第25話 きっとアナタもやったはず!
子供に戻った母さんの事情を知り、コーラ一気して固まっているママンさんが、ついに動きを見せた。
「、、ワカバちゃん。」
「は、はい。」
「もしも、、。もしもよ?」
「は、はい。」
「私も可愛い女の子になりたいって言ったら、なれるのかしら?」
いつになく真剣な眼差しでそう問いかけてきたママンさん。
きっとママンさんは、ターミ○ーターじゃなくてド○ミちゃんになりたかったんだ。
でも、身長が2mに達した時、、諦めざるを得なかったんだろう。
身長2mのガチムチ8頭身○ラミちゃんなんて、怖すぎるもんっ!!
この問いに、俺は何て答えるべきなのか。
そりゃ俺だって叶えてあげたいさっ!
でも、忘れちゃいけない。
ドラ○ちゃんになれる代わりに、魔族になってしまうという事を。
それも、自分の愛娘サクラちゃんが大人になっていくのを、ドラ幼女のまま見守ることになる。
挙句、娘より遥かに長生きなんだ。親が子を看取るとか、悲しすぎんだろっ!!
いや、娘どころか、孫、ひ孫、玄孫、その先まで看取る事になる。ドラ幼女のままな、、。
これはママンさんの人生を、大きく変える事なんだ。
神でもない一般人だった俺が、その責任を背負えるかって事だ。
え?既に2人魔族にしただろって?
まぁ2人には実の子供が居なかったし、養幼女の俺が魔族なんだから、2人にも長生きしてもらわなきゃだろ?
せっかく家族になったのに、80年足らずでお別れなんて切ないからな。
ともかく、この問題はママンさん1人の希望で実行して良い話じゃない、、と俺は考える。
ママンさんを魔族にするなら、サクラちゃんもセット。本当はサクラちゃんのお父さんもなんだが、多分あの女は男性に使ったら殺ると思う。
だから、お父さんには使えない。
そこも含めて、1度サクラちゃんファミリーで相談してから決めてもらう必要があるな。
「ママンさん。ド○ミちゃんにする事は可能だよ。」
「ドラ?」
「あ、いや、間違えた。、、えっと、可愛くするのは可能だよ。でも、これは女性にしか使えないんだ。」
「、、でも、エチゴには使ったわよね?」
「ん〜と、このやり方はある意味裏ワザみたいなものでね?俺を監視してる奴が、『これ以上使うなら、女性限定!』みたいな事を言ってきたんだよ。んで、多分男性に使うと、少年になった瞬間に消されると思う。」
「じゃあ、私とサクラだけなら大丈夫って事かしら?」
「まぁ、、。でも、これは4歳のサクラちゃんにはまだ理解できないと思う。かと言って、ママンさんが勝手に決めて良い問題でもないと思う。父親がヨボヨボのク○ジジイになっていくのを、幼女のまま見守るなんて、かなり異常な状況だからね。」
「、、そう、ね。変なこと言って悪かったわ。」
と、悲しそうな顔を無理に笑顔に変えて言った。
そんな顔されたら、どうにかしてやりたくなるんだが〜、、。
今すぐには思いつかん!!
「ママンさん。今すぐどうにか出来る訳じゃないけど、、10年。10年だけ待ってくれないかな?」
「ふっ、、あはははっ!10年っ?そんなに待ったら、私は動作不良で廃棄されちまうわなっ♪」
やっぱりサイボーグっ!?
「ふふふっ♪分かったよ。きっかり10年!待ってるからねっ!?」
「うんっ!!」
2人で約束の握手を交わす。
10年。要は、86億人対魔族の戦いが終わるまで待ってもらうという訳だ。
魔族勝利で大戦が終われば、あの女は俺の願いによって消える。
そうすれば俺は、魔族増やしたい放題っ!!
もうね、全種族を魔族にしてやるっていうのもアリだな!
魔族しかいなければ、種族間での争いや差別なんか無くなるし。
さておき、そうなればサクラちゃんファミリーを魔族化したってなんの問題もないからね!
その為にも、これから建てる魔族用住居や施設をしっかり作らなければなっ!!
俺が密かに決心を固めているところへ、ベリアル達3人が戻ってきた。
「まお、、ワカバ様。お話しはお済みでございますか?」
「うん、粗方ね。もう普通に呼んで良いよ。」
「はっ!」
「ワカバお姉ちゃんっ!すっごく凄かったよーっ!!」
「ふふっ、デザートは見つかった?」
「うんうんうんっ!!すっごく美味しくって、もう他のお菓子じゃ我慢できないよーっ♡」
「気に入ってくれたみたいだね!」
「僕も食べたけど、デザートはチタマの数世代先を行ってるね!!お弁当は完成度が高い!一品一品だったら勝負できる品もあると思うけど、総合評価では敵わないね!!いやぁ、いい勉強になったよーっ!!」
「それは良かった!やっぱりエチゴさんは料理の話をしてる時が1番楽しそうだねっ♪」
「ははっ♪自分でもそう思うよっ♪あっ、これお土産に持ってきたよ。」
エチゴさんは沢山のお弁当が入ったビニール袋と、デザートの入ったビニール袋を差し出してきた。
「あれ?お弁当も持ってきたんだ。朝ごはんは向こうに着いてからって思っ、、わっ、分かった!分かったら睨まないで!とりあえず芝の方に移動して食べよっ?」
「私はお肉をパンで挟んだのがいいなーっ♪」
「それはカツサンドっていうんだよ?」
「カツサンドかぁっ♪ねぇワカバお姉ちゃん。」
「ん〜?」
「ワカバお姉ちゃんは、これ以上大きくならないって本当?」
「え、え〜っ?だ、誰がそんな事言っていたのかなぁ?」
「ベリアルおじさんっ!」
「そ、、そっかぁ。後でぶった斬ってやるしかないね〜。」
「えっと〜、じゃあ本当って事なの?」
ベリアルのやつ、余計なことを言いやがって!!後でお仕置きしてやるからなっ!!
しかし、なんて答えようか。
これを肯定すると、その理由まで明らかにする必要が出てくるよな。
んで、その理由が『魔族』だからだよ〜?て聞いたら、私もなりたいなんて言い出しかねん。
その言葉を聞いたら、ママンさんの気持ちに火がついて、止めようがなくなってしまいそうだ。
だが!今のサクラちゃんが言う、私もなりたいってのは、ただ自分の欲求を口にしただけであり、魔族になる事で起こる問題とかを理解している訳ではない。
16年後サクラちゃんが成人する時に、、
「私やっぱり人間が良いわーっ!」
、、とか言っても、もう戻れないんだ。
魔族にお試し期間はないのだからっ!!
という訳で、やっぱりサクラちゃんにはまだ魔族への興味を持ってもらいたくないな、うん。
「わ、私もちゃんと成長するよ?するに決まってるじゃん。」
「そっかーっ!それを聞いて一安心だよ!大きくなったら、一緒に冒険するんだもんねーっ♪」
「そ、、そだね。」
おお、まさか4歳児が場のノリで言った事を覚えているとは!!
ま、まぁ、一晩経ったくらいじゃ忘れないか。
そういえば、サクラちゃんの『大きくなったら』というのに具体的な目安はあるのだろうか。
もしそれが、7歳からなれる子冒険者であるならば、受けられるクエストが街中のおつかいだけだから、何回か付き合ってあげても良いと思う。
3年後までサクラちゃんが覚えてればね?
しかし、本当の意味での冒険、、つまり、魔物討伐したり迷宮探索したり、こっちの方を希望しているなら話は別だ。
冒険者になるには、15歳になっていないとダメ。という事は11年後という事になる。
11年後とか、、俺とっくに旅立ってるしーーっ!!!
あ、、いや?昨日まではそう思っていたが、つい先ほど事情が変わったんだった。
10年後、約束を果たす為にサイショノ街へ戻ってくるんだった!I'll be back!!だった!
それなら、久しぶりにサイショノ街で1年くらいのんびりしてても良い、、かも?
「ね、ねぇサクラちゃん。大きくなったら一緒に冒険するんだよね?」
「うんっ♪」
「それってさ、サクラちゃんが何歳になったらかな?」
「えっとね〜、、5歳になったらーっ!」
「んん?5歳じゃ冒険者はもちろん、子冒険者にもなれないよ?」
「うっふふーっ♪ママと一緒なら良いって!町長のおじさんと約束したんだっ♪」
「な、なるほど。じゃあ後1年我慢すれば良いのね?」
「ん〜っと、私の誕生日が後20回寝たらだから、もう少しで冒険者になれるんだっ♪そしたらワカバお姉ちゃんと一緒に冒険出来るねっ♡」
「そ、、そだね。」
こんなの覚えてるに決まってるじゃあんっ!!前々から冒険者になる約束してて、それが20日後に迫ってるなんて、忘れる方がおかしいじゃんよぉっ!!
ま、まぁ別にこの先ずっとパーティ組み続けるって訳じゃないだろうから、何回か冒険してあげれば満足してくれるだろ。
サクラちゃんとそんな話をしながら、外野レフトに到着。
綺麗に整えられた芝の上に座り、お弁当を広げる。
各々好きなお弁当を取り、皆で賑やかな楽しい朝食を満喫した。
・
・
・
食後のティータイム、自販機で好きな飲み物を買って味わう。自販機マジ便利過ぎる!
「はぁ〜〜っ♡やっぱり東京ドームのお弁当は最高ねーっ♡ワカバちゃん、飲み物の箱は出せるのに、お弁当だけは出せないのかしら?」
「ん?もう出せるようになったよ?」
「まぁまぁっ!それなら、いつでも好きな時に食べられるのねーっ!?」
「ま、まぁそうだね。でも、ちゃんと自炊もしないと、料理下手になっちゃうよ?」
「別に良いじゃなぁい。ワカバちゃんのお弁当があれば、世界征服さえ夢ではないわっ!!そうなれば専属のコックを雇って、お城で優雅にディナーを楽しんだり出来るのね〜っ♡」
母さんはどうやら、世界征服に興味があるらしい。、、というよりは、世界征服した後の王侯貴族の煌びやかな暮らしにって感じかな。
それなら別に、世界征服しなくても俺のアイテムBOXから♾️金貨を大量放出すれば良いだけである。
そのうち体験させてあげるとしよう。
まぁ俺の予想では、1週間以内に「やっぱり普通の生活が良いわ〜、、。」ってなると思うからな。
「あっ、そういえばママンさん。サクラちゃんが5歳になったら、冒険者になれるって言ってたんだけど、どんな裏ワザを?」
「ふふっ!簡単よ。あのボケギルマスにガツンと言ってやったのよ!『ポーション屋のメリーにしつこく迫ったんだってなぁ!!この事ヨメさんにバラされたくなきゃ、サクラを冒険者登録するんだなぁ!』ってね!」
「な、、なるほど。」
ま、まぁギルマスの自業自得、、か。
「ねぇ、クレハお姉ちゃんは冒険しないの?」
「ふふっ、そうね〜?じゃあ、サクラちゃんが冒険者になったら、冒険の旅に連れて行ってもらおうかしら?」
「わぁっ!絶対だよっ!?」
「ええ、約束っ♪」
「やったーーっ!早く20回寝ないとなーっ♪」
「ははっ!今20回寝てもダメだよ?ちゃんとお日様と一緒におやすみしないとね。」
芝の上に寝っ転がって、体を起こしてを繰り返すサクラちゃんに、エチゴさんが優しく諭す。
なんか俺も小さい時、早くプールで遊びたくて、同じ事をした覚えがあるな。
きっと、『あ、俺もやったわ』って人は結構いるはずだ。
子供の考えは似たようなものだからな、うん。
、、俺だけじゃないよねっ!?
と、1人で少し恥ずかしくなっている俺なのであった、、。
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