りて行った。


僕もうどん食いたかったけど、アオちゃんでヤマを降りてまた上がって

来るって考えただけで、うどんは断念した。

他のふたりも降りていかなかったから、三人で昼もレトルトカレーに

カップラーメンを食った。


山下君がうどんを食って帰ってきたので、夜暗くなる前に帰ろうってことで、

あとかたずけを済ませて山を降りた。


帰りは順調。

まあ、今回のキャンプ、少しのアクシデントはあったけど僕らには楽しい

思い出になった、

誰のバイクも故障することなく無事に帰還。

アオちゃんも非力な体で一用懸命頑張ってくれたと思う。


案外すんなり行った思い出より少しくらい手こずったほうがいい思い出になって

残る。

それはバイクも同じ・・・ともに苦労すれば、愛着が湧くってもの。

そうやって僕とアオちゃんの歴史は刻まれていく。


つづく。



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