第3話:もしかしてマカロン?

プリンちゃんが僕のマンションに来て、しばらくしてひとりの男が訪ねてきた。

訪ねてきた男を見てプリンちゃんが言った。


「もしかしてマカロン?」


「よっ、プリン」


「あんた勝手にどこかに飛んでちゃったんじゃないの?」


「うん、なんだけどさ・・・来ちゃった」


「よくここが分かったわね」


「動物の勘ってやつ・・・」


僕はふたりの会話を聞いていて、この男がプリンちゃんと一緒に飼われてた

インコじゃないかって思った。


「あのプリン・・・今この人のこと・・・マカロンって言った?」


「うん・・・私と一緒におばあちゃんに飼われてたインコのマカロン」


「は〜君も人間になれるんだ・・・」


「みたいです・・・どうも初めましてマカロンです」


マカロンははっきり言って僕も負けそうな超イケメン男子だった。


「マカロン、なんで来たの?」


「いや〜プリンが行方不明になったあと、この人に連れられておばあちゃんち

に帰ってきたとき、傷の手当てして助けてくれた親切な人がいたって俺に話して

くれただろ・・・」

「それ覚えてたから、たぶんプリンはその人のところに行ったんだろうな

って思って追いかけてきた」


「私はういちゃんにお世話になったから・・・今度は私が初ちゃんの

お世話しようと思って来たんだよ」


「俺もここに住んじゃダメかな?」


「マカロンは関係ないでしょ」


「そんなこと言うなよ・・・ケージの中で一緒に暮らしてたじゃないか」


「初ちゃんマカロンはあんなこと言ってるけど、なにもなかったんだからね」

「同じケージにはいたけど私ちゃんと貞操守ったよ」


「あ〜そうなんだ・・・じゃ〜マカロンとは恋人同士じゃないんだ」


「俺はプリンのこと彼女だと思ってますけど・・・」


「え〜そんな勝手言って、迷惑・・・私はマカロンのことなんかなんとも思って

ないからね・・・」

「だから悪いけど、どこか他へ行ってくれる?」


「他に行けって言われたって俺、行くところないもん」

「すいません、いきなり訪ねてきて迷惑かもしれませんけど・・・」

ういさん、俺もここに置いてくれませんか?」


「俺だって家事手伝いできますよ、買い物にだって行くし・・・」

「言ってくれたら、パシリだってしますから」


「どすうるプリン・・・あんなこと言ってるけど・・・」


「初ちゃんはどうなの?」


「君がプリントとはなんでもないって言うならここにいてもいいけど」

「君をここに置くかどうかはその返事次第だな・・・」


「なんでもありませんよ・・・彼女っていったのはウソです」


「あとひとつ、僕とプリンの邪魔しないって言うならここに居てもいいいけど・・・」


「ほんとですか?・・・じゃそういうことでその条件飲みます」


そう言うと、さっそくマカロンは自分ちみたいにズケズケ部屋に上がり込んで

きてソファに座った。


「ほんとに・・・もう図々しいんだから」


「仲良くやろうよ、プリン」


「呼び捨てにしないで、恋人でもなんでもないんだから」


「あ〜ごめん・・・プリンちゃん」


「いい?、私とういちゃんの邪魔しないでね・・・エッチする時は

出てってよ」


「え〜〜〜プリン今、なんて言った?・・・エッチだって?」

「プリン・・・ちょっとこっちきて・・・」


僕は手招きしてプリンを台所に連れて行った。


「どさくさに紛れてなに言ってんだよ・・・エッチって?」


「エッチはエッチでしょ・・・他になんて言うの?、セックス?」


「あのね・・・言いかたじゃなくてさ・・・ああもういいわ」

「それよりあのさ、マカロンってめちゃイケメンじゃん彼氏にしても不足ないと

思うんだけど、なんでプリンはイヤなの?」


「あいつ、性格めちゃ悪いの・・・本性はDVだしセクハラだし自己中だし、

わがままだし、すぐ拗ねるし自分勝手だし優しさのカケラもないし・・・」


「わ〜最悪最低だな」


「だから私、マカロンと一緒にいたくなくて・・・逃げたんだよ」

「それで初ちゃんに助けられたの」

「だから初ちゃんが私をおばあちゃんちに返しに行った時、またマカロンと

同じケージに入るのって思ったら憂鬱だったんだよ」


「可愛がってくれてたおばあちゃんには悪けど私はずっと初ちゃんといたかった

のに・・・」


「でももうマカロン家の中に入れちゃったよ・・・」


「私は知らないからね、あいつのことなんか・・・」


つづく。

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