第42話 生き残る為に!




現在、赤竜たちを追ってくる青竜・緑竜の追撃隊を迎撃する為、マッハ5で飛行中の戦闘機な俺。


サーチにより敵部隊は確認しており、その数66匹であった。


あったのだが!


先に出発したルシフルが既に開戦しちゃってるので、どんどん数が減っていっている。



それでも、今のステータスならもう終わっていてもおかしくはない。という事は、俺の到着を待ってくれているのかな?


もしくは、ただ単純に超手加減して戦いを楽しんでいるのか、、だ。



うん。おそらくは後者だろう。


血気盛んなルシフルの、100年ぶりとなる実戦だもん。確実にじわじわ痛ぶるだろうね。



まぁ、俺の分が残っているなら、何も言うことはない。


本当なら痛ぶるやり方はダメだと注意するところなのだが、1対66の敵有利で始めたんだから、どんなやり方をされても文句は言えないよね?



おっと、そんな事を考えている間に、ようやく視認出来る距離まで来たぜ!



参戦の挨拶って事で、一撃ぶっ放しとくかなっ♪



可変左翼付け根のちょい上に搭載された、F14専用ミサイル AIM-54 フェニックス(長射程空対空ミサイル)を、バイザーに映し出された1匹にロックオンして発射した。



ボシュッ、シュゴココォーーーーッ!!


白煙が青のキャンパスに線を描く。


AIM-54 フェニックスに狙いを定められた青竜は、着弾まで100mというところでミサイルの存在に気付いたようで、慌てて回避行動をとる。



だが、超ハイテク魔力ホーミングミサイルの自動追尾を舐めてもらっては困る。


右に行こうが左に行こうが関係なしに、ぐんぐんとターゲットまでの距離を詰めるミサイル。


青竜はなす術なく着弾!!



ボバァアァァーーーンッッ!!!!!


立ち昇るキノコ雲に吹き荒ぶ爆風。木っ端微塵に飛び散る無数の肉片。熱を帯びた空気に混ざる香ばしい匂い。


よし、今晩は焼肉にしよう!



、、ハっ!あまりの威力に、少しばかり現実逃避してしまったな。


ま、まぁ参戦の一撃なんだから、目立ってなんぼでしょっ!



それじゃあ、本格的に撃墜していくぞっ!!


今だに状況を理解出来ずに固まっている緑の的をロックオン。



ボシュッ、シュゴココォーーーッ、、


ボバァアァァーーーーーーンッッ!!!!!



コレで青1、緑1。


残敵、、29か。


本来ならAIM-54 フェニックスは6発しか搭載出来ないのだが、俺スペックで残弾数など気にする必要はない。


だって、俺の魔力で作られてるんだよ?


撃つたびに自動装填されるに決まってるじゃあんっ♪


1発撃ってMP5しか減らないのはさっきの2発で確認済みで、俺の自然回復が毎秒MP53。


何発だってお見舞いしてやんよっ!!



俺は弧を描くように旋回し、次のターゲットに狙いを付ける。


ちなみに、飛行速度もロックオン機構も俺スペック。


今はマッハ5に留めているが、最高速度は光速を超えると思う。瞬間移動的旅行トラポが使えるんだよ?魔力使用で飛んでるんだから、トラポの瞬間移動速度まで出るっしょ!


ロックオン機構は、俺が着弾希望地点に視点を合わせるだけ。後は頭の中でミサイル発射ボタンを押すだけ!シンプルイズ素晴らしい!


ロックオンされたくないなら、俺に視認されない速さで動き続けるしかないので、最低でも光速を超えないといけない。

俺の動体視力は神の領域に達しそうな勢いだからな!



ボボボシュッッシュゴゴココォォオォーーッッ


バボォオォオォーーーーンッッ!!!!!

ボバァアァァアーーーーンッッ!!!!!

バカボォォオォーーーーンッッ!!!!!


マッハ5で旋回飛行しながらの3連発。


3匹を撃墜するが、3匹目の爆発に少し違和感を感じた。、、まぁ、気のせいなのだーっ!



仲間が5匹爆破され、ようやく意識を取り戻した敵部隊。


だが、俺の飛行速度が速すぎるせいか、皆してキョロキョロしている。


うちの相方がその隙を見逃すはずもなく、、。



「どこを見ておるっ!!」


ズバシャッ!!バリバリバチッッ!!


「ンギャギャギャギャギャギャンッッ!!!」


ルシフルが斬りつけると、雷々から電撃アプローチ!青竜は激しく痙攣し、全身から黒煙をモクモクと立ち昇らせる。


しかし、ンギャギャタイムは唐突に終わりを告げ、プツッと糸が切れた操り人形のように墜落していく。


命が燃え尽きたのだろう。



「あーっはっはーっ♪次はどいつじゃ?妾に斬られて死ぬか、妹に爆破されるか、、好きな方を選ぶがよいのじゃーっ♪」



ルシフルは久々の実戦で超ご機嫌のようだ。


悦に浸りながら斬り殺すなんて、相手からしたら気がふれた危ない人だろうね。


まだまだ数では上回ってるのに、腰が引けちゃってるもんな。


こうなると、敵に残された道は4つ。



①僅かばかりの抵抗をしながら殲滅される。

②全面降伏する。

③ダメ元で逃げてみる。

④一発ギャグでウケたら見逃してもらう?



、、だな。


俺的にオススメなのは④の一発ギャグ。

生死をかけた戦いの最中なのに、『一発ギャグやりまーすっ!』とか言われたら、それだけで笑けてくる。

それで生きて帰ったとしても、死んでいった仲間たちや遺族からは、相当怨みを買うだろうけどね。



現況は①で進んでるが、まだどの道へもルート変更可能な状況である。


敵部隊の指揮官が、今の状況をどう考えてるかによって、どのルートに分岐するか変わってくる。



、、いや、このままだと①で終わるぞ!?


だって敵指揮官、今だに固まったままなんだもんっ!!



副官らしき奴に両肩掴まれて、体揺すられまくってるじゃんよーっ!?


『指揮官っ早く指示を!!指揮官っ!!』


、、とか言われてるんだろうなぁ。




部下より立ち直りが遅いなんて、超使えない上司だよ。


そんな上司要らないよね?



俺は旋回飛行から急上昇に移り、2000mほど上昇したところでクルッと反転。垂直急降下に入る。


そして敵指揮官の背後を通り抜ける。



ダラララララララララララッッッ!!!



もちろんただ通り抜けるだけではなく、20mm機銃をその背にプレゼントしながら、、だ。



至近距離でそんな攻撃を受ければ、いかに竜といえどタダでは済まない。


その体の中心にミキサーでもかけたかのような、、と言うと生々しさが出過ぎてしまうか。


お砂場に作ったお山に、別の遊びに夢中の子が尻もちついて、お山がベシャーっとなってしまった時のお山、、の作者の子の顔くらいグシャグシャだ。



さぁこれで邪魔な指揮官は消えた。


副官が引き継いで、皆に指示を出して下さいなっと。



そう思いながら再び高度を戻す。



、、あ、あら?どうして副官まで、お山を崩された園児の顔になってるの!?



って、まぁよく考えれば分かる事か。


俺はどうやら、自分の性能に浮かれていたようだ。


強力な機銃を、至近距離で撃ちまくったんだ。

貫通して副官をほぼほぼ同様のダメージを喰らうに決まってるよな、、。


これは俺のミスだ。


せっかく、ここからどのルートに入るのか楽しみにしてたのに。



はぁ〜、、。と深いため息を吐いた俺であった。



「くっ!指揮官・副官共に殉死の為、第一班長である俺が指揮する!まずは3体ずつ背を向かい合わせて固まれ!トライアングルで背後を守り合え!!」


諦めて殲滅作業を始めようとした俺であったが、1匹の青竜が指示を叫んだ。


おや?まだ指揮権を引き継げる奴がいたんだな?もう少し楽しめそうだ。



だが、3匹ずつ集まってしまったので、AIM-54 フェニックスの威力だと3匹ずつ撃墜する事になる。しかし、それだとすぐに終わりを迎え、分岐するかどうかの駆け引きが楽しめない。


それはダメ!



という訳で、ここからは俺も近接戦にてお相手する事にしよう。


旋回飛行からホバリングに切り替え、ダーインスレイヴを片手に、まずはゆっくりご挨拶。



1番近くの3匹の元へ向かう。



「き、貴様が何をやっているのか分かってんのか!!?ぁあんっ!?」


「何って、もちろん分かってるよ。領空侵犯してる犯罪集団を撃墜してるに決まってるじゃん。」


「は、はぁっ!?り、領空侵犯だとぉ!?ジョバンノ国がそう言ってんのか!!?」


「いや?ジョバンノ国は関係ないよ?ここはジッポン王国の領空だからね。」


「ジッポン、、あっ、例の報せが入った国かっ!!」


「そそっ。」


「そうか、貴様らの国に赤の野郎どもは逃げ込んだってわけだな!?おい、小娘ぇ。赤の野郎どもをこちらに引き渡すなら、テメーらは奴隷として生かしておいてやるぞ?」


「いやいや。君はよっぽどのバカなのかな?」


「な、なんだとーっ!!?」


「だってさ、君たちの命を握ってるのが俺たちだって、理解出来てないんでしょ?そこらのトカゲですら本能的に理解するよ。デカくなる過程で、生きるのに必須な生存本能が退化しちゃったのかな?」


「て、テメーっ!!八つ裂きにしてやっ、、


ジャキンッと鋭い爪を伸ばした生意気な青竜であるが、モブ竜に時間を掛けても無駄だと判断し、一瞬にしてスケルトン化してもらった。


バラバラと地面に向かって落ちていき、落下の衝撃でさらに細かくなった。



「さて、残りの2匹も骨になる?それともちゃんと戦いたいかな?」


「で、では、作戦タイムをくれ。」


「っ!?そうきたかぁ。んじゃ、特別に10分間の作戦タイムをあげます!あっ、言っとくけど、逃げようとしても無駄だからね?既に君たち全員にロックオン出来る状態になってるから、チタマの裏側まで逃げても俺の攻撃は届くから。」


「、、わ、分かった。」


青竜2匹は慌てて仲間を集める。


俺はルシフルの元へ行き、作戦タイムを10分間あげた事を伝えた。



「なんじゃなんじゃ〜っ!せっかく盛り上がってきたというのにの〜ぅ!」


「まぁまぁ。もしかしたら、驚きの作戦を立ててくるかもしれないよ?」


「うむ〜。そう言われると、少しばかりワクワクするのぅ。」


「でしょ?それでね、皆殺しにするのは確定なんだけど、1つだけ生き残れる道を作っといてやらない?」


「それに意味はあるのじゃ?」


「意味は〜、、まぁジッポン王国の戦闘力を帰って報告させるのもアリかなぁ、、なんて。」


「う〜む、確かにそうじゃのぅ。ちょっかいかけられる度に迎撃するのも面倒じゃし。情報を持って帰らせれば、その数も多少は減るかのぅ。」


「そそっ。でね?もしも向こうが、『一発ギャグやるから、ウケた奴は見逃してくれ!』って言ってきたら、乗ってあげたいんだよね〜!」


「ぶふっ!いっ、一発ギャグじゃとーっ!?この状況でそんな発想が出来るなら、殺すには惜しい逸材なのじゃ!よかろ、ワカバの案に異論はないのじゃーっ♪」


「ありがとっ♪」



しばらく待ち、約束の10分間が経過した。



敵側から1匹の青竜がこちらに向かって飛んでくる。


指揮権を引き継いだ青竜である。


さて、どんな感じに話をまとめてきたのかな?



「まず、作戦タイムをくれた事、感謝する。」


「どういたしまして。」


「次に、ここが貴国の領空だと知らずに飛び回った事、謝罪する。」


「了解。」


「そして、もし、、もし、いっ、、いっ、、


青竜はもの凄く言いづらい事を口にしたいらしい。


まさかの生存ルートに入るのかっ!?



ワクワクまくりで次の言葉を楽しみにする、俺とルシフルなのであった、、。




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