第2話
明里とは家がお隣同士、幼稚園から一緒で高校生になっても1年A組と同じクラスになった。
嬉しいという気持ちがあったのは事実だ。ただ、それ以上に面倒ごとが多い。
始業式を終えてから明里が俺の席にやってくる。
「隣の席にはなれなかったね、お兄ちゃん」
「だから、学校ではその呼び方やめろ」
間違った呼び方をするから周りからは明里の双子の兄だと思われている。そして、苗字を見て違うことに気づくというやり取りをもう何回かしている。
「じゃあ学校以外ならオッケーね」
「勝手にしろ」
朝からカロリーを使うのはゴメンなのでそう言ってから机に突っ伏す。
「鬼井くんも大変だね」
隣からそんな声が聞こえてきた。顔を上げて横を見ると彼女は笑って言う。
「おはよう、鬼井?くん」
確か、
「もしかして幼馴染以外に興味ない?」
「そんなことない。むしろ、友達を作りたいのに幼馴染に邪魔されている」
井口はクスッと笑う。
「鬼井くんって面白いね。私と友達になってよ」
「ああ、勿論」
そう言ってから握手しようと手を伸ばすとその手を掴んだのは幼馴染の明里だった。
「幼馴染と握手したいなんて晴人は本当に私が好きだね」
割って入ってきた幼馴染に俺は溜息を吐く。本当にこいつはとんでもない幼馴染だ。まさか、卒業まで俺に友達、特に女友達を作らせない気か。
「鬼頭さん、だよね。鬼井くんと仲良しなんだね」
「当たり前でしょ。私たちは幼馴染なんだから」
バチバチと2人の間に火花が散るのを感じた。
「2人とも仲良くしろよ。これから1年間は嫌でも同じ教室で授業受けなければいけないんだから」
俺がそう言っても2人とも頷きもしないで離れやがった。
「どうなることやら」
高校生活初日で終わったなと思った。
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