(いみエモ話)経験ある?相手の顔が見えないからこそやりやすいバトルって、何だ?

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 あなたに、こんな経験はありますか?「相手が見えないバトルも、良いもんだ」「…え、何で?」「そりゃあ…」「何で、何で?」「だってさあ…」

  (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

     ☆

 バトルをくり広げるたびに、フジサキは、こう思うことにしていた。

 「なんて、ときめきなメモリアルなんだ!俺には、わかるぜ。相手が見えないっていうのは、ものすごく、大切なことなんじゃないのかってね…。俺は、さとったんだ!」

 もちろん、疑問に思われるだろう。

 「何を、言っているんだ?」

 「相手が見えないハンデなんて、やばすぎだろ!」

 「相手が見えないのに、戦う?ネットゲームのことか?」

 「パソコンオタク系なバトル、なのか?」

 「やっぱり、ソーシャルゲームのバトルのことを、いっているんだろう?」

 「AIとのバトルっていうこと、なのか?」

 思われるだけじゃなく、いろいろ、言われたもんだ。

 でもね?

 ビミョーに、ちがうんだな。

 彼の相手は、人間。フツーの、人間。

 …でさ。

 そういうことを言うと、こんな、いじわるクイズのようなことを言ってくる奴もいるよな。

 「…それって、悪魔や幽霊とのバトルのことじゃないのか?」

 ちがう!

 ちがうぞ!

 彼は、生きているやつを相手に、バトルをくり広げているんだよ。

 相手は、彼のすぐ近くで戦っている。

 「良いか?この、ときめきなメモリアルの戦いは、パソコンやケータイを使ったゲームバトルじゃ、ないんだ」

 立ち上がる、彼。

 「…さあ、いこうか。戦いの準備は、整った!」

 今日も彼は、ある場所に向かう。

 ギイ…。

 木製の扉を押したときに出る音が、レトロっぽくて、ドキドキものだ。

 緊張も、緊張。

 「いくぜ!告白させたいくらいの、ときめき、フジサキパワーだ」

 さあ、いこうじゃないか!

 今から、偉大なバトルがはじまるのだ。

 生活に響くほどの、バトル!

 進め!

 …念のため、断っておきたいことがある。ここは、城でも、闘技場でもない。裏カジノでも、ない!

 「…落ち着けよ、俺。相手の顔が見えないバトルをおこなうことには、慣れているはずじゃないか」

 自身の心をなだめるほどの、緊張!

 このバトルが、どれほど厳しさをもっているかが、わかってくる。

 「いくぜ、俺の生活メモリアル!」

 彼の生活に直結するくらいの、厳しさで。

 バトル、スタート!

 彼の握る剣が、相手めがけて、フルスピードで振り下ろされる…!

 相手は、それを軽く受け流す。

 「やるな、こいつ!」

 相手が、彼のふところに入り、カウンター攻撃をしかけてきたぞ!

 「…な、な?」

 少しは、ダメージを受けているはずなのに…!

 「負けた…」

 彼の目には、涙。

 「でも、俺のさとりは、正しかったぜ」

 相手の顔が見えないバトルは、本当に、大切だ。


  (この話の意味)

 これは、パソコンやケータイを使ったゲームのバトルでなく、ゲームセンターでの、対戦型格闘ゲームでの話。

 「生活に響く」

 なるほどね。

 勝てなかったら、 1プレイの料金が、すっ飛んでしまうことになるものな。

 彼をボコボコにした相手の人が、ゲーム機の向かい側から、立ち上がる。

 「…俺をボコボコにしてくれたのは、どういう人なんだ?」

 そのとき彼は、相手を見てビックリしたろう。

 だってさあ…。

 対戦相手は、実は、小学生くらいの女の子だったんだもんな。

 「やっぱり、俺は正しかった。相手の顔も俺の顔も見られないというのは、大切なことなんだよ…」

 だろうね。

 がきんちょに、こちらの泣き顔を見られなくてすんだものな。

 エモいなあ。





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