第11話 挑戦状

「やっぱり、白洲さんが犯人なんだろうか?」

食堂で暖かい飲み物を入れてもらって、僕たちは暖をとっていた。

警察が来るまでにはまだ時間がかかる。

警察が来たとて、殺人事件の捜査が始まるので、まだ僕たちは当分下山はできないだろうが、山荘内には少しほっとした空気が流れている。

遺書を残して白洲が自殺を図ったことで、みんな、この一連の事件は白洲の犯行と結論づけているようだ。


でも、僕も紫音もまだ納得いってないところがいくつかある。

まず、一人目の被害者の手塚の密室がとけていない。

そして、凶器はなんだったのか。


2人目の本庄の殺害についても、なぜ鍵が外に捨てられていたのか。

一緒に捨てられていたアイスピックは、凶器なのか?


そして、2人を殺さなければいけない殺害動機は?二人の間に過去何があったのか?

果たしてその二人に白洲はどう関わっているのか?

美月が脅されていた理由とは?


「とりあえずもう一度、今回の事件を整理してみよう。」

紫音が言った。

「まず、宿泊者の部屋の配置から見てみよう。

この山荘の客室は2階と3階に別れている。

六角形の建物で北側に3部屋。南側に3部屋の配置だよね。

今回は2階が男性、3階は女性になっていた。

201号室が宇田、202号室が手塚、203号室が五十嵐、そして206号室が白洲。ちなみに204号室は岸くんで205号室は僕と紫音だ。

3階は301号室、本庄、302号室、香月、303号室、三条となっていた。

南側にはポーチがあるけど、北側はポーチはない。」

手塚の部屋の上が香川。本庄は宇田の部屋の上だったわけだ。

僕が続いて言った。

「部屋はどの部屋も同じようなつくりだね。

どの部屋もシングル利用の部屋になっている。俺らの部屋にはエキストラベッドが入れられてて二人寝れるようにしてくれてるけど、どの部屋もベッドは一つだ。」

その後に岸くんが、

「そして第一の殺人。手塚の事件は、密室だった。

自室で胸を刺されてポーチから突き落とされたと思われる。

凶器はアイスピックのようなもの。のちにアイスピックは見つかったが、果たしてそのアイスピックが本当に凶器なのかどうなのか。

桜ちゃんが見たという、つららが解けた後の様な氷の塊と、血痕はなんだったのか。

部屋の鍵は手塚のポケットにあった。一緒に脅迫状も見つかった。これは密室だと示しているんだけど。いったい犯人はどうやって部屋から出たのか。」といった。


「第二の殺人。本庄の事件だね。

自殺に見せかけようとした感じだったが、中途半端な偽装工作になっていた。首を絞めて殺したが、自殺に見せかけようとロープを首にかけて吊り下げようとして無理だったんだろうか。

あと、なぜ部屋の鍵が外に捨てられていたのか。

部屋に籠城していたにもかかわらず、犯人はどうやって入ったのか?

そして、本庄にも送られた脅迫状の意味。手塚との関係性と別れた理由となった事故の件。」

と、僕が言うと、

「あと、俺が気になっているのは、宇田と香月美月の関係と、香月の別れた父だという白洲との関係だね。あとオーナーがそれにどう関わっているのか。」

紫音がそう言った。


「うーん。謎はまだ残っているけど、白洲の遺書もあるしとりあえず警察も到着するし、これで幕引きになるんじゃね?」

「岸くんはおかしいと思わないの?俺はまだパズルのピースがはまらなくて気持ち悪いんだけど。」

「実際の事件なんてこんなもんだよ。不可解な謎を一つ一つ潰しながら捜査してたら、迷宮入りだらけだよ。」

岸くんと紫音、2人が話しているのを僕は少し眺めていた。


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さて、読者の皆さん。これは僕からの挑戦状です。

本当に白洲が犯人なのでしょうか?それとも、他に真犯人がいるのでしょうか?

あと、密室の謎は?

賢明な読者のみなさんに伺います。今回の事件の犯人は誰でしょうか?


じぐどう新一になって考えてみてください。 境田 迅でした。






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