第6話 新学期
春休みは充実していた。翔馬くんと毎日色んな所に行ってたくさんの思い出を作れた。
かけがえの無い親友になっていた。
そしてまた、今日から新学期が始まる。
クラス替えなんて僕には意味の無い事。
でも、翔馬くんと会えるから頑張れる。
僕は教室のドアを開けた。
ガラガラ… 自分の席へと歩く。
何かが足に引っかかり、思いっきり転んだ。
誰かが足をひっかけたのだ。
くだらない。こいつらはいつまでも飽きないでこんな事をする。
「くだらない。」
え?…
確かにそう聞こえた。誰かが僕の目の前に来た。見上げると、
「大丈夫?ほら、手を取って」
目の前に立ってる人は学校中からよく噂をされている人気者の園崎 尊(ソノサキ ミコト)だった。
入学したての頃、少し喋ったくらいの人。優しくて人気者だ。
そんな人が僕に手を差し伸べている。
彼が立ち上がるとクラスに緊張感が漂う。
全員がただ彼を見守っていた。
「自分で立てるから。」
そう冷たく一言言うと、僕は彼を素通りして自分の席へついた。
それから彼は異様に僕へ絡んでくる。
「ねぇ、次のペア俺と組も?」
「俺の教科書見ていいよ!」
「これ、食べていいよ」
……
そんな僕を周りのヤツらはもっと気に入らなくなっていた。
4限目が終わると僕は体育準備室に連れてかれ、暴行を受けたあと閉じ込められる。
給食の時間も昼休みの時間も、酷い時は放課後まで開けられない。
そんな日が続いていたある日
ガチャ、ガラガラ
「やっぱり!こんな所に。大丈夫?少し給食持ってきたよ。食べ終わったら保健室行こう。誰にやられたの?こんな酷いー」
「君のせいだよ!何もできない癖に無駄に優しくしてさ、僕に優しくしないでよ!
勝手に同情して、勝手に助けた気になって正義感の強い自分に気持ちよくなってるだけなんだろ!?」
僕は抑えきれなくなって思いっきり彼に当たってしまった。本当は優しくされて嬉しいのに人を信用しきれずに感情を強くぶつけてしまった。
これはただの八つ当たりだ…
彼はバツが悪そうに話した
「…ちがう…俺は…あの時、相堂君に助けられたから…だからどうしても力になりたくて…
確かに俺には救いきれないかもしれないけど…でも、相堂君の力にはなりたいって…思うよ。」
彼は赤黒い目で悲しげに真っ直ぐ僕を見つめていた。
「ごめん…僕も君に八つ当たりをしてしまった。でも、無駄に助けたりしなくていい。
こういうのにはもう慣れてるから。それに僕に関わると君まで変な目で見られるよ。」
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